沖縄県の未来と琉球王国の悲哀と先住民族と

沖縄県知事が、国連の人権理事会で演説して盛大に滑った話は書いたが、反論があったことについては詳しく書かなかった。

「沖縄で人権侵害ない」「知事は尖閣狙う中国の脅威を無視」 国連人権理で辺野古賛成派が反論

2015.9.22 22:11
 【ジュネーブ=内藤泰朗】沖縄県の翁長雄志知事(64)は21日、スイス・ジュネーブの国連人権理事会で演説し、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設で「人権侵害が行われている」と訴えた。一方、22日には辺野古移設賛成派が「沖縄で人権侵害はない」「知事は尖閣諸島を狙う中国の脅威を無視している」と反論。人権理事会は、沖縄の基地問題で論争が交わされる異例の事態となった。
しかし、ある意味画期的な反論が行われていた事は紹介しておきたい。


知事の滑りっぷりについてはこちらに言及している。
翁長氏
現職知事による国連人権委員会での演説は前代未聞の出来事だが、その場で政府を批判し人権問題を訴えるというのが更にちょっとあり得ない。
この際に、日本政府側の答弁も行われていたことは前の記事で紹介したが、基地移設賛成派による発言の機会も得られていたことには触れなかった。
我那覇氏
反論をしたのは、この女性である。
 一方で移設賛成派にも発言の機会が設けられ、沖縄県名護市の我那覇真子(がなはまさこ)さん(26)が22日、翁長氏の「人権侵害」発言は「真実ではない。プロパガンダ(政治宣伝)を信じないでください」と呼びかけた。
我那覇氏の反論は、「プロパガンダ」という言葉を使った辛辣なもので、なかなか刺激的ではあるのだが、本質に切り込んだ発言でもある。
 沖縄生まれの我那覇さんは、沖縄が日本の他の地域と同様に人権が守られていると明言。「沖縄が先住民の土地だと主張することで沖縄を独立に導こうとする人たち、それを支持する中国こそが地域の平和と安定を脅かし、人権への脅威だ」と報告した。
短い言葉の中に、説得力のある話がちりばめられていた。
 さらに、尖閣諸島を抱える沖縄県石垣市の砥板芳行(といたよしゆき)市議会議員(45)の言葉を引用する形で、「中国が東シナ海と南シナ海でみせている深刻な挑戦行為を国連の皆が認識することが重要だ」と締めくくった。
この方、前市長の仲井真氏に繋がりのある方のようだが、若いのにしっかりした考えの持ち主の模様。ある意味適任だったのでは無いだろうか。



ただ、内容についてはちょっと唐突に感じる部分もある。
彼女が得られた反論の時間が短かった事もあるし、背景を知らないとなかなか難しい話なので、僕が分かる限りで少し解説を交えながら考えていきたいと思う。

まずは、反論に出てきた「先住民」という言葉についてだ。

「先住民」或いは「先住民族」と言えば、かつては国家を持ち繁栄を極めていものや、多数は民族を支配していた歴史を持つものを指すようで。



ただ、国連でこの言葉を使う場合には、以下の様な定義があることが前提に理解される。
国連の補助機関であった先住民作業部会(WGIP)によれば、先住民族とは政治的に劣勢な位置にある集団で、その国の支配的な地位にある集団のものとは異なった、同じエスニック・アイデンティティを共有し、現在統治している国家が支配を及ぼす以前から、その地域によってエスニックな実態をなしていたもの、というらしい。

ワケがわからないが、例えばインディアン(今はネイティブ・アメリカンと呼ばれるが)やエスキモー・アレウト人、或いはアボリジニなどは割と有名で、このカテゴリーに属すると認定されている。



で、この定義だと、ある程度の歴史を持っていれば「俺が先住民だと言えば先住民なんだ」という認識の集合体に、その権利が発生してしまう。

日本では、アイヌ民族なる先住民族の存在が公式に認められているのだが、こうしたコミュニティの存在は他にも様々存在する。例えば大阪人が大阪民族を名乗ったとしても、それは定義に当てはまってしまう。

そうした定義を利用して、沖縄県や奄美地方に住む住民たちを指して琉球民族という民族意識を植え付けようとする団体がいるが、これもまた同様のことだろう。

そして、個人的にはこの先住民権利なる話、どうにも悪用される素養があるように思えてならない。

沖縄県が、執拗に「うちなんちゅー」やら「やまとんちゅー」といった言葉を使って独自性を強調したり、独自の文化を主張したりするのには、そうした下地があるのだと思うと、民族主義という言葉が頭をよぎる。

更に、琉球民族が認められたところで、琉球独立にいきなり論理飛躍させるのは、流石に無理があると思うわけで。



歴史を紐解くと、確かに琉球王国(1429年~1879年)なる王国が存在した事実はある。

が、度重なる薩摩藩からの侵攻や黒船来航(1853年)の際には、ペリーが琉球王国を占領する用意があったとされており、常に外圧に晒されていた。そして1871年に明治政府が廃藩置県によって琉球王国の領土を鹿児島県管轄とし、この頃から日本の一地域として認識されるに至っている。
その後、琉球藩としての地位を確立するも、1987年には王城である首里城明け渡しが命じられて、沖縄県の設置が決まった。この辺りのことを琉球処分と呼ぶ。

しかし、琉球王国は古くから、日本と清国の両方に冊封関係を維持しながらコウモリ外交を続けている歴史があったので、この沖縄県設置後も、一部の琉球氏族が清国に救援を求めるなどの抵抗を続けていた。
結局、これに決着がついたのは日清戦争(1894年~1895年)の日本の勝利が確定した後のことであった。



古来から琉球王国にとって、独自で兵力を維持してその地域を守ることは困難であったために、様々な外圧から逃れる手段としての朝貢を行ったり、薩摩軍の猛攻を受けて薩摩藩の間接支配を受け入れたり、幕末の頃には欧米各国の船の来航を受けて開港したりと、その時々で違った対応を迫られることになった。

歴史に翻弄され続けた琉球王国が、琉球処分を受け入れ日本に組み込まれたのもまた、歴史の必然であったと言えよう。

そして迎えた大東亜戦争では、那覇市の9割を空襲によって消失。1945年には沖縄戦の悲劇に見舞われ、敗戦を迎える。その後、アメリカの統治を受けて、「日本に同化された異民族」としてアメリカ軍政下に置かれるに至る。ネイティブアメリカンを迫害したアメリカ人が、政治的な都合によって沖縄県民を「異民族」扱いするのだから、苦笑するしか無いわけだが、当時はそれに呼応した沖縄県民も居た訳だ。だが、蓋を開けてみればアメリカが琉球政府を創設して軍政下に置き、沖縄県民はアメリカ軍による支配に苦しむことになる。兵士たちによって幾つもの事件が起こされ、多くの死者も出たのだ。
これに怒った沖縄県民達は祖国復帰運動を行って、1972年にようやく本土復帰を勝ち取ることになる。

この時、日本政府はアメリカ政府に対して沖縄復帰にあたり特別支出として3億2000万ドルもの大金を支払っている。現代に換算すると、7兆円以上のお金を支払ったことになる(1972年度の日本の国家予算は11兆円程度で、当時は1ドル300円程度のレートであったので、900億円程度、つまり国家予算の8%にあたる金額がつぎ込まれたことになる。現在の日本の国家予算は2014年度で95兆円程度なので、7.7兆円程度になる計算に)。



このような歴史を経て現在の沖縄県があるのだけれど、今再び琉球王国として独立などという話が出てくるのは、理解に苦しむ。

無論、先住民族の定義からすれば、琉球民族という存在を認定しても良さそうなものだが、だから日本政府が琉球王国としての独立を認めるとか、一国二制度を受け容れるとか、意味がわからない話になるのはやはり違うだろう。

少なくとも琉球王国の時代は徳川幕府に対して庇護を求め、明治政府の決定を受け入れて沖縄県は望んで日本になったのであり、戦後も再び日本に望んで復帰している。日本政府から、弾圧されたり、強制されたりといった事実は存在しない。

日本政府にとって沖縄返還が遅れたことに対して引け目を感じる部分があるのは分かるが、そこに付け込んで莫大な補助金を請求したり、独立したいと言い出すのは単なるわがままであって、「先住民族」の権利などではないだろう。



例えば、翁長氏は国連に「人権問題」を訴えて独立を果たしたとしよう。

しかし、琉球王国は古くからその地理的条件によって外圧に晒される運命にあったわけで、その地理的条件が変化したということはない。
だから、琉球王国はどこかの軍事力に頼って統治していくしかないという条件も変わらない。軍備ゼロでは、国民を守れないのが現実なのだから。

そうなると、結局のところ支那の共産党に「守って下さい」と言うつもりなのだろうか。朝貢を再開するつもりかな。
巨額の税金を注ぎ込んで龍柱を好んで建てるあたり、その気配は濃厚だ。
が、独立した経済圏を維持できなければ、台湾や香港のような立場を勝ち取るどころか、チベットやウイグルなどのような悲劇を招きかねない選択肢である。

そうなった時に、再び日本に支援を求めても遅いのである。



支那の支配下に下れば、琉球王国は徹底的に破壊しつくされて、日本としても沖縄県に戻すメリットを感じない可能性だってある。
今は、沖縄県は日本の領土であるからこそ、無条件に防衛しようと言う話になるのだが、そうでなくなった場合に、日本が戦端を開くには相変わらず憲法9条が邪魔をする事態となる。
いや、昨今通過した安保法制によって、或いは「自衛権の行使」を主張できる可能性はあるが、それは他国を攻める行為になるため、集団的自衛権の範囲内でないと戦えないことになる。

ああ、大変だ。日本には交戦権が無いので、そうした戦いは出来ない(棒)
急いでそうした法整備もしなければ!その間は待っていてね(棒)

こうした事を現実的に考えていくと、どうしたって沖縄防衛のためにアメリカ軍か日本の自衛隊の駐屯は不可欠であるし、基地とは切っても切り離せない状況を続ける事になるのも避けられないだろう。
地政学的な問題を「差別だ」というのは、ちょっと無理がある。

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コメント

  1. 沖縄独立の際には中国韓国台湾の軍を受け入れるとか書いた記事前に見たような……
    これで大体察しが付くというのがなんとも

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    1. あー、そんなことを言っていた候補がいましたね、沖縄県知事選で。

      https://www.youtube.com/watch?v=ku3cduvyGMQ

      流石にネタ臭い話ですが、本人は大まじめなのでしょう。いや、或いは翁長氏の援護射撃的な位置づけを任されていたのかも知れません。

      削除

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