【韓国軍】次期小型武装ヘリコプターの能力不足が発覚?

コメント頂いた記事である。

韓国が開発中の攻撃ヘリ、40年前の旧型より性能劣ることが判明=韓国ネットは「傑作ヘリと比べて実力が劣るのは当然」と寛容

配信日時:2017年10月12日(木) 6時20分
2017年10月9日、韓国軍が導入して40年が経過した攻撃ヘリコプター「コブラ(AH−1S)」の代替用として、韓国政府や韓国航空宇宙産業(KAI)が1兆6000億ウォン(約1600億円)をかけて共同で開発中の韓国型小型武装ヘリコプター「LAH」が、性能面でコブラに劣ることが判明した。韓国・国民日報が伝えた。
今、韓国国内で外国からの技術援助を得て開発しているLAHだが、性能面でAH-1Sに劣るなどという話が出てきたようだ。

AH-1といえば、確かにアメリカのベル・ヘリコプター・テキストロン(ベル・エアクラフト)社が開発した世界初の攻撃ヘリコプターであり傑作機である。韓国陸軍はAH-1Fを60機ほど採用しており、対戦車戦闘用に配備している。ただし、この機体も生産開始は1967年であり、更新する時期にきているのは事実だ。また、韓国陸軍はこの他にも500MD と呼ばれる老朽化した機体を運用していて、これらの代替機を探す必要があった。

で、ユーロコプター社(現エアバス・ヘリコプターズ社)から技術移転を前提にして小型攻撃ヘリコプターの開発という話が持ち上がったわけだ。
ただまあ、この話、KUH-1「スリオン」と同じように、共同開発と言うよりは作って貰っている感が強いらしい。
LAH
で、この機体なのだが、コンセプト的にはエアバス・ヘリコプターズ社の民間ヘリコプター「EC-155」を焼き直しして、攻撃用に改造しようという話である。韓国軍に潤沢な開発資金があるのであればともかく、なかなかどうして韓国の経済事情は宜しくない。
そういう意味ではある程度妥協してでも攻撃ヘリを刷新したいという要望はアリだと思う。少なくとも500MD「ディフェンダー」をろくなメンテナンスもしないまま使い続けるよりは遙かにマシだ。

ここでちょっと攻撃ヘリコプターについての現状を軽く解説しておこう。

この攻撃ヘリコプターの需要に関しては世界的にもなかなか振るわない状況になっている。攻撃ヘリの戦車に対するアドバンテージは侮れないものがあるが、輸送用ヘリコプターと同じく、戦場においては携行式地対空ミサイルによる攻撃の餌食になるリスクが高い。歩兵にやられる訳だ。そして天候などにもある程度左右される上に、対空戦では固定翼機に対するアドバンテージが無いと言う、存在である。
それでも輸送用ヘリコプターにはホバリングという固定翼機にはできない芸当ができる点や、滑走路が不要であるという特殊性があるために需要がある。
ところが攻撃ヘリコプターとなると、かなり使用シーンが限定されてしまうために、需要はあっても高コストでは困るという状況なのである。しかし、残念ながらAH-64Dなどに代表されるように攻撃ヘリコプターは高騰の一途を辿っており、各国は採用に足踏みするようなケースも多い。

日本では、攻撃ヘリとしてAH-1S採用しているが、2005年にAH-64Dを導入しようとして失敗。現在は、老朽化したAH-1Sの後継機探しに苦心している。国産観測ヘリコプターのOH-1を重武装化しようという話もあったが、UH-X計画の挫折に巻き込まれて白紙化。
このUH-X計画はその後、ベル412EPIをベースに改造する話に決まって、一部のファンや専門家から批判が挙がっているものの2018年までに1式納入される話になっている。ベル412は運用開始が1981年とその設計が古いので、発展性には疑問が残る。ただ、開発費が10億円程度ではねぇ。
ただこれに巻き込まれたAH-X計画の方はAH-1Zを選ぶとか、ティーガーを選ぶとか、或いはUH-X派生の機体を選ぶとかいう話が色々出ていて漂流中である。整備状況はともかくとして、AH-1Sは韓国が採用したAH-1Fよりも古い機体だ。富士重工がライセンス生産した機体はAH-1F相当ではあるが、配備された90機全てがそうでは無いため、更新待ったなしという状況である。予算は無いんだけどさ。
そんな訳で、日本としても韓国を笑えないような状況ではあるんだ。

まあ、そんな話があったので、韓国陸軍がLAHと呼ばれるEC-155ベースの攻撃ヘリを開発するという話は半信半疑であったと共に、個人的には若干だが羨ましく感じたのも事実。
権議員は、KAIがLAHの開発プラットフォームとして、エアバス・ヘリコプターズ(AH)社の民間ヘリコプター「EC−155」を用いたことで、攻撃ヘリとしての基本要求事項である武装能力の確保が代替目標機種であるコブラより劣るという問題点が発生したと指摘。これに対し開発に携わる防衛事業庁は、「LAHは主要な部位に耐弾性強化とリアルタイムデジタルデータ送受信装置の搭載、ミサイル警報受信機および多数の敵味方識別機能を保持するなど、生存性が大きく強化された」とし、「生存性と通信機器で代替目標機種であるコブラよりもはるかに優れている」と反論している。
こんな話はあるが、LAHの採用コンセプトから考えれば、多少の妥協は仕方が無い部分がある。AH-1Sと代替するのに、AH-1Sより性能が落ちるのは確かに問題はあるが、500MDの方はどうしようも無いほど老朽化しているのだから、そちらを中心に代替していけば良いのである。
韓国陸軍はこの他にAH-64Eをディスカウントしながらも36機導入している。
ちょっとどうやってAH-64EとLAHを連携させるのかはよく分からないが、LAHは最終的に1000機の製造を見込んで、そのうち600機を輸出する予定としている模様。つまり、韓国陸軍に配備するのは400機ほどだと言う事になる。
多少能力で劣ろうとも、数が揃えられて戦略的に使えるのであれば、十分にアリだ。
こちらの記事では随分と扱き下ろしたが、多少は韓国軍も考えているのだな、と。

で、流石に冒頭のサーチナの記事だけでは問題があるので、引用元になった記事も見てみたいと思う。

国内開発の武器次々不良疑惑

最終的な修正 2017.10.10 11:25 記事入力 2017.10.10 11:25
国内で開発している武器が不良である疑惑が次々と提起されており、問題になる見通しだ。国会は、空軍の固定長距離レーダー交換事業と産業通商省、防衛事業庁、韓国航空宇宙産業(KAI)が開発されている小型武装ヘリコプター(LAH)開発事業などを不良事業に指定した。
~~略~~
導入してから40年が過ぎたコブラ(AH-1S)攻撃ヘリの代替用に開発された小型武装ヘリコプター(LAH)はコブラ攻撃ヘリコプターよりも武装能力が落ちるという指摘が出た。産業通商資源部、防衛事業庁、韓国航空宇宙産業(KAI)は、この事業に1兆6000億ウォンを投資した。
ふむ。この辺りまではサーチナにも載っていたな。
国会産業通商資源中小ベンチャー企業委員会所属グォンチルスン民主党議員が9日、産業部と防衛事業庁などから提出された資料によると、LAHは空対地ミサイル搭載能力がコブラの半分に過ぎないことが分かった。北朝鮮軍の空気浮揚艇などを攻撃するための2.75インチ無誘導ロケット搭載能力もコブラの73%水準に過ぎなかった。
これも言及があったが、サーチナの方にしか載っていない情報もあった。
また、LAH搭載用として国内メーカーが開発中の空対地誘導弾「天剣」(射程距離8キロ)に関連し、自主国防ネットワークのイ・イル事務局長は「北朝鮮の地対空ミサイルの射程距離が10キロ以上である状況で、射程距離がこれより短いミサイルを新型武装ヘリコプターに搭載することは、生存性を大きく悪化させる」と主張した。
ふーん。基本的にはサーチナで紹介された情報以上の内容は含まれていないんだな。

で、AH-64Eと併用して使うと思われるLAHは、数に勝る北朝鮮の戦車部隊を迎撃するのに数を揃えるというコンセプトであるのであれば、悪くは無い。ただ、その空対地ミサイル搭載能力がAH-1Fの半分以下というのはちょっと不味い気がする。

更にこのヘリが搭載する誘導ミサイル、空対地誘導弾「天剣」というたいそうな名前が付けられているにもかかわらず、射程距離が8kmだ。それこそアメリカからAFM-65マーベリック買っちゃダメなのか?いや、確か持ってたよね、韓国。あれは、射程距離27kmなんですけども。「天剣」の方に何か利点があるんですかねぇ?
産業部が2013年1月に作成した「小型武装ヘリ連携民需ヘリ核心技術開発事業のナビゲーション開発報告書」によると、「軍の要求だけを反映した武器体系の開発を止揚し、武器体系も経済性と輸出の可能性を考慮して開発する方向を指向する」と説明した。
あ、お安いって事かな?

まあ、運用的に数を揃え武器コストも下げましたという方が色々メリットがあるって話であれば、そういう判断もアリだと思う。
ただ、韓国陸軍にしても少子化の影響もあって兵士の数は減りつつある訳で。その辺りも戦略に考慮しないとダメだと思うぞー。

あと、コメント頂いたけれどもそもそもAH-1って前席に射撃手、後席に操縦士の二名が縦一列に搭乗する、タンデム式コックピットを採用して、前面投影面積を狭くしているんだよね。前からの被弾を減らすために。
じゃあ横はどうかっていうと、スリムに作られて長さも胴体長13.4mと短めに作られている。EC-155はこれが14.3mだから、短いというわけでも無い。つまり、AH-1FよりもLAHの方がデカくて非力という……。数を増やすのは大切だけれども、増やしてもメリット無いと言う結果になりませんかね?

また、ヘリコプターの数を増やしました、ヘリパイは育ててません、数も足りませんでは……。



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コメント

  1. 木霊さん、お笑い韓国軍のいつもの定番の迷走は笑って放置でもいいのですが、攻撃用ヘリの現状考察は非常に参考になりました。
        ↓
    >この攻撃ヘリコプターの需要に関しては世界的にもなかなか振るわない状況になっている。攻撃ヘリの戦車に対するアドバンテージは侮れないものがあるが、輸送用ヘリコプターと同じく、戦場においては携行式地対空ミサイルによる攻撃の餌食になるリスクが高い。歩兵にやられる訳だ。

    なるほど、弱点が明らかな運用が限定される兵器となっているんですね~。
    ヘリの弱点を如実に表した代表的映画に、ソマリアでのモガディッシュの戦闘を描いた「ブラックホーク・ダウン」がありますが、生存率が極めて危うい兵器ってのが判ります。

    つい最近、ヘリの生存性を高める有効装備である「指向性赤外線妨害装置-DIRCM-」を、お笑い韓国軍が国産化に近づいた、というニュースがありましたが、こういう装備を持っても結構難しいんでしょうか?

    陸自もアパッチロングボウは13機しか調達できず、漠然とした不安を抱いていましたが、コブラの退役が間近な現在未だに次期攻撃ヘリの選定が迷走しているのは問題ですね。

    生存率が低く隊員の命の危険が高い兵器とはいえ、狭い国土や過密な都市部でのテロ対策などには、絶対に欠かせないのが攻撃ヘリだと思うんですよね。(僕の思い込みかもですが)

    とはいえ、「攻撃ヘリ」の需要バランスがここまで低下している以上、国内開発なんて予算&期間的に無理な話ですし、世界各国の機種を見ても選択肢に限りがあるようです。

    ここはスンナリとAH-1Z(ヴァイパー)とかに決めれないもんでしょうか?(1機35億と高額で、日本が導入するにはさらに高くなっちゃうでしょうけど)

    AH-1Sの最大代替え数90機で換算すると3200億と膨大になりますが、現在生き残っている半分の数(50機くらい)ならイージス艦1隻程度です。(妥当な配備数かどうかの根拠はまったく持っていません)

    それと、川崎が開発した偵察ヘリOH-1は、軽ヘリとしては高額過ぎて当初計画より大幅に調達数が減ったようですが、もうちょっと発展型で攻撃能力を高めて戦力化する事はできなかったのかな~?(完全に兵器ど素人の夢想です)

    それとも思い切って無人攻撃可能なヘリの開発に舵を切るか?(これなら海自の誇るDDHやDDGにも運用可能となります)

    国防予算使途の優先順位との兼ね合いもありますが、こういう後回しにされがちながら絶対にあった方が良い兵器は、それこそ特別会計で予算編成できないもんですかね~?

    漠然とですが、このまま放っておいては非常にマズイいんじゃないか? 強い懸念を感じています。

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    1. 自衛隊のAH-Xに関しては早く決まって欲しいと思っていますが、UH-Xが決まってから考える、みたいなスタンスになっている気がしますよ。
      AH-1Zに決めてしまえば良いような気がしますが、色々な意見があるみたいでやっぱり無人機の話も出ている模様。現状では攻撃ヘリはあまり自衛隊において重視されていないこともあって、直ぐには決まらないんじゃないかな、と思っています、それでも2018年中には動きがあって欲しいですけど。

      削除
    2. 木霊さん、困ったことに未だ迷走状態のようですね~。(優先順位が低い証かな?)
          ↓
      >自衛隊のAH-Xに関しては早く決まって欲しいと思っていますが、UH-Xが決まってから考える、みたいなスタンスになっている気がしますよ。

      戦闘機はマルチロール追求が完全に主流なんで、ヘリもAH・UH・OHと統合し機能を補完できるタイプじゃないとダメなのかな~?
      AH-Xは対戦車まで対応が必要と考えると過剰装備となる・・・、だからUH-Xタイプが優先されるという図式なのでしょうか?

      今更ながらですがアパッチ・ロングボウ導入のタイミングの遅れが悔やまれますね。
      当初ブロックⅡのライン終了を読めなかったんでしょうかね。

      でもよく判らないのですが、今もUS・ARMYでは600機以上が現役と聞きますから、メンテナス部品などの供給ラインはしっかりしているはず・・・。
      今から中古を50機調達できれば、とりあえず繫ぎとして問題解決するような気がするんですけど。

      あとはやはり無人機MQH-X(僕がかってに付けた仮称です-笑-)の国産開発かな?
      米軍の15億程度のMQ-9リーパーでもペイロードは相当あります。
      MQ-9はヘルファイア対戦車戦・レーザー誘導爆弾・対空戦はスティンガー(将来はサイドワインダーも搭載)、足りないのはバルカン砲くらいでしょう。

      バルカン砲とDIRCMを乗せ、陸自用に50機20億~30億で1500億、海自のDDHに諸島防衛・奪還作戦用としてOQH-X(これも仮称)を1隻に4~6機でMAX30機で900億、合計2500~3000億くらいで予算付けれないもんでしょうか?(5年計画で年間600億程度)
      アジアの親日国への輸出も考えれば、開発費くらい回収できそうな気もします。

      民生品で実証されている日本の技術なら無人機開発はそんなにレベル高くないように思いますが、ひょっとして米軍にストップかけられているんでしょうか。
      「俺の商売邪魔するな!!」とかなんとか言って・・・・

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