安倍政権は湯川氏を殺したか?

力なき正義の無力さを嘆くしかあるまい。

リスク拡大…安倍首相の“積極平和主義”で東京もターゲット

2015年1月22日
 日本人2人の人質事件でハッキリしたのは、この先、間違いなく日本もテロのターゲットになるということだ。何しろ「イスラム国」は、日本を「進んで十字軍に参加した」とみなしている。 いずれ、東京でテロが起きてもおかしくない。
タイトルを読んだだけで「余裕のゲンダイ」と呟くレベルに達してしまったが、引用先はやっぱり日刊ゲンダイである。




だが、論調はともかく、「日本もテロのターゲットになる」という点は、僕も否定しない。
[日本だけが特別」という安全神話は、過去の原発政策で十分に懲りたのでは無かったのか??

この一連のニュースを聞いて、真っ先に思い出したのは「悪魔の詩事件」である。
1991年7月12日、筑波大学助教授の五十嵐氏が他殺体として発見された。発見現場は勤務先大学の7階エレベーターホール。死因は刃物によって頸部を切断寸前まで掻き切られた事によるもので、五十嵐氏が所持していた鞄にも幾つかの傷痕があったといわれている。
この事件は未解決事件として時効を迎え、犯人は捕まっていない。

この事件が注目されたのは、「悪魔の詩」というイギリスの作家サルマン・ラシュディ氏がイスラム教の予言者として崇められるムハンマドの生涯を描いた作品を、被害者である五十嵐氏が日本語に翻訳していたからである。
ムハンマドは、日本ではマホメット等とも呼ばれることがあるが、イスラム教の開祖であるという位置づけの人物だ。
「悪魔の詩」は、内容がイスラム教を冒涜する要素があるとして、イスラム圏から批難され、作者は死刑宣告がされている。しかし、皮肉にもラシュディ氏は未だ存命であり、各国の翻訳者や出版関係者を標的とした暗殺事件が起きて、多くの犠牲者を出している。
イスラム教の一部から、この事件に関する犯行声明が出されたものの、未だに犯人は分かっていない。が、イスラム教関係社による犯罪だとすれば、五十嵐氏はこの犠牲者になったという事になる。



そして、注目すべき点は、既に何十年も前から日本はテロの標的とされていた事実である。
イスラム教徒の犯行では無かった可能性はある。が、イスラム教はこの犯行を歓迎する声明を出し、犯行声明まで出した。
これが「テロの標的とされていた」或いは「テロの標的になり得る状態にあった」という根拠である。
 軍事評論家の前田哲男氏がこう言う。
「かつて中東諸国にとって日本は特別な国でした。アラブの国民は日本にシンパシーを感じていた。理由は、欧米諸国と違って、中東に軍隊を派遣したことも、武器を輸出したこともなかったからです。
そして、アラブの国民が日本にどんな感情を抱いていたのかは知らないが、安倍氏がエジプトで声明を出した人道支援に関しては、今に始まったことでは無い。


ニュースではこの様な記事を取り上げて、安倍氏が始めて人道支援を表明し、イスラム圏との対立を鮮明にしたみたいな報道がなされている。

安倍首相、中東政策スピーチ 安定化に3000億円支援表明 イスラム国対策も

2015.1.17 18:34
 エジプト訪問中の安倍晋三首相は17日午前(日本時間同日夕)、首都カイロで外交・安全保障に関する政策スピーチを行い、中東地域の平和と安定に向け、人道支援やインフラ整備など非軍事分野へ新たに25億ドル(約3000億円)相当の支援を行うと表明した。
しかし、別に中東への人道支援は今回が初めてというわけでも無い。
日本・アラブ経済フォーラムという会議は2009年より継続的に行われており、「、貿易、投資、エネルギー、技術、人材育成などの幅広い分野での協力」を行っていくという約束をしている。事実、日本はアラブ諸国に対して多額の支援を継続的に行っている実績がある。


あるいは、イスラムテロ組織にとっては日本のこの活動というのは面白くない話かも知れない。自分たちこそが正義だと、総主張するにもかかわらず、日本による人道支援がなされたのでは、その主張に邪魔になる可能性はある。
心配なのは、“積極平和主義”を掲げる安倍首相が、<集団的自衛権>や<武器輸出>を推し進めようとしていることです。しかも、イスラム国を完全に敵に回してしまった。このまま“積極平和主義”を掲げ、アメリカと一緒に戦争をしようとしたら、イスラム過激派にアメリカと同一視され、間違いなくテロの標的にされるでしょう」
そして、安倍氏の「積極的平和主義」が曲解されている可能性も否定はできない。
が、問題は、テロリストがその様な認識をしたからと言って、日本政府の責任と言及する立場の人間が存在することである。

安倍政権は、日本の活動が和平への支援であり、非軍事的で人道的な支援であるという説明を丁寧に続けていく責任はある。その点は間違いが無い。
だが一方で、それを曲解する連中の肩を持つことで、安倍政権が批難される謂われは無いということだ。


残念なことではあるが、湯川氏の生存はかなり絶望的な状況になった。

湯川さん「殺害」の写真 首相「信ぴょう性高い」

2015/1/26 1:36
安倍晋三首相は25日、過激派「イスラム国」とみられる組織がインターネットで公開した画像の中の湯川遥菜さん(42)を殺害したとする写真は「信ぴょう性が高いと言わざるを得ない」と述べた。政府は関係国と連携し、拘束中の後藤健二さん(47)の解放に全力を尽くす。首相はオバマ米大統領と電話で協議し、連携を確認した。米欧首脳らはイスラム国を一斉に非難した。
一方で、殺害を予告されながら、後藤氏は未だ生存している可能性が示唆されている。
イスラムテロ組織の要求も、2億ドルから「ヨルダンで連続爆破テロに関与し、収監されているサジダ・リシャウィ死刑囚の釈放」というものに変化した。

大阪人の値切り交渉みたいに、最初は支払えるはずの無い様な金額を吹っ掛けて、その後にトーンを下げて交渉してきている。
あたかも「現実的な路線に切り換えた」かのような報道もチラホラあるが、ハッキリ言って、無差別テロを行った最悪のテロリストの釈放などあり得ない。
そして、このテロリストはヨルダンに収監されているのであって、日本の裁量は何ら及ばない。

「後藤氏だけでも」という世論は出てくるかもしれないし、それはイスラムテロ組織の狙いでもあるのだろうが、そもそもテロリストと交渉すると言うこと自体がナンセンスなのである。
そして、悲しいかな日本はテロリストを粉砕する手段を持たない。この期に及んでも日本政府に出来ることは殆ど無いのである。


安倍政権が湯川氏を殺したというような表現をするゲスな輩もチラホラいるようだが、この論調はこのニュースと同じ構造だ。

中学生が原付バイク2人乗り 逃走中に衝突し1人死亡 茨城

01/12 00:19
茨城・ひたちなか市で11日、2人乗りをしてパトカーに追跡されていた原付バイクが電柱に衝突し、運転していた女子中学生が死亡した。
「警察がバイクを追跡したから、原付バイクに二人乗りしていた女子中学生が死亡した」という、頭のおかしな主張をする人が沸いて出て来ている。
だが、そもそも「原付バイクに二人乗り」や「女子中学生が原付バイクに乗っている事実」そして、「赤信号を無視して走行」し「後ろに乗っていた一人はヘルメットをかぶっていなかった」という、どこから突っ込んでイイやらよく分からない状況を棚上げしての主張の何処に理があると言うのか。
バカが二人、電柱に突っ込んで死んだ、という論調にならないのが不思議で仕方がない。

「この二人は殺されるようなことをしたのか!!」と、憤る人も沸いて出るかも知れないが、無免許運転で原付バイク二人乗りというのがどれ程危険な行動であるか分かった上でそんな発言をしているのであれば、「寧ろ誰かを轢き殺さなかっただけマシと考えるべきでは無いのか?」と。
無免許運転の自動車が通学中の小学生の列に突っ込む事件を見て、運転者を批難しても、自爆したら同情される。不思議な構図である。


そして、奇しくも湯川氏と後藤氏は、外務省によって渡航を延期するよう警告されている場所へ行って、危険な状況に合い、湯川氏は残念ながら命を落とした可能性が高い状況にある。
これを「自己責任」だから「見捨てるべき」という話はおかしい。政府がどんな状況にせよ自国民を救うべき努力するのは当然なのである。

が、しかし、テロリストの主張に応じて身代金は支払うべきでは無いし、テロリストとの交渉で妥協すべきでも無い。日本政府にとって、出来ることは情報収集や他国への協力要請、そして誤解されている部分があるとすればそれに対する訂正くらいのものだろう。

そして、日本政府に出来ることは僅かでも、全力で取り組んでいる訳で、何も出来なかったからと言って批難するのはおかしい。
湯川氏を殺したのは、あくまでもテロリストで、それに対抗する手段を持たなかったのは国民の責任である。後から考えれば安倍政権の失策だった、ということはあるだろうが、現時点で批難されるような点は一つも無かろう。

日本国民は、二人の無事を願うのであれば、せめておかしな主張をして政府の足を引っ張るような真似をすべきでは無い。


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