オスプレイとオートローテーション

こんなタイトルを付けたのは、この記事を読んだからだ。

オスプレイ 防衛省の基準満たさず

2014年8月4日(月)

 安倍政権が陸上自衛隊に導入し、佐賀空港への配備を狙っている米国製の垂直離着陸機オスプレイが、防衛省が定める安全基準を満たしていないことが分かりました。エンジン停止の際に安全に緊急着陸する能力(自動回転=オートローテーション機能)を持っていないためです。佐賀県の担当者は、「機体の安全性などについても防衛省に確認したい」と述べました。

赤旗もヤキが回ったか、或いは理解していないか、理解していないフリをして反対しているのか。


最初にハッキリ言っておこう、オスプレイにオートローテーション機能はあるけど、使うこと滅多に無いから。悪意のある誤報つくって騒ぐな、赤旗さんよ。

 

……で、この記事は蘭月嬢も取り上げている。

【赤旗】「オスプレイ危険」論の新しい根拠を赤旗が持ってきてくれたから、斬殺してみる。

見事に惨殺してるね。 惨たらしい(笑)

ただ、ここで蘭月嬢のブログを読んでしまうとこの記事の価値が無くなってしまう(涙)ので一先ず先に読み進めて欲しい。

=激震オスプレイ= 騒音被害、牛にストレス

2014年08月04日 09時45分

 防衛省の新型輸送機オスプレイを佐賀空港に配備する計画をめぐり、杵島郡白石町の畜産農家は複雑な思いで動向を見つめている。2004年に就航した夜間貨物便の騒音について、肥育牛への影響が立証できなかった苦い経験があるからだ。町の担当者は「航路や騒音に懸念はある」として情報収集を始めた。

一方、佐賀新聞は、オスプレイのせいで牛のストレスが-!とか言い出したから、よっぽどネタが無いのだろうね。それでも大人気なんだろう。

佐賀空港にオスプレイが配備されると干潟が心配?

干潟を心配したり、牛を心配したり忙しそうだ。

まあ、オスプレイが不定愁訴の原因となる低周波音を出すことは事実なので、心配したくなる気持ちは分かるんだけどさ。


こんなに、大人気のオスプレイなんだけど、随分前から「オートローテーション」云々という話があった。ヘリとして欠陥品だという主張をする根拠とされてきた話である。

 

んじゃまず、オートローテーションってヤツから説明しよう。

でもその前に、航空機が飛行中に動力を失った場合、どうなるのか?って話からした方が良さげだな。

 

飛行機(固定翼機)は、飛行中にエンジントラブルで動力を失うと、その瞬間墜落って訳じゃ無い。

揚力を稼ぐための翼が付いているので、滑空しながら高度を下げ、着陸を試みることができるわけだ。翼と揚力

こんな感じだね。

問題は、着陸できる場所の確保の方で、直線で長い距離走るようなスペース、つまり滑走路が無いと、運動エネルギーを殺しきれずに何処かにぶつかる羽目になる。

じゃあ、ヘリコプターは?というと、こちらはオートローテーションという機能を使って着陸を試みる事になる。

ヘリコプターは巨大なブレードを回転させて揚力を得ているので、ブレードを回転させれば回転に応じた揚力は得られる。原理は固定翼機の翼と一緒だが、回転しているか否かが違うだけだな。

つまり、ブレードを回転させる力が失われても、風の力などを受けてブレードが回転する限り、揚力は得られるのだ。

オートローテーションでも、狙ったところに着地するのは難しいので、降りるなら広い場所が必要になる。


……図解のほうが分かりやすいかな?

これが図解されたヘリコプターのオートローテーションの原理だ。

通常は、進行方向にブレードを前傾させて回転させることで、上昇(高度を維持)する力と、前へ進む力を得ている。

オートローテーションは、通常よりもやや機体を起こし、ブレードの前傾を修正して斜め下方向からの気流によって、クラッチの切られた(つまり自由に回る)ブレードを回転させる。ブレードが回転することで、上昇(高度を徐々に下げる)する力を得る。下から上に気流が流れるにもかかわらず、何故揚力が出るのか分かりにくいことは分かりにくいのだが……、抗力が生じるというイメージで良いと思う。

 

こうすることで、飛んでいる高度からヘリコプターが自由落下する勢いを削ぐことが出来る。

ただし、これは単発ヘリ(エンジンが1つのヘリコプター。小型のヘリコプターが多い)の特技であって、重量級でローターを2つ持つような輸送ヘリコプターなどはオートローテーション機能自体は有しているものの、シミュレータ訓練だけで済ませて実地訓練はしない。

実施すると機体を破損しかねないからだ。実は、オートローテーション状態に機体を維持するのが技術的にかなり難しいからなのだ。


じゃあ、オスプレイは?というと、固定翼のみの航空機よりは、翼による揚力を稼ぐ力が低いことと、回転翼のみのヘリコプターよりは、ブレードによる揚力を稼ぐ力が低いことと、両方の弱点を抱えている(逆に言えば、ブレードによる揚力を稼ぐ力と、固定翼による揚力を稼ぐ力両方を有している)。

そして、通常の回転翼機よりもブレードの長さは短いので、オートローテーション能力は、弱いか、無いのでは?と懸念されていた。

オートローテーション

だが、実際にはこのような資料に示すようなオートローテーションを用いての着陸は可能である。

実は、実験機の段階では通常の回転翼機とは異なる特性があったので、事故が多発した印象があるが、現在は飛行手法が確立されたので、ほぼ事故が出ていない状況。

そして、オートローテーションも条件を揃えれば出来ることが分かっている(通常の輸送ヘリでも、オートローテーションは無条件にできる訳では無く、相応な技術も要する)し、その技術も分かってきた。


大切な事は、オスプレイにオートローテーションによる着陸が出来ないと言うのは、ガセであるという事実だ。

 

でも事故を起こしたじゃん!とか、思う人もいるだろう。

 

実は、オスプレイがオートローテーションモードが発揮できるのは、垂直離着陸モードの時のみ。固定翼モードの時や、モードチェンジの最中はオートローテーションは出来ない。

だって、オートローテーションの条件は上の図のように、ヘリコプターモードの際のように、ブレードで得られる揚力が下向きに発生する場合に限られる訳だから、固定翼モードの時は、翼の発生する揚力を使った滑空をする以外に無い訳だ。

 

そして、事故の多くは、モードチェンジの時に起こっている。また、編隊飛行の際の制限などもよく分かっていなかった。

まあ、そりゃ、新機軸の飛行兵器である。色々と実験してみないと分からない事が出てくるのは仕方が無いことだ。


ちなみに、垂直離着陸モードのオスプレイのオートローテーションの機能としては、5000fpmは毎秒25m、時速約90kmと重量級の輸送ヘリと比べても(CH-53だと3600fpm、時速65km)ちょっと高い数値だ。

が、これも機体の機首を上げるフレア動作をしてやれば、調整が可能である様だ(防衛省の資料はその様な事例を示している)。

 

そら!やっぱり危ないんじゃん!オスプレイ危険じゃん!とか思った人は、もう少し落ち着いて話を聞いて欲しい。

 

そもそも、オスプレイは固定翼機と回転翼機の両方の特徴を備えていることをまず思い出して欲しい。

固定翼モード移行時回転翼モード

このようにモードチェンジができる。


そして、オスプレイの飛行中、95%は固定翼モードである。赤旗の記事にもあるが、特別な場合を除いて運用上も離着陸時くらいしか垂直離着陸モードは使わないし、固定翼を使っての着陸は可能である。

よって、エンジンが故障する様な事態になっても滑空しながら着陸する手法を選ぶのが一般的で、オートローテーションに頼るシーンは殆ど無いと言われている(オスプレイの滑空比は4.5で、スペースシャトルなどと同じレベル。滑空は可能)。これも又、大切な事実だ。

 

また、オスプレイのエンジンは2発有り、1発が壊れても両方のブレードを片側のエンジンで回すことが可能な構造であるので、エンジンが両方とも壊れるような事態にならない限り、オートローテーションという話は出てこないのが実情(エンジンを二つ積んでいるヘリコプターで、二機のエンジンが両方止まって落ちたケースは今まで一度も無い)だ。

エンジンが1つ生きていれば、飛行を続行出来るので飛行を続けることも着陸することも可能である。この場合は速やかに固定翼モードで最寄りの空港に移動して固定翼を使っての滑空により着陸することになっている。

 

そして、万が一にも垂直離着陸モードの際にエンジンが2つとも止まってしまった場合にも、オートローテーションは可能だ。


では何故、オスプレイは緊急離着陸する際に、垂直離着陸モードでオートローテーションを使って着陸しなければならない。でも、オートローテーション機能はないので墜落するしか無い、などという誤解が広まっているのだろうか?

 

これは、憶測にはなるのだが、オスプレイは固定翼モードでの離着陸が出来ないという事実から来ているのではないか?

離着陸する場合には垂直離着陸モードでヘリコプターのように垂直離着陸をするか、中間モードで滑走路を使って滑空しながら降りてくるかの何れかである。

これは、固定翼モードだと、ブレードが本体の下に付いている車輪よりも更に下側まで来てしまうからだ。上の写真でもわかるが、図を見たほうが早いかな?オスプレイ

左側が固定翼モードなのだが、このまま離着陸できないというのは一目瞭然だろう。ブレードが回転したら滑走路にブレードがぶち当たる。そういう設計なのだ。

 

故に、ヘリコプターのように離着陸するしか無いと、そのように理解されるのだろうな。だからオートローテーションが必要と。でも、ブレードの長さが短いので、必要な揚力が稼げないみたいな話が出て、オートローテーションの機能も無いのでは?という誤解につながったのだろう。

だが、実際には、固定翼である程度の揚力が稼げるので、滑空して着陸が出来る。無論、滑走路の長さは必要らしいが。


そして実際のところ、それなりの速度で飛んでいる際に着陸を試みるのであれば、オートローテーションに頼るよりも、固定翼を使った滑空によって減速して着陸する方が操作の難易度は低くなる。

問題は、着陸する為の広い場所(滑走路になる場所)を探すことだけだが……、それって別に固定翼機と同じ話なので、特別危ない!って話では無いんだ。

 

そんな訳で、「オスプレイにオートローテーションが出来ない」というのは嘘だし、「オートローテーション出来ないので非常時に着陸できない」というのも嘘だ。

 

騒いでいる人はお疲れ様。

 


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