スペイン政府、カタルーニャの自治権を21日から停止

火に油を注いでどうするんだよ。

スペイン政府、カタルーニャ州の自治権を停止へ

2017年10月19日
スペイン政府は19日、北東部カタルーニャ州の自治権を21日から停止すると発表した。
首相府によると、カタルーニャの自治権停止を可能にする憲法155条を発動させるため閣議が開かれる。
一時は軟着陸するかに思えたカタルーニャの話だが、どうやらスペイン政府側が油を注ぐ決断をしたらしい。
スペインのカタルーニャ地方は、古くから独立を目指す勢力の強い地域性であった。これは歴史的背景もあって、なかなか容易に解決し得ない問題だろうと、その様に感じる。
そんな地域の主張を汲んで、中央政府もカタルーニャに自治権を設定していたのだが、どうやらこれを取りあげる流れになるらしい。

そんなことをすれば、当然カタルーニャ側も反発する。
カタルーニャ州のカルレス・プッチダモン州首相は、中央政府が「抑圧を続ける」ならば、今月1日のスペインからの独立を問う住民投票の結果に基づき、州議会が独立宣言の採決を行うと述べていた。住民投票をめぐっては賛否両論がある。
こういったケースの中央政府の対応というのは意外に難しいのだろう。カタルーニャ側は勝手に住民投票をやって、独立宣言すると息巻いているが、現実問題としてカタルーニャが独立できるような下地ができているような話は聞かない。
国として独立すれば、外交もそうだが内政がしっかりできる体制が必要で、こうしたタイプの独立手法をEUが認めるはずも無い事を考えると、カタルーニャは独立したらEUとは切り離した政治を余儀なくされる。
ロシア辺りと内通していて、国防から何から丸投げできる体制ならばソレもアリかもしれないが、ロシアがそんなことをすればそれこそ大戦の火口を切りかねない。孤立無援のカタルーニャが自立することは現状では困難だろう。カタルーニャが独立して得られるメリットは、いまいち僕には理解出来ない。

スペイン中央政府も多分似たような読みなのだろうが、しかしカタルーニャの自治権を拡大するとスペイン全土にその流れが生まれかねない。空手形で将来的に自治裁量権を拡大する辺りが落とし所のようには思えるが、金を持っているカタルーニャの自治裁量権を拡大してしまうと、多分、将来的に本当に独立しかねないだろう。
そうだとすると、スペイン中央政府の採れる手段というのは非常に狭いのでは無いか?という気はする。



ただ、だからといって、こんな強硬手段で自治権を取りあげることが、良いとも思えないのだ。
自治権の停止によって混乱が深まる懸念が一部に出ている。
住民投票の結果は、憲法違反で有るという結論は出ているとしても、その結果を無効とする話ならばともかく、自治権停止という手段に出るというのは、悪手だ。
今回の投票は、カタルーニャ住民の過半数に満たない4割程度の住民によるもので、その結果が9割以上の支持を得ていたにせよ、結果的には過半数以上の反対意見がある可能性があるということになる。しかし一方で、全体の3割強の有権者が独立に賛成したということを意味する訳で、違法な投票行為であったにせよ、軽く扱って良い問題では無い。
マリアノ・ラホイ首相は声明で、「カタルーニャ自治政府の合法性を取り戻すため、スペイン政府は憲法155条に明記された手続きを進める」と述べた。
独裁政権を敷いたフランシスコ・フランコ将軍の死から3年後の1978年に、民主制への移行に伴い施行された憲法の155条は、危機の際には中央政府による直接統治が可能になると定めている。

スペインの憲法の中身がどうだかは知らないが、「危機」の認定はやり過ぎに感じる。バスク辺りが呼応したら内戦の危機に発展する可能性もあるが、自治権停止という手法で今回の騒ぎが解決できるようにはどうしても思えない。

事態沈静化に向けて、譲歩が引き出せるかどうかを打診すべきだと思うのだが、そうした努力が徒労に終わった結果、だと見て良いのかな、今回の判断は。

議会によってどう判断されるかは知らないが……、強権執行ではろくなことにはならないぞ。カタルーニャはスペインのGDPの2割を占める経済が活発な地域だといわれており、観光地バルセロナを擁して強気なのは分かる。しかし逆に言えば中央政府の経済政策がショボイからカタルーニャ経済に頼る所が大きいという引け目があるのだろうし、メンドクサイ話が裏に色々と繋がっているとは思う。

この件は引き続き情報収集をしたいところだが、あまり良くない感じだな。


追記 (2017/10/20)

予想通りの展開だな。

EU首脳、カタルーニャ独立問題への不干渉を明言

ドナルド・トゥスク欧州理事会常任議長(EU大統領)は19日、スペイン北東部カタルーニャ自治州の独立運動をめぐる情勢について、「懸念すべき」状況ではあるものの欧州連合(EU)が行動を起こすことはないと言明した。

トゥスク氏はジャンクロード・ユンケル欧州委員長との共同記者会見で、「いかなる調停もしくは国際的な取り組みや行動の余地はない」と話した。

少なくとも表向きEUがカタルーニャに肩入れするとは思えないとは思っていたが、早速明言してきたな。

ただし「不干渉」だといってきたのは、牽制というよりも本音だろう。スペインも借金大国だから……。

ドイツのアンゲラ・メルケル首相やエマニュエル・マクロン仏大統領などほかのEU首脳らも、スペイン政府を支持する姿勢を見せた。

一方、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、今回の危機は、特定の分離独立運動のみ支持し、そのほかの分離独立運動は支持しないという西側の偽善を浮き彫りにしたと話した。

西側諸国は、コソボがロシアの同盟国セルビアから独立することは支持したが、カタルーニャやイラクのクルド人自治区の独立に対しては支持していないとプーチン氏は指摘した。

ドイツはスペイン中央政府を支持するのは当たり前である。スペインを食いものにしている国なので、早々潰れて貰っては困る。一方のロシアは立場は明確にしていないが、皮肉を言っているようだな。



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コメント

  1. コソボの独立に関しては、当事国のセルビアと国連を無視した国際法違反ですからね。
    (あー私は敵ながら天晴れで、プーチンが好きです。あんな首領を我が国にも持ちたい!)
    で、観光資源のバルセロナはスペイン中央政府側に立つ…そんな報道を読みましたが、実際はどーなんですかね?
    木霊さんの?は正直に妥当と思います。
    いずれにせよ、悪党どもの饗宴の気配プンプンで、他人事ながら面白い!
    プーチンの弁も一面で真理を突いてると思いますが。
    保守vsリベラルの話ばかりマスコミは言うが、実態はグローバリズムvs反グローバリズムでしょ?
    メルケルもヒラリーも、「差別は許さんけど格差は容認してね!」の連中です。
    格差拡大に肩を持って、何がリベラルだよ!
    笑わせんな!
    プーチンを非難する方がいますが、グローバリズムと戦って良い勝負をしているのはプーチンぐらいでしょ?
    もう世界は水とか今世紀に枯渇する可能性の高い石油とか、
    資源を奪い合う時代に直面してます!
    温い人道主義とか言っていたら日本人が滅びる!
    「国家主義」しかないのです。
    他の選択肢はグローバリズムだけ。これが世界の実情と思う。
    大政翼讃…上等でないすか!

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    1. プーチン氏は、日本では人気が高いですからね。その手腕は見事ですし、敵には回したくないものです。

      ヨーロッパのグローバリズム志向は、日本としてはEUを相手にするというのはなかなか難しいと思います。組織としてはグダグダになっていて、実質ドイツあたりが実権を握っている、けれど個別に連携を取ろうとするとEUを盾にされるという印象です。

      よってEUという枠組みでは相手にしにくく、個別で話はできるけれどもEUの枠に入っている国ともちょっとやりにくい。だとするとロシアと話をするべきで。でも、ロシアも信用できないんですよねぇ。ただ、話をできる国だとは思っていますので、上手く付き合っていきたいところですね。

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