チェルノブイリ建物崩壊の危機

この話自体は以前から言われ続けていることで、目新しさはない。

<チェルノブイリ>建物崩落 ずさん修理が招く…政府報告書

毎日新聞 4月25日(木)8時0分配信
 旧ソ連ウクライナのチェルノブイリ原子力発電所で今年2月に建物の一部が崩落した事故について、1986年の爆発事故後のずさんな修理と老朽化が原因とする報告書をウクライナ政府の事故調査委員会がまとめていたことがわかった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130425-00000006-mai-eurp

そして、この報告書自体も、別に今分かった、と言う話でもないんだが。アレかな?最近福島第1原発の冷却水漏れで騒いでいるから、それに乗じるつもりだったのだろうか。
邪推はともかく、どんな話なのかを整理していこう。


まず、復習から始めよう。
チェルノブイリ原発の事故は、1986年4月26日に発生した。当時のソ連、現、ウクライナには、チェルノブイリ原子力発電所が存在する。
なお、事故を起こしたのは4号炉で、2000年12月までは3号炉が稼働していた。現在は、独立国営事業体チェルノブイリ原子力事業所、と言う名称で廃炉の管理が行われている。
で、1986年4月当時、事故を起こした4号炉は操業休止状態にあり、外部電源喪失を想定した非常用発電系統の実験が行われていた。だが、この実験中に制御不能に陥り、炉心溶融が発生し、一部が爆散した。そのお陰で、大量の放射性物質が周囲に放出される結果となった。

過去最悪の原子力発電所の事故である。



この事故収束のために、以下の作業を行っている。
  • ヘリコプターより、ホウ酸を混入させた砂5000tを4号炉に投下
  • 下部水槽の排水
  • 炉心内へ鉛の大量投入
  • 液体窒素投入による、冷却、炉心温度の低下
  • 石棺と呼ばれるコンクリート製の建造物を4号炉を周囲に形成し封じ込め
そして、今夏の問題は、この石棺の老朽化だ。
27年の歳月が経っているということも要因の1つではあるが、どちらかという石棺が恐ろしく突貫工事で行われた、という理由の方が大きい。また、構造自体もかなり無理をしている。
 86年に爆発事故を起こした4号機は、同年秋に完成した石棺で覆われている。この石棺に隣接するタービン建屋の屋根と壁の一部が今年2月12日、約600平方メートルにわたって崩落した。今年の冬は例年より雪が多く、非常事態省は当初「雪の重みが原因」との見方を示していた。
 だが調査委はこの見方を撤回し、2月末にまとめた暫定報告書で「積雪は想定された許容量を超えなかった。幾つかのマイナス要因が重なって屋根の留め具が壊れた」と結論づけた。タービン建屋の一部は86年の爆発で吹き飛ばされ、翌87年に造り直された。修理箇所が建物に想定外の負荷をかけ腐食や稚拙な溶接が留め具の損壊につながった可能性があると分析している。
石棺
この巨大なコンクリートの建屋は、当時、応急処置的にロボットを用いた遠隔操作によって建設された。人間はとても近寄れるような状態にはなかったからである。
石棺によって、露出した炉心から出る放射線を遮っており、比較的近くまで人が近づくことが可能となっている。
だが、多量の雨水が石棺内部に流れ込むなど、しっかりとした密閉が出来ていないばかりか、内部に結露する原因を作っているために、石棺そのものの腐食が進んでいる。

想定される石棺の耐用年数は30年。そして、残念ながら既に、崩壊は始まっている。

 ウクライナ政府は石棺とタービン建屋の一部を覆う金属製の「新シェルター」を2015年に完成させ、その中で古い建物を解体する方針だが、クプニー元副所長は「完成が遅れれば(石棺を含め)建物損壊の可能性が高まる」と警告している。
現状、この危険性が認識されており、石棺とタービン建屋の一部を覆う巨大な金属製のシェルターを作る事が計画されている。
だが、本当に間に合うのだろうか?

もし、間に合わなかったらどうなるか?
あまり考えたくないことだが、当時からそのまま9割近くの炉心建屋が石棺の中に封じ込められている。
現在も、内部の放射性物質が、石棺内部に入り込んだ雨水に溶け出すなど、周りの環境に重大な悪影響を与え続けているとも言われている。が、放射性物質がむき出しになればその影響は雨水どころの騒ぎではなくなる。
もう、爆発や放射性物質の広範囲への拡散の心配はしなくて良いとは言え、4号炉の周囲に誰一人として立ち入ることが出来なくなってしまう可能性は高い。
原子炉内の放射性物質の半減期は長いもので、数万年というものも存在するからだ。

石棺が崩壊し、むき出しになった放射性物質と、放射性廃棄物と化した炉が、周囲にどのような影響を与えるのか?再び遠隔操作で石棺を作る?無理だ。崩壊した石棺を先ずは撤去しなければ、作業が出来ないのである。だが、崩壊した石棺自体が高レベルの放射性廃棄物と化しているので、撤去することは容易なことではない。
福島第1原発の復旧作業で最も厄介なのは、周囲に積み上げられた放射性廃棄物と化した瓦礫なのである。

では、周囲を封鎖して立ち入り禁止区域とし、時間が数万年という時間が経過するのを末というのか?無理だ。周囲への立ち入りが難しくなれば、何か起きたときの対応も出来なくなる。
リスク管理としては最悪の事態だ。

石棺の周囲を覆う、と言うのが今考え得る対策の中で最も有効な手法なのである、残念ながら。そして、残された時間は余りに少ない。

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