首脳会談で巨額の契約、約28兆円

28兆円ですよ?28兆円。

米中が28兆円規模の巨額契約 貿易不均衡是正へ

2017/11/9 14:52
【北京=多部田俊輔】訪中しているトランプ米大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が9日に北京で開いた共同記者会見にあわせ、米中企業が総額約2500億ドル(約28兆円)に達する契約を交わした。トランプ大統領が中国に貿易不均衡の改善を強く求めたことから、中国企業による対米投資や米国製品の大量購入が中心となった。
よくもまあ……。

共同記者会見

先ずは内容を見ていこうか。
 米中企業の契約は米国での製造業やエネルギー分野への投資から航空機、半導体、食品分野での米国製品の大量購入など多岐にわたる。トランプ、習両氏の前に、米中を代表する有名企業の経営トップらが登壇して次々と米国製品の購入契約書類などにサインした。
 具体的には、中国の政府系ファンドの中国投資(CIC)と米投資銀行大手のゴールドマン・サックスが共同で50億ドルを投じ、米国での米中企業の製造業分野での提携を支援するファンドを設立することで基本合意。中国が米ボーイングの航空機を370億ドル購入することも決まった。
 エネルギー分野では中国国有石油大手、中国石油化工集団(シノペックグループ)がアラスカで米国企業と天然ガスを共同開発する契約を交わした。米ゼネラル・エレクトリック(GE)の航空機エンジンや米クアルコムの半導体、米国産牛肉を中国企業が購入する契約も含まれている。

記事のこの部分に色々書かれていたが、ちょっと整理してみよう。
  • 中国の政府系ファンドの中国投資(CIC)と米投資銀行大手のゴールドマン・サックスが共同で50億ドルを投じ、米国での米中企業の製造業分野での提携を支援するファンドを設立する
  • 中国が米ボーイングの航空機を370億ドル購入する
  • 中国国有石油大手、中国石油化工集団(シノペックグループ)がアラスカで米国企業と天然ガスを共同開発する契約
  • 米GEの航空機エンジンや米クアルコムの半導体、米国産牛肉を中国企業が購入する契約
整理してみると、あまり新しいことが無いような気がする。

ボーイングの中国受注、トランプ氏絶賛も大半は古い案件-関係者

2017年11月9日 16:42 JST更新日時 2017年11月10日 01:51 JST

中国との貿易赤字を縮小し、米国内の雇用を増やす手腕をアピールするのに熱心なトランプ米大統領は9日、米ボーイングが中国から旅客機300機を受注したことを絶賛した。しかし関係者によれば、北京で発表された合意の大半は古いニュースだった。
  事情を知る複数の関係者によると、370億ドル(約4兆2000億円、大口購入に通常適用される割引を考慮しない額)相当の購入注文は、締結済みの契約が主体だ。報道機関への情報提供が許されていないことを理由に匿名を希望した関係者の1人によれば、今回の合意は主に、2013年に成立した既存の契約でカバーされる航空機が対象。
  国営の中国航空器材集団は9日、ボーイングへの狭胴型機260機、広胴型機40機の発注を発表。ボーイングはこれが新規の受注だったかどうかを確認することを控えた。中国航空器材はコメント要請に応じなかった。



多分、一番大きな契約であるハズのボーイング絡みの話、370億ドル程度もの購入注文があるとか何とか。
でも、ちょっと前にもこんな話あったよね。

中国の複数企業、ボーイング機300機を購入=米国ネット「ボーイングは頭がおかしいのか?」「これから飛行機に乗るのはロシアンルーレット状態に」

配信日時:2015年9月24日(木) 13時50分
2015年9月23日、AFP通信は中国国営新華社通信の報道を引用し、中国の複数の企業は22日、米ボーイング社と旅客機300機の購入契約に合意したと報じた。
新華社通信によると、中国の複数の企業は22日、ボーイング社と旅客機300機を購入する契約を結んだ。また、中国の旅客機メーカー「中国商用飛行機」は、ボーイング737型機の組み立て拠点を中国に設立することで、ボーイング社と合意に達した。
習近平氏、オバマ氏と会談する際に「300機旅客機買っちゃう!」と言ったのだが、これボーイング737だったとして1機40億円くらいの機体である。これ、300機買うとなると1兆2000億円程度のお金が必要となる計算になる。これに、組立拠点の設立を加えると結構な額に。
スゴイネー。

でもこれ、実現したの?
実のところ、この手のお話は履行義務が無い。旅客機300機買うぜ!と言ったところで、いつまでに買うかとか、そういう話すらしていない。

そして、この話が出たときにボーイングは諸手を挙げて賛成した、と言う訳では無い。

中国に“籠絡”されたボーイングとエアバス 技術流出覚悟の現地生産は吉か凶か?

2015.9.30 10:00
 中国が、米ボーイングと欧州エアバスの航空機メーカー大手2強を“籠絡”した。ボーイングは主力の短・中距離機737型機の一部生産の最終工程を中国に移転することを決定。すでに中国の天津で最終組立工場を保有するエアバスも、蜜月関係を深めている。特にボーイングは、技術流出の懸念から中国移転に難色を示していたが、巨大市場を背景にした中国の現地生産要請に屈した格好だ。ただ、中国は国産初の中距離機「C919」の開発の遅れを取り戻そうと懸命で、中国市場を取り込もうという両社の思惑が想定通りに進むか怪しくなっている。
支那に工場を作ると、ほぼ100%技術流出をする。
支那から工場を引き上げようとすると、巨額の賠償金を支払う(従業員の給与を支払い、工場施設は全て残しておく必要がある)ことになる。
つまり、支那に工場を作ると言うことは、イコール自分のライバルを養成すると言うことに他ならない訳で、巨大な市場が魅力だからと言って軽々しく支那に工場を作るなんてことは、非常に高いリスクを考えなければならない。

これって、本当にアメリカの利益になる話なのか?

まあまあ、アメリカだって支那にやられっぱなしと言うわけでは無いだろうから、ボーイングを心配する必要は無いのかも知れないし、ボーイングとしても航空機メーカーとしては頑張っているが、兵器メーカーとしてはちょっと苦戦している状況。
「ボーイングは頭がおかしいのか?私たち米国人が払ってきた税金でボーイングが開発した技術を中国は盗むだけだろう」
「はあ、また給料の高い米国の仕事が流出してしまう。ありがとう、ボーイング」
「ボーイングは2つのものを売ることになる。旅客機と米国の尊厳だ」
アメリカ人から文句を言われる立場となっても、企業として利益を優先することは重要である。長期的にどういう戦略家は知らないけれども、「失敗した」という結果にならないようにしてほしいものだね。

この話は、支那に喰われつつスマートフォン業界の問題と通じるものがあると思う。
そう、クァルコムの話だ。

習近平、トランプに2535億ドルの経済協力プレゼント

登録 : 2017.11.09 22:42修正 : 2017.11.10 07:42
 9日、米中首脳会談の白眉は会談後に続いた各種貿易協約の締結だった。全体規模は2500億ドルを超える。
~~略~~
 中国のスマートフォンメーカーである小米(シャオミ)、OPPO、Vivoの3社は、米国の通信装備企業クァルコムから3年間に120億ドルの部品を買うという共同了解覚書(MOU)を締結することにした。中国の中央銀行である人民銀行傘下にあって、一帯一路事業投資を受け持っているシルクロードファンドは、米国側と共同ファンドを設けることにした。中国国家投資有限責任公司もゴールドマンサックスと共同ファンドを設けることにした。


ソースは韓国系の新聞であるハンギョレからだが、韓国にしてみれば死活問題である。
支那のシャオミはスマホの分野で大きな力を付けてきているが、一方の米クァルコムはかなり苦戦を強いられている。無論、クァルコムはワイヤレステクノロジーのキーを握っている会社なので、ソレだけでも食っていけるといえば食っていけるわけだが、その半導体や通信技術を支那にプレゼントしちゃうような形になると、それこそ先が無い。

どーするんでしょうねぇ?

GEもそうだ。

中国・ハイアール、米GE家電事業を買収 6370億円

2016/1/15 20:31
【北京=阿部哲也、ニューヨーク=稲井創一】中国家電大手、海爾集団(ハイアール)は15日、米ゼネラル・エレクトリック(GE)の家電事業を買収すると発表した。買収額は54億ドル(約6370億円)で、家電部門の人員や米国での事業基盤を引き継ぐ。知的財産や「GE」ブランドも取り込む。欧米など先進国市場を本格開拓する足がかりにする。
アメリカのGEといえば、家電だけで無く航空機のエンジンとか作っている会社なのだが、既に家電業界はかなりヤバイ世界に踏み入れているので、ほぼ支那が席巻したと言って良い。
廉価な家電はほぼ支那製になっているが、その背景にあるのがこうした買収政策である。確かに、先進国の家電業界はそろそろ続けていけない状況になっていて、日本の家電メーカーも例に漏れずやられてしまっている。
GEが駆逐された原因の一端には日本の家電メーカーにも責任はあるが、支那に身売りしたら更にトドメを刺すような事態を迎える可能性が高い。
しかし、GEはエンジン部門まで支那に技術放出してしまうとなると、もはやGEの存続すら危うい話。
支那は頑張って航空機を作っているが、エンジン部門ではまだまだ遅れている。が、GEの技術が流れてしまったらいよいよ支那製の航空機が世界の空を席巻することになるだろう。



あれ?この話って、実は日本がヤバくね?

巨額の契約の話、28兆円規模だという金額面で驚いてしまったけれど、これが実現されると更にヤバイ様に思う。
履行義務は無くとも、こうした話を軽々に口にするというのは、どうかと思う。もちろん、個々の企業が気をつけるべき話ではあるが、中身を見たらあまりアメリカにとっても喜べる話じゃ無かったなー、というのが、僕の感想である。


ランキングへの応援クリックよろしく!
にほんブログ村 ニュースブログ ニュース批評へ

コメント

  1. 今回のトランプのアジア歴訪は内容から見て習近平の大勝利、安倍首相の完敗な感じがします。これだけ色々やられるとトランプが中国側に立たない理由を見つける方が難しい気がします

    返信削除
    返信
    1. 習近平大勝利ねぇ……。
      僕の感想とは随分と違うものですが、そういう見方もあるのかもしれません。

      今回、支那の設定した勝利条件は、僕が想定していたものとは随分違ったようですが、習近平氏は安倍氏をプレイヤーとして認めざるを得なくなったようですよ。今回は安倍外交の先手必勝だったと、僕はそう評価していますけど。一番割を食ったのは朝鮮じゃ無いんでしょうか?

      削除
  2. あるけむ(R.K.M)@fwbc1965_32017年11月11日 16:08

    ハイアールの買収話ですが、話がちょっと違います。元記事から引用します

    ソース)日経新聞「中国・ハイアール、米GE家電事業を買収 6370億円」
    >ハイアールは家電子会社を通じ、GE家電部門の関連資産を買収する。

    ハイアールは、GEの「家電部門だけ」を買収するとは言ってますが、その他の部門を買収するとは言ってませんよ。言い方変えると「切り売り」です。
    したがって、
    >しかし、GEはエンジン部門まで支那に技術放出してしまうとなると、もはやGEの存続すら危うい話。
    というのは、誤りです。
    その証拠に、
    >GEはガスタービンや航空機エンジンなど重電・機械分野に事業の軸足を移す。
    と元記事にはあります。

    返信削除
    返信
    1. ゴメンなさい、言葉が足らなかったようですね。
      2016年の時点ではGMの判断はエンジン部門に軸足を移すという判断をしていたのだと、記事にもそう書かれているのは事実です。が、今回は、そのエンジンの技術すら守れないのでは?という話です。流石に製品を売っただけでコピーできるようなシロモノでは無いと思いますが、支那は油断できる相手でもありませんから。

      削除
    2. あるけむ(R.K.M)@fwbc1965_32017年11月15日 15:29

      申し訳ありません。2016年の記事とは思いませんでした。
      というのも、最近、似たような報道を見ましたので...

      参考)ブルームバーグ「GE:フラナリーCEOが包括的改革発表、配当半減-株価は7%安」2017年11月13日
      >フラナリーCEOは重点事業を電力、航空、ヘルスケア機器に絞り込み、GEが長く携わってきた
      >照明や機関車などの事業からは撤退する計画。さらに取締役会の人数縮小、報酬制度の
      >見直し、四半期配当の50%削減も断行する。GEの減配は大恐慌以降で2回目。

      削除
    3. おお、こんな記事もあったのですね。

      >フラナリーCEOは重点事業を電力、航空、ヘルスケア機器に絞り込み、GEが長く携わってきた照明や機関車などの事業からは撤退する計画。

      なるほど、流石に航空分野は捨てるわけにはいかないという判断ですか。
      2017年11月13日時点の記事であるならば、現時点で航空機部門を外に持ち出そうという判断はやらないかも知れませんね。
      エンジンの製造は既に3Dプリンター無しでは成り立たないなど、特殊な方向に進んでいるので、そうそう海外でやるという判断にはなりませんか。そういう意味では、当面は大丈夫なのかも知れませんね。

      削除

コメントを投稿

お気軽にコメントを!ハンドルネームは面倒でもお願いします。