佐賀、IT授業革命は失敗か

まあ、無理だよね。

佐賀県立高パソコン授業の惨状(上) ― トラブル続出で授業は停滞

2015年2月23日 08:35
 「先進的ICT利活用教育推進事業」の一環として、県立高校の新入生全員に約8万5,000円パソコンを購入させ、助成額を除いた5万円を保護者負担にした佐賀県。6,579人(中途編入を含む)の新入生家庭のうち、県が用意した借入れ制度を利用した保護者の数は総数の2割を超える1,387人にのぼっていた。
「先進的()」な授業がそもそも滞る状態では、壮大な実験は失敗だってことだ。


今は、小学校でも児童にパソコンを教える時代だが、佐賀県立高校は何故か新入生全員にタブレットパソコンを購入させてしまう愚行に出た。
約8万5,0000円パソコンとあるが、これ、Windows 8タブレットPCのことである。

佐賀県の県立高校が導入する5万円のWindowsタブレットは、高い?

2013年12月18日17時00分
 先週、佐賀県の県立高校が富士通製のWindows 8タブレットを導入するというニュースが話題となっています。
機種は『ARROWS Tab Q584/H』だ。富士通製だぜ?
 スペックは、プロセッサとしてAtom Z3770(Bay Trail)を搭載、メモリは4GB、ストレージは64GBなど、基本構成を踏襲しています。着脱可能なキーボードは本来オプション品ですが、佐賀県向けモデルではキーボードを含んだ“2in1”仕様となっています。
キーボード付きなので、パソコンと表現したくなったかも知れないが、タブレットPCはそんなイイモノじゃない。
 これらの構成を富士通の直販サイトで購入しようとすると、Officeやキーボード、3年間の保証を含めると、価格は少なくとも12万円以上。一方、佐賀県向けモデルでは本体価格が7万4千円となっており、かなりの割引が設定されていることがわかります。
まあ、それなりに割引されていたようなので、お得感はあっただろうし、購入担当や業者は頑張ったんだろうけど。


それはそれとして、なかなか厳しい状況みたいだね。
トラブル続きで授業にならず
 佐賀県の県立高校は36校。平成26年度の新入生は6,579人だ。パソコン納入を一括受注した「学映システム」(佐賀市)は、学習用パソコン6,579台、約5億6,000万円を売り上げたほか、授業用パソコンを使用するにあたって発生するトラブルへの対応及びセキュリティ管理などを行う「佐賀県学習用PC等管理・運用業務」を契約金額8,726万4,000円で請け負っていた。
んでもってこちらが実績表である。
問い合わせ件数
記事には色々な事が書かれているが、4~5月にはインストール関連の問い合わせであった模様。


新入生が6,579人で、655件(4月)の問い合わせって、一人1件問い合わせたと仮定すると、ほぼ1割の生徒が困った状況になった模様。
そして、完了率が74.2%というのが恐ろしい。26%弱はその月のうちにトラブル解決できなかったって事っすか???

具体的な話をしよう。
Windows 8がOSとしてインストールされるPCの場合、それまでのWindow 7までと操作方法が異なる為に、慣れた人でも操作にかなり戸惑う。
体験的な話で申し訳ないが、全てのソフトがインストールされ、動作チェックが終わった状態でPCを支給すると、Windows 8パソコンの場合、使用開始から数日で概ね7割の人が使い方が分からないという悩みを抱える模様。そして、3割の人が自己解決できなかった。
「使いにくいわ」という評価になるのはこの辺りに原因があるらしい(購入担当の体験談)。

知った人から見れば、何のことは無いトラブルだが、WindowsというOSの操作自体は素人にはなかなか難しいのである。Windows8だけの問題じゃ無いんだけどね。

え?そんなことは無い?普通に仕事で使える?

そりゃそうだろう。基本的には通常の操作をする上では、特に困ることは無いハズだ。
特に、日常業務で、ワード、エクセル、メールソフト、ブラウザを使う程度で、時々動画を見るレベルならば、初期設定が終わっていれば何ら問題は出ないはずだ。
また、佐賀県立高校が導入した、この「ARROWS Tab Q584/H」はハイエンド機種である。安定した環境であればかなり使える機種となっていたハズ。

じゃあ、何が問題かというと、この辺りに答えがある。
 5月、6月の問合せで多数を占めたのは、教材のインストールができないといった初歩的なトラブル。新入生が購入したパソコンに必要とされる教材ソフトのインストールができず、授業での使用が不可能となる状況が相次いでいた。
ここと、新入生にタブレットPCを購入させたってことだろう。

PCをお持ちの方ならば、購入直後の環境設定の面倒さ加減は、体験済みだろう。オールインワンであるハズのPCを買ったのに、ネット環境は整える必要があるわ、ソフトの初期設定をしなければならないわ、メールアドレスなどの設定を行わなければならないわ……。
慣れていても、概ね3時間程度はかかるこの作業、トラブルがあると解決までに1日~2日係ることもざらである。
佐賀県立高校の場合、今までPCに触ったことも無い生徒もいるはずなのだが、いきなり教材として買わせる辺りがまずどうかしている。

そして、新規購入した個人の持ち物故に、教材のインストールという作業が発生するわけだが……、ここでタブレットPCの弱点が影響したものと予想される。


タブレットPCは、Wi-Fi標準装備であり、有線でのネット接続は出来ない。
ところが、Wi-Fi環境というのは、複数同時接続すると色々とトラブルを生じやすい環境なのである。
インストールを始めたら、ネット接続が上手く行かないのでフリーズ、再起動、ブログラムが上手くダウンロードできなかったために生じる不具合と、もう、単純に考えただけでもため息が出るような状況が発生する。

そして、最悪なことに、佐賀県立高校は授業中にこの教材インストール作業をやらせたそうで……。

佐賀県の教材ダウンロード障害にみる、教育ICT3つの課題

2014/07/15
 佐賀県教育委員会が県立高校1年生全員に導入したキーボード付きタブレットPCで2014年4月、一部の教材ソフトがダウンロードできない不具合が生じた。全国でも初めて「1人1台タブレットPC」を導入した佐賀県が遭遇したトラブルは、ささいな障害にみえる一方で、教育ICTを推進する他の自治体にとって貴重な教訓を含んでいる。
教師がパソコンに詳しいなんていう保証は何処にも無いし、実際にこのケースでも多くの教師がこうしたトラブル発生時に解決する能力は無かった模様。授業になったのかどうか、かなり怪しいな。
佐賀県教委の福田孝義副教育長によれば、ダウンロードでトラブルが発生したのは2014年4月下旬。大手出版社2社が提供した副教材ソフトウエアを、授業中に生徒が一斉にダウンロードしたところ、一部の生徒は授業時間中に処理が完了せず、授業に使えなかった。最終的に、ダウンロードエラーになったケースもあったという。その教材の容量が、動画を含めて数Gバイトと大きかったのが原因とみられる。
そりゃね、授業にならないわ。
そもそも数ギガレベルの教材を作った業者も業者だよな。

この対策として、教材をUSBメモリで配付する、教員が手作業でインストールするなどの対策を採ったようだが、ウイルスの温床になりかねない話だよね。

加えて、こうしたモバイル機器の欠点として、充電の問題がある。事前に十分に充電できていない状態で授業を始めると……。
まあ、どうなるかは想像して頂ければ良いと思う。

さらに冒頭の記事ではこんな文章が続く。
 問合せのうち、ハード――すなわちパソコン本体の故障・不具合が驚くべき高率で起きていることも明らかだ。4月はデータがなかったが、5月から毎月200~400件。夏休み中に減ったのはわかるが、9月になって急増。10月には512件を記録していた(下は報告書の一部)。
この記事には言及されていないが、ハードトラブルが増えた理由は、落としたりぶつけたりという単純な話だけでは無く、多分、夏休み中にあんなソフトやこんなソフトを勝手にインストール(個人の持ち物だからね)したが故に発生したトラブルが生じた可能性が高い。
 夏以降は、ソフト関連ではなく、パソコン本体に多数のトラブルが起きたことを示している。使い込むうちに、機材(タブレット型パソコン「ARROWS Tab Q584/H」)の脆弱性が高まったと見られ、平成27年度は別の機種に変更されるという。
ハッキリ言おう、機種変更したところで問題は解決しない。運用の問題なのだ。


何故そんな断言が出来るかというとこちらの話に関係がある。
「レベル」の説明 これだけでは何のことやらさっぱりだが、記事にはこの様に説明されている。
 レベル1とレベル2は、はっきりと『一時的に問題を解決』と記し、それぞれ『完了までに時間がかかる』、『解決策がわかっていない為、根本的な改善には至っていない』としている。つまりは「先送り」。一般社会の常識では、レベル2の段階で返品が可能というべきだろう。レベル3――業界用語を並べているが、要は販売代理店(学映システム)では対応不能で、メーカーに任せるということ。“お手上げ”の状態だった。
この学英システムという販売代理店の人間がどれ程PCに精通した優秀な人材であるかは分からないが、電源トラブルが絡んでこれば、メーカーに投げるより他無い。

上の問い合わせ件数の載った表で「レベル2」とか「レベル3」とかいう表示の件数が出ているが、60~80件の深刻なトラブルが発生していたという話になると、購入者の1~2%は故障扱いとなったって話だ。これが毎月の話だから、どれだけ故障しているのかという状況である。

システムの脆弱性以前にこれだけの問題が出ることの方が、大きな問題だ。何故ならば、市場のPC関連のトラブル発生率はこれより2桁くらい少ない。
というか、作ったタブレットの数割(最低1割)が深刻なトラブルを抱えるようでは、製品として成り立っていない。全品リコールである。


さらに、記事には資料として出てこないが、こんな言及がなされている。
完了率で数字操作
 「完了率」の数字に関しては、「先進的ICT利活用教育推進事業」の胡散臭さを象徴するような、勝手な数字操作も行われていた。9月、10月の完了率の数字を上げるため、問題を先送りしたレベル1とレベル2も、「完了」の中に入れているのだ。レベル0だけを本来の「完了」とみなし計算し直すと、両月の「完了率」は次のようになる。
・9月 レベル0=315件 完了率60% (報告書では82.06%)
・10月 レベル0=366件 完了率56% (同91.1%)
これは筆者の勝手な推測に過ぎないかもしれないが、レベル0の数字が「完了率」に反映されていないのは事実の模様。

余りのトラブル発生率に、現実から目を背けた結果と言う事なんだろうな。憶測だけど。

「生徒も『プリントの方がいい』と言います」 佐賀県の授業用タブレット問題、現場から伝えたブログ終了

今年度からすべての新入生が授業用のタブレット端末(ARROWS Tab Q584/H)を購入している佐賀県の県立高校について、現場の混乱を赤裸々に報告してきたブログ「佐賀県ICT利活用教育の現場報告」が終了する。
まあ、プリントが良いわな(笑

だって授業にならないんだから。


と言うわけで、佐賀県立高校のこの話、完全に失敗であったと、そう判断して差し支えない。

やってみなければ分からない事は多々ある。が、高価な商品を買わされた上に故障した方にしてみればたまったものでは無い。

そして、このトラブル報告件数は、あくまで業者側が提出した数字を元に作られた資料である為、実際に授業中にトラブル発生後自己解決したようなケースは含まれないと見るべきである。

つまり、この話は氷山の一角で、もっと多くの問題を生じていた可能性が高いわけだ。

正直な話、各自に購入させる方式で、家に持ち帰ることが出来る状態を続ける限り、この様なトラブル多発といった状況は改善しないだろう。

教材まで初期にインストールされて、動作確認までされ、新たにインストールをしないという前提での運用ではどうしてマズイのだろうか?その方がよっぽどリスクは少ないんだが。

で、そうだとすると、もうタブレットを使う意味なんて無い。デスクトップ型で良かったんだよ!!(苦笑
家に持ち帰って反復学習させるなら、クラウドにデータあげておけって。やる生徒なんてそんなに多くないんだし。

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コメント

  1. 教える側があまりにも知らなさ過ぎます。民間企業では全く通用しない思考と人材ですね。

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  2. ですよねー。

    民間企業でもPCを使えない人は全く使えないわけでして、何処かで教育すべきという話になると、学校である程度は、という流れも理解は出来るんですよ。

    教える側の教育というのは、頭が痛い話になりそうです。
    だって、学校の先生は理系があまりに少ないですから。

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