軽減税率を諦めろ!

このブログでは一貫して軽減税率制度に対して反対をしてきた。

自公 軽減税率でより簡素な経理方式調整へ

11月5日 4時54分
消費税の軽減税率を巡って、自民・公明両党は、品目によって税率が異なる場合の事業者の経理について、両党の税制調査会長の間でより簡素な方式を検討することにしていて、平行線が続く対象品目の扱いも絡みながら、調整が行われる見通しです。
自民党は公明党に足を引っ張られて未だに四の五の言っているようだが。軽減税率の素性の悪さは、色々と説明してきた。


自民党はそろそろ腹を括るべきだろう。
自民党の内部でも反対する勢力はあるようだ。
そもそも、消費税率アップは政治家にとっては自殺行為に等しい政策である。政治家にとって増税はどうあってもやりたくない。特に、支持基盤が老人層である自民党にとっては、老人の生活費にダイレクトに影響する消費税増税など愚策でしかない。

それでも消費税率を上げざるを得ないのは、長期的な視点で見て徴税方式を改めなければならないと判断したから、という事のようだ。
財務省の差し金と言う事もあるんだろうが、政治家も計算ができないわけでは無い。今の段階で舵を切った、というのは英断と呼ばれる可能性がある程度には政策としておかしな話じゃ無い。


ただ、何れにしても景気が減速している状況では、増税というのはいかにも具合が悪いのも事実。
それでも、ズルズルと増税する時期を引き延ばすのは問題の先送りに過ぎず、あまり褒められた話では無い。
アクセルとブレーキを同時に踏む行為と揶揄されようが、景気対策と税収構造の改革は行っていかねばならないだろう。

で、前提として、時期の是非はともかく消費税の引き上げ自体は一理ある政策だ、という話であるとして、じゃあ、「軽減税率導入」はどうなの?と言う話なのだが……。
まあ、ちょっとあり得ない話だと思うんだよねぇ。


幾つか反対する理由があるが、掻い摘まんでいこう。
<軽減税率導入のメリット>
期待できる効果としては、生活必需品に対する税負担軽減という側面がある。収入が低い家庭ほどエンゲル係数は高くなる傾向があるため、貧しい家庭にもそれなりには恩恵がある。
他には……、他にメリットがあるかと問われると、非常に疑問だな。

ああ、消費税を更に税率アップする際に、その抵抗を和らげる程度の効果は期待できる。

<軽減税率導入のデメリット>
デメリットは沢山ある。
先ずは、税収が減る。これは単純な話で、「消費税」の特性から、頻繁に消費されるモノほど高い税収が期待できる。しかしながら、ココの税率を軽減するのだから、税収が減るのは当たり前だ。
さらに、複雑なシステム、例えばインボイス制度などを整備する必要性があり、小売業者などにも負担がかかる。単純に言えば、消費税率10%にした際に、軽減税率制度を導入して食品などの一部生活必需品に対する税率を8%程度に軽減した場合、軽減に対する有り難みが薄いという現実的な点は脇に置いておくとして、システム導入と軽減率の影響によって、増税分は吹き飛ぶ。増税したのに税収が減って、さらに小売業者などの負担が増えるのだから、話にならない。

軽減税率が導入された場合に問題になる現実的な側面としては、何処に線が引かれるのか?対象商品は一体何なのか?で、納税者が混乱を来す可能性が高い。
例えば、食料品を買った場合に8%の税率が適用されるけれども、レストランなどに入ってサービスを受けた場合には10%の税率負担となる。じゃあ、テイクアウトの商品はどうか?実際にある外国の例を参考にすれば、店で食べれば高いままだが、テイクアウトすれば税率が下がるというまか不思議な話に……。


とまあ、そんな訳で軽減税率制度というのは欠陥の多い制度なのだが、公明党がこれに拘る理由は「庶民の味方」等と言う看板を掲げているからだろう。
だがしかし、軽減税率など導入したところで、低所得者層に対する援護射撃にならないことは既に説明した通りである。
寧ろ、小売業などを中心とした低所得者層に対して大きなダメージを与えかねないのがこの軽減税率制度であり、「制度設計は出来てないけど来年から」なんて話はちょっとオカシイのである。

で、冒頭のニュースはと言うと……。
消費税の軽減税率を巡って、自民・公明両党はこれまでに、事業者の納税額を正確に把握するためには、税率や税額を記載する請求書「インボイス」の導入が必要だとしながらも、再来年4月に混乱なく制度をスタートさせたいとして、簡素な経理方式を検討していくことで一致しています。
軽減税率導入は「絶対必要」だから、間に合わせの「簡素な経理方式」を導入するという話。
もちろん、これ、大きな問題がある。
ただ、自民党内からは、簡素な経理方式では、納税額が正確に把握できないなどとして、「インボイス」の導入までは、軽減の対象品目を「精米」などに絞り込むべきだという意見なども出ていて、両党の間で平行線が続く対象品目の扱いも絡みながら、調整が行われる見通しです。
まあ、米作農家が支持基盤の自民党員が「精米」を軽減対象にしたいという気持ちは分かるが、その部分はさておくとして、「納税額が正確に把握できない」という非常に大きな欠点を抱えたままのスタートはマズイ。


ハッキリ言えば、納税額の誤魔化しなどが横行しかねず、消費税制の信頼性を損なうリスクすらある。
……もとよりそんな「信頼性」など無い、と言われると、ちょっと困る(苦笑

まあ、万人が納得する対象品目選定などあり得ないのだから、エイヤーで線を引いて、後から修正するなんてスタイルが採られるのは想像に難くないが、納税額のが正確に把握できないがために、後から「払う必要の無い税金を支払った」などという事案が出てくると、面倒な事この上ない。

ドイツ等は軽減税率廃止の方向に舵を切ってきており、「欧米で導入されている実績ある制度なので良いのだ」という判断はちょっと早計である。

10%に増税するタイミングは直ぐそこに迫ってきているので、これを理由に増税を見送るか、増税するのであれば定率還付するというスタイルで当面対応するのが妥当だと思う。
インボイスなどは寧ろ導入が必要な制度なので、増税せずとも導入する事には賛成したいが、インボイス導入無しの軽減税率導入は本当にあり得ない。

ついでに、自民党は公明党と手を切るべきだ。そうしたら、無理な政策を推し進めずに済むだろう?


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