韓国軍、似非アイアンドームの開発に着手

いやはや、韓国軍のパターンは分かり易いというか。
  1. 他国の優秀な兵器を導入しようという話が出る
  2. コストに見合わないといって導入中止になる
  3. 自国で開発することに
  4. 開発に失敗してなかったことになる
  5. 開発中の汚職が発覚して問題になる
典型的で華麗な流れではあるが、2番から3番にいく流れが常人には理解出来ないところまでがデフォルトである。

北朝鮮の長距離砲弾を迎撃 新対空防衛システム開発中=韓国軍

10/16(月) 11:25配信
【ソウル聯合ニュース】韓国軍当局がイスラエルの対空防衛システム「アイアンドーム」の韓国版として、北朝鮮の長距離砲の砲弾を迎撃するシステムの開発に取り組んでいることが16日、韓国軍合同参謀本部が国会国防委員会に提出した資料で明らかになった。
イスラエルの話は以前にちょっとだけ出した。
ユネスコ絡みの話ではあったが、本質はイスラエルという国の成り立ちと、そこに手を貸したのがアメリカで、アメリカとイスラエルの間には非常に強い結びつきがあるという話である。イスラエルはユダヤ人の国だという話も書いたが、ユダヤ人は非情に優秀である。イスラエルでは兵器の開発も色々と行われているが、そこにアメリカの資金援助が行われ、技術支援が行われる関係でなかなか高度な兵器を有しているパターンが多い。

アイアンドームもそんなアメリカとの関係で説明が付けられる兵器である。

Flickr_-_Israel_Defense_Forces_-_Iron_Dome_Intercepts_Rockets_from_the_Gaza_Strip

移動式の車両に装備される迎撃用のミサイルなのだが、アメリカが開発し日本も保有するミサイル防衛兵器とは異なって、ミサイルでは無くロケット弾などを撃ち落とす為の兵器だ。
イスラエルは、ロケット弾やら迫撃砲を撃ち込まれるのが日常茶飯事という物騒な地域に国を構えており、2006年にはロケット弾が4000発撃ち込まれ、ガザ地区からは2000年から2008年にかけて迫撃砲弾4000発が撃ち込まれるという、状況なのだそうで。

当然、これに伴う死者も出ており、防衛の為の兵器開発を!という話が持ち上がった。
で、2007年に開発が始まり2011年3月には部隊に実戦配備されている。
システム構成は、指揮ユニット、レーダー、ミサイルランチャーによって構成されていて、牽引車によって移動する方式になっている。開発は何れもイスラエルの会社が行っている。ただし、アメリカからも資金が出ている模様。

Iron Dome poised for first US-based intercept test in SHORAD demo

September 8
WASHINGTON — Israel is readying its Iron Dome for its first intercept test in the United States as part of the U.S. Army’s demonstration aimed at selecting an interim solution for a medium- and short-range air defense system.
~~略~~
Developed by state-owned Rafael Ltd., the Iron Dome will face off against three other potential solutions, including a Boeing and General Dynamics Land Systems team that is offering its Maneuver SHORAD Launcher Stryker made up of a modernized Avenger air defense system on the back of the vehicle reconfigured to accommodate the system on a turret.
Rafael is partnered with Raytheon, which produces more than 50 percent of components for the Iron Dome’s Tamir intercepting missile in the United States. The jointly produced Tamir missile was demonstrated in April 2016 as part of the U.S. Army’s Indirect Fire Protection Capability Increment 2-Intercept program, when it successfully intercepted a target drone after its launch from the service’s Multi-Mission Launcher.
ボーイング社やゼネラルダイナミクスランドシステム社、そしてレイセオン社が関与した事がこの記事にも指摘されているが、金も技術もアメリカから出ているという話だな。


で、この技術、何故アメリカでは無くてイスラエルが?という話なのだが、単純にアメリカ軍にはニーズが無い、それだけである。
日常的にロケット弾や迫撃砲弾が頭上を飛び交うようなイスラエルではこの様な兵器の需要があるが、基本的に他国で戦争をするスタンスのアメリカにとっては高い需要があるとはいい難い。

迎撃率は90%以上だとも言われているが、その話は母数が加味されておらずちょっと当てにならないらしい。それでもそれなりの効果は挙げられるという実績がある。ただし、運用費用がアホほど高いという点がネックになっている様だ。2012年11月に軍事衝突があり、8日間の戦闘では、2,500-3,000万ドルが費やされたと言われる。

人命に比べれば安いという意見もあるようだが、運用コストが賄えないようでは、兵器としては失格である。だって、継続して使えないのでは意味が無いのだ。オイルマネーのお陰で資金が潤沢にあるイスラエルならではの兵器と言えるかも知れない。

コレを韓国軍が採用する、あまつさえ自主開発するというのはハードルが高い。
 合同参謀本部は「戦争指揮本部や韓国型ミサイル防衛システム(KAMD)施設など、国と軍の重要施設に対する敵の集中攻撃に対応するための迎撃システムの戦力化を検討している」と説明。
何しろ、アメリカとイスラエルで共同開発したシロモノを、単独で開発しようというのである。どう考えても技術力不足だ。せめて、自力でロケットを飛ばせるようになってからモノを言うように。

しかし、それはそれとして、イスラエルのアイアンドームを安易に買わなかった事は評価しても良い気はする。
イスラエルからアイアンドームを購入することも検討したが、首都圏に対する北朝鮮の同時多発的な長距離砲攻撃への対応には適さないと判断したとされる。
 アイアンドームは射撃統制センターや探知レーダー、誘導ミサイル発射台、通信所などで構成される。複数の場所に誘導ミサイル発射台を設置してドーム型の防空網を形成し、長距離砲の砲弾を迎撃するシステムだ。イスラエルは2011年に開発を完了した。1基の価格は約560億ウォン(約55億円)に上り、迎撃用ミサイル「タミル」は少なくとも1発が約7000万ウォンとされる。
 合同参謀本部は「アイアンドームは(イスラム原理主義組織)ハマスのような非正規戦部隊の散発的なロケット砲攻撃からの防衛に適したシステム」として、「北の同時多発的な長距離砲の攻撃には適さない」と説明した。
検討されたように、一発のコストが高い上に、同時多発的な長距離攻撃に対応できるかといわれると、多分「無理だ」と言わざるを得ないからだ。

この手の迎撃装置は、早期に敵側からの攻撃を察知し、その砲弾の弾道を計算して、迎撃用のミサイルを発射して撃ち落とすという芸当を見せなければならない。イスラエルのアイアンドームでも散発的な攻撃はともかく、集中砲火に対応できるという話は聞かない。

ましてや、韓国で自主開発といっても、過去に韓国軍は北朝鮮からの砲撃に対応する為にアーサー君を導入した実績があるが、その試みは上手くいかなかった。
対砲兵レーダー「ARTHUR(Artillery Hunting Radar)」はスウェーデン製のレーダーなのだが、これが割と高い頻度で故障する様なのだ。実際に上手いこと機能しておらず、手を焼いていたようだ。そして、ついに自国で新しいレーダーを開発してしまう。
来年から新開発のレーダーが戦力化されるらしいが、本当に使えるのかは疑問である。

何しろ、アメリカから購入したAN/TPQ-37対砲レーダーも、対砲兵レーダーARTHURも、運用がままならずに死蔵してしまったと報じられている。それも、メンテナンス用の部品が調達できないとかそういう理由でダメにしてしまったっぽい。

新開発のソレが上手くいくとはとても思えないが、この新開発レーダーがあったにせよ、アイアンドームに行き着くためには、更にレーダーと迎撃システムと連動させるという面倒なロジックを実現しなければならない。

これが低コストで実現出来るとはとても思えないんだな。北朝鮮の火砲は旧世代のシロモノだが、何しろ数がある。飽和攻撃をやられたら、レーダーで砲弾を補足することはままならないだろう。
それでも、被害を抑えるのには貢献できるようには思うが、そんなものに力を割くくらいならば、キルチェーンシステムを完成させて、北朝鮮の火砲を直接打撃することに力を注ぐ方がより建設的である。


何故ならば、韓国の技術が素晴らしく、アイアンドーム並みの兵器の開発が完了したとして、そして、その迎撃精度が9割を上回るシロモノだとしよう。

対する北朝鮮の火砲は1万発を越えると言われている。概ね300門から500門程度の火砲から一斉砲撃をされたと仮定して、初弾の300発を撃ち落とすのに、何基のミサイルランチャーが必要か?

アイアンドームはレーダー1基にミサイルランチャー3基がセットになっていて、1基のミサイルランチャーに20連装のタミルミサイルが用意されていると言われている。単純計算で初弾を防ぐだけでも、弾の数に対応するだけで15基のミサイルランチャーが必要だ(これが机上の空論であることは承知の上だ)。

そして、1時間に6000発降り注ぐとすると、全て迎撃するのに300基必要な計算になる。もちろん予備が必要なので、1.5倍程度は見積もっておくとすると450基が常に稼働できる様にする必要がある。ミサイルランチャーに次のミサイルを装填する時間がどれくらい必要なのかは知らないが、ミサイルの数だけでも6000発、ミサイルランチャーを効率よく運用できたとしても450基の半分程度は必要なんじゃ無いかな。

何とも絶望的な数字だが、これを揃える費用はミサイルだけで数兆円という規模になる。韓国の軍事費は年間4兆円くらいだっけ?

もちろん、合わせて敵側の火砲を叩く努力はするのだろうから、ここまでの費用が必要かどうかは何とも言えないのだが、そもそもソウルの位置がね……。

「まあ、頑張って」と言うより他に無いニュースだな。


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コメント

  1. 木霊さん、勝手なオネダリをさっそく記事にしていただき感謝です!!

    ホントに思考回路が「華麗に直結」しちゃってますよね~。(冷笑)
    過去の失敗に学ぶ(少なくとも反省する・原因を検証する)ってるのが、完全に抜けちゃってるのがお笑い韓国軍の真骨頂とも言えるんでしょうけど。
        ↓
    >典型的で華麗な流れではあるが、2番から3番にいく流れが常人には理解出来ないところまでがデフォルトである。

    アイアンドームの効用&問題点を判りやすく検証しまとめて下さりありがとうございます。

    なるほどコストパフォーマンスから考えると、ほとんど意味のない装備に本気で爆走するつもりなのか・・・? 正気を疑わざる得ませんね~。

    マジに首都移転(遅すぎますが)にかかる費用と首都防衛費用を、一度ちゃんと比較したほうがいいような無駄なコストって感じがします。
    そこに頭が廻らないって、つまり、アホなんでしょうか?(爆笑)

    ところで、我が国が導入しようとしているイージスアショアに、巡航ミサイル迎撃も付加する案があるようです。
    具体的にはSM6のランチャー追加ってことみたいですが、戦闘機や戦闘艦から発射される巡航ミサイル迎撃にどこまで有効なんでしょうね。

    迎撃手段の多層化ってことで、無いにこしたことはないとは信じていますけど、SM6自体が米軍でも未装備のはずなんで迎撃率がどんなものなのかに興味はありますね。

    本気で支那を意識しているって感じで、計画の進捗度がスピードアップしているのは頼もしいと評価しています。

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    返信
    1. 開発中のSM-6 Block Ⅰ(1)は大気圏内で弾道ミサイル迎撃を可能にしようとしています。

      削除
    2. 匿名さん、さっそく情報ありがとうございました。

      自分でもちょっと調べてみましたが、平成30年度概算要求ですでにSM6(艦載用として)は盛り込まれているようですね。

      SM6は射程が400km近く射高も30kmで、最大の強みは「打ちっぱなし」が可能な事で、高い命中率が実証されているようです。

      さて、イージスアショアのレーダー射程は2000kmとのことなんで、設置場所にもよりますが西は東シナ海は元より香港まで、南はフィリピンの一部、北は支那東北全域モンゴルと支那の国境吹付近までカバーできるようです。

      仮に南朝鮮の玄武3C(射程1500km)が発射された場合、発射の瞬間に探知され、SM6が400km地点(日本海に達した瞬間かな?)で迎撃可能。

      東シナ海上空に展開した支那の戦闘機・爆撃機から発射された巡航ミサイルは、ほとんど撃った瞬間にSM-6の射程内で迎撃可能。

      ここまでくると残るは対艦戦で必要なOTH攻撃能力ですね。
      戦闘艦から発射されて巡航ミサイルは海面スレスレに飛んでくるでしょうから、丸い地球の水平線という自然の障壁を何とかするにはNIFCCAが必要でしょう。

      是非ともそこまで先を読んだ計画であってと願いますから、来年度にはNIFCCA予算化と続けざまに進めて欲しいですね。

      自国が攻撃を受けて被害が出てからでないと発動できない「専守防衛」という危険な概念も、早急にちゃんと見直すべきですが、残念ながら選挙の争点にすらなっていません。

      現在の戦争は船に兵隊&戦車積んでエッチラオッチラ攻めてくるわけでもなく、いきなり爆撃機が本土上空に現れるわけでもなく(緊急発進したF-15Jで簡単に撃墜されちゃう作戦なんかあり得ない)、敵陣から発射される弾道ミサイル・巡航ミサイルで先制攻撃受けるんですから。

      「専守防衛」っていう概念のままだったら、日本中に何百発のミサイルが落ち、甚大な被害を被ってからの発動では現実とかけ離れ過ぎています。

      となれば、万全は無理でも最善の抑止力構築(今は多層化した最新迎撃システムしか頼れません)だけには予算と人をつぎ込んで欲しい。
      支那に「飛び道具は使えないぞ」と知らしめるのが最低限必要な防御策。

      そして、攻撃を受けたら「報復手段も持ってるぞ」と言えるようにしないと、日米同盟頼り一辺倒では危ないと思います。
      高速滑空弾&新対艦誘導弾の早期開発と配備、そして何より対支那戦を想定した実効性ある使用条件の確立が急務です。

      削除
  2. だははは!
    おもしろいですねえ、笑かしてくれもすねぇ!
    一番にオモシロイのは木霊様の
    南小中華が兵器導入する時のパターン分析ですけど!
    木霊様ならではの正解ですね。
    信管が勝手に作動するハンドグレネードの国に出来る?
    独自原潜よりも遠い気はいたしますが、楽しみにしたい!
    南小中華の連中と80年代にいっしょに働いた事があるのですが、徴兵があるからかガッツはあるのですが、極端かつ乱暴なんですよねー。
    中庸という概念がないのか…
    TVを叩いて治そうとするお婆ちゃん(今はいないか?)みたいな反応みせる。
    いや機械は怒鳴っても殴っても効かないから…と申しても解らない。あれ民族性なのですかね?
    まぁお楽しみですね。

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