地球に優しい(笑)バイオマス発電

燃料として燃やすのがゴミならば「コストがかからない」というのは幻想である。

ゴミをお金に!地球に優しいバイオマス発電 参入する企業や自治体続々

MONEYzine11月17日(土)16時0分

 バイオマス発電は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の対象だけでなく補助金が支給されることもあり、参入企業が増えている。
 再生可能エネルギーの一つであるバイオマス発電に注目が集まっている。バイオマスとは、「動植物から生まれた、再利用可能な有機性の資源」のことで、主に木材、海草、生ゴミ、紙、動物の死骸・ふん尿、プランクトンなどが該当する。

http://news.biglobe.ne.jp/economy/1117/mnz_121117_7143204552.html

タイトルからして偏向する気満々、というのがこの手のエコエコ詐欺の特徴だ。


最初に断っておくが、僕自身はバイオマス発電を否定する気は無い。

例えば、稲わらや枯葉など、毎年同じ時期に大量に出て、ゴミとして処分される可能性のあるものを燃やし、電気に変える、ってことは良いと思う。

また、林業とリンクして切りくずを燃やすのにバイオマス発電とリンクする試みもある。記事に挙げられた畜産の排泄物によるメタンガス発電や、下水処理場での発電も、可能性はあるとは思う。

 

だが、どれもこれも「ゴミから発電できる夢のような技術」ではない。色々な制約はついて回るのが現状なのだ。


 大量のふん尿の問題を抱えていたくずまき高原牧場は、牛の排泄物を発酵させてメタンガスを抽出し、発電や熱回収を行う「畜ふんバイオマスシステム」を導入した。発生した電気は施設内で有効利用するほか、良質な有機肥料を作り出すリサイクルシステムとして、注目されている。

牧場に良くありがちな問題だが、家畜の排泄物の処理というのは意外に大きな問題である。

有料で有機栽培を行う農家に分ける、という手法もあるが、需要と供給のバランスが難しい事もあるし、「有機栽培」というのは、家畜の飼料にまで言及することがあるので、なかなかニーズをマッチさせることは難しいのだ。

 

では、発電手段としてはどのような位置づけなのだろう?

牛の糞はメタンガスを発生することはよく知られており、地域によってはこれを燃料とする所があるくらいだから、燃やす事に関しては期待度が高い。また、ヨーロッパ方面ではメタンガスを発生させて発電し、電車を動かすなんてこともやっているので、手法としては成り立つのだろう。

 

だが、発電の燃料としての位置づけで考えると、少々問題があることも否定出来ない。

まず、コストだが、みずほ情報総研のデータによれば、鶏糞を使った場合で10~19円/kWhだそうである。流石に太陽光発電よりコストは安いが、火力や水力と比べると若干高い。鶏糞の原料単価は1~3円/kWhだというから、原料コストではなくその他の部分に大きな手間がかかっているのだ、という理解が出来るだろう。

つまり、鶏糞の状態ではエネルギー密度が低いので、メタンガスを取り出してメタンガスを燃やす事で発電、という手法が必要になってくる。これは、牛だろうが豚だろうが事情は同じだろう。

そして、はっs要求される電力が過大なのである。だから、一地域の「その他発電方法の1つ」という理解で良いと思う。

無論、家畜の排泄物から発電する婆愛には、脱臭の問題は付きまとう。また、燃やした後の燃えかすの処理も当然必要となってくる。日常的に排泄物の処理に悩まれている場所であれば、燃やす事で体積が減るのだから、メリットはある。が、燃料を輸送、なんてことが絡んでくるとかなり難しい問題を孕みそうだ。

 

よって、この手の発電方法を、大規模農場が導入することは諸手を挙げて賛同したいところだ。或いは、地域を挙げて酪農が盛んな場所であれば、この手の発電手法を採ることは有益だと思われる。

 

小岩井農場の例をとると、三菱重工や東北電力などの協力を得て、「バイオマスパワー雫石」という発電所で、2006年6月から発電している。そして、4,000kWhの電力を発電している。この電力は、約半分が農場内で消費されていると別のサイトで説明されていたので、約半分は電力会社に売電されているのだろう。

小岩井牧場のような有名牧場であれば、こうした投資も可能なのだろう。が、何処でも可能か?と言われるとかなり厳しいのではないかと思う。

農場の集約や合理化が進んだ場所では、こうした手法を積極的に取り入れていくべきだろう。


 横浜市環境創造局北部汚泥資源化センターでは、下水処理過程で発生する消化ガスを燃料にしてガスエンジンで発電させるほか、鶴見工場ではごみを焼却する際に発生する熱を利用して発電を行っている。発生した電力はセンター内で利用し、余剰電力は電力会社に売却している。

一定規模の地方自治体であれば、こうした試みは可能だと思う。

下水処理場は、小水力発電、太陽光発電といった設備も設置が可能であるし、こうしたメタンガスを利用する発電もアリだと思う。ただ、メタンガス発電については、下水ガスによるエネルギー自給率は30%が限度とも言われており、高効率の発電、というのはまだまだ難しいのが現状である。

ただ、高効率な下水処理場での発電の可能性も模索されており、一定規模の発電は可能だと言われている。

残念ながらこうした試みは始まったばかりではあるが、それでも、将来性は感じる。


オリックスは昨年9月、「吾妻木質バイオマス発電所」の営業運転を開始した。剪定枝や廃木材などを破砕しチップ化した「木質チップ」を燃料としてボイラー内で燃焼させ、発生した蒸気でタービンを回転させて発電する。廃材を利用することで、廃木材の適正処理と、二酸化炭素の減少を促進させる。「吾妻木質バイオマス発電所」の発電規模は一般家庭約2万4,000世帯分の年間電力使用量に相当。発電した電力は「特定規模電気事業者(PPS)」を通じて供給する。さらに、「日本エネルギー経済研究所グリーンエネルギー認証センター」からグリーン電力発電設備の認定を受け、環境付加価値部分の一部を証書化し、「グリーン電力証書」として販売している。

ただ、木質バイオチップ発電、というのは実はあまり効率が良くない。この結果、発電コストが高くなる傾向にある。

小規模でやるには発電効率が上がらないためにコスト削減効果が低いが、大規模の発電施設を建てると原料調達に難がある、という問題を抱えているのである。

(1)発電規模1,000kWで発電コストが1kW時当たり37円、(2)2,000kWで1kW時当たり27円、(3)5,000kWで1kW時当たり20円、(4)1万kWで1kW時当たり16円となることを示している。

http://www.mizuho-ir.co.jp/publication/contribution/2012/sanrin1202.html

これはみずほ情報総研の出したデータであるが、木質バイオマス発電は、他の発電方法に比べて割高である。太陽光発電と大差ない結果となっており、補助金を投入しなければ、商用発電としては成り立たない。

また、木材はエネルギー密度が低いので、総じて輸送費がかさむ傾向にあるのも見逃せない。

 

これらの問題を解決するためには、例えば大規模な製材所に隣接して発電施設を建て、発生するチップを燃やす事を前提に発電所を作れば、主目的がチップの処理にあるので発電コスト云々を気にする必要は無くなる。

だが、それでは発電施設としては不安定な存在となってしまう。

日本において林業が下火となり、日本の里山は放置されて荒れ放題。輸入製材に頼って加工も海外でやる、という状況では、なかなか安定した燃料の確保は難しいだろう。


結局の所、バイオマス発電のネックは、燃料を如何に調達するか?という、その一点に尽きるのである。

 

列記した中で一番有望なのは、下水処理場での汚泥を利用した発電方法だろう。汚泥は一定量が毎月確実に発生し、材料原価はタダ同然である。処理の手間はかかるだろうが、汚泥全てを埋め立て処分することを考えれば、一手間加えたところで意味が出てくると思われる。

更に、下水処理施設自体は全国的に必要な公共的な施設なのだから、マイクロ水力発電や、下水発電施設を併設することを考えていけば、下水処理をしつつ、一定量の電力を確保することが期待できる。

 

木質バイオマス発電や畜産排泄物によるバイオマス発電は、環境にマッチするかどうか?がポイントとなるので、発電メインで考えるべきではない、というのが答えだと思う。

 

そうやって考えていくと、「地球に優しい」とか「夢の」とか定冠詞をつけて発電方法として絢爛豪華に宣伝するのは、少々違う様に思う。

メリットと、デメリットはしっかりと伝えていかねばならないと思うのだ。


バイオマス発電で思い出すのは、一時期問題となった固定燃料(RDF)発電、別名ゴミ発電である。

可燃ゴミを燃やして発電する画期的な発電方法だと説明されて、各地に導入されたは良いが、蓋を開けてみれば、可燃ゴミの水分を蒸発させるのに多額の費用が必要で、三重県では爆破事故まで起こっている。

2003年12月17日 

三重県RDF発電所爆発事故により存在価値が問われるRDF

(NTTデータ経営研究所 シニアコンサルタント 指田 光章)

 ごみ固形燃料(RDF)発電プロジェクトが全国で立ち上がっているなか、本年8月14日および19日の二度にわたって、そのシンボル的な存在であった三重県企業局が運営するRDF発電設備で爆発事故が発生した。事故の概要とその後の対応について述べる。
 8月19日に発生した二度目の爆発で貯蔵槽の屋根が吹き飛んだ後、県では高所からの放水に加え、大型グレーンなどを使って中のRDFを取り出す作業を実施し、ようやく鎮火したが、二度にわたる爆発事故により7人の死傷者が発生し、廃棄物処理関係者に大きな波紋を呼ぶこととなった。

https://www.ecologyexpress.jp/content/trend/20031217trend.htm

三重県のRDF事業自体は未だに続けられているが、爆発した設備は操業停止に追い込まれたようだ。

夢のごみ固形化燃料、買い手なし…検査院がメス

ごみのリサイクル技術として注目されたごみ固形化燃料(RDF)を作るために全国の自治体が運営する50施設のうち、半数以上の26施設が、代金を支出してRDFを工場などに引き取ってもらっていることが、会計検査院の調査で分かった。燃料としての品質が低く売却できないことが原因で〈DFの生成にかかる費用も一般的なごみ焼却の倍以上となっており、多くの自治体はRDFを作れば作るほど財政負担を増やしている。稼働を休止した施設もある。RDF化施設は、可燃ごみを破砕、圧縮し、発電所や製鉄所などの燃料に加工する施設。(2010年10月25日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101025-00000578-yom-soci

そして、こちらがRDFの現状だ。


バイオマス発電を大規模に推進して行くには、多少の印象操作は必要なのかも知れない。

しかし、あれだけ持てはやされたRDFも蓋を開けてみればこんな状況になっているのであって、採算が採れるか否かという点に関しては、地方自治体に任せずに十分に検証した上での導入が望ましい。

「夢の技術」など、夢である内が華であって、現実は厳しいのだから。

 

現実を視よ

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