韓国海軍、新型揚陸艦の公開

この時期にこうした揚陸艦の公開をするというのは、政治的意味がある……、訳でも無くて、予定通りにやっているって話だな。

大規模上陸作戦の中心戦力 新型揚陸艦を公開=韓国

2017/11/02 11:17
【ソウル聯合ニュース】韓国の防衛事業庁は2日、有事の際、大規模な上陸作戦を行う海軍の新型揚陸艦「露積峰」の進水式を行ったと明らかにした。
どんな船が浸水……、進水したのか?だが、こちらだ。

新型揚陸艦

ふーん、という感じの船だが、この船は天王峰級揚陸艦LST-IIというクラスの4番艦(韓国では4番は使わないらしいが)である。

これ、韓国が初めて建造した中型級の揚陸艦という位置づけになっていて、1番艦の「天王峰」は2013年に進水、2014年に就役している。

このブログで触れたのは3番艦の進水の際である。
正直この船の情報はかなり少ないので書くことも少ないのだが、基本的には海兵隊や主力戦車などを搭載して上陸戦に投入される重要な船である。
平時には、兵力と装備、物資の輸送などに用いられ、平和維持活動などに用いられるらしい。

ところで……、この船ってどうやって使うか謎なんだが。
この上の写真ではハッキリ分からないので、こちらの3番艦の写真を紹介しておこう。


3番艦


甲板に2隻の船が見られると思うが、これが機動揚陸艇(LCM)なのだが、車両を輸送するための船で、アメリカ製のLCM8と呼ばれる船で、9ktの速力で戦車1両か兵員200名を運ぶ事ができるシロモノである。
そのLCM8は3隻積めることになっていて、あと1隻は後方のウェルドッグの中に収納されているのだろうと思われる。

その前に配置されているのが40mm連装機関銃だと思われる。多分、ボフォースの同等品なんだろうと思う。韓国にはコムドクスリ型ミサイル艇に搭載された40mm連装機関銃「露峰」ってヤツだと思う。


PKX_24

これではなかったかもしれないが、オート・メラーラ社の機関砲を違法コピーして文句を言われた話があった。これには問題が無いとイイネ。


で、この船なのだが。
 同艦の全長は127メートルで、最大速力は23ノット(時速約40キロ)。乗組員は約120人となっている。
こんな感じの機能を持っているらしいのだが、報道に寄れば韓国の国産化率は97%なのだそうだ。
 完全武装した上陸軍約300人や上陸用舟艇(LCM)、戦車、韓国型水陸両用強襲車(KAAV)などを搭載し、上陸機動ヘリコプター2機が離着艦できる。

あとは、戦車やKAAVを搭載するってな話になっているけれど、肝心の戦車はK-2戦車「黒豹」ちゃんが色々問題を抱えた状態である。
そして、搭載できるのはLCM1隻あたり1輌なので、3輌しか揚陸できないなんて話になる。KAAVなんてものはまだ存在しない。……えっとアメリカの水陸両用車AAV7をライセンス生産したものが存在はするが、あれは国産とは言わないだろう。……韓国基準だと、国産なんだろうけど。


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こんな奴だ。韓国ではこのKAAVを168輌を保有しているらしいけれど、天王峰級揚陸艦にはこれを何輌積めるんだろうな。

AAV7は水上航行時は13km/h程度しか出せない。だから23ノットの揚陸艦に積んで移動する意味はあるのだが、何輌積めるかはハッキリしない。ウェルドッグから出ていくことを考えると、多数積むのは難しいんじゃ無いのかな?と。

調べたら、2隻目の時に情報が書かれていた。

韓国2隻目となる次期揚陸艦「天子峰」、海軍へ引き渡し

2017年07月31日14時41分
   韓国防衛事業庁は1日、蔚山(ウルサン)現代重工業から2隻目となる次期揚陸艦(LST-II)「天子峰(チョジャボン)」(LST-687)を海軍に引き渡す予定だと31日、発表した。防衛事業庁は2014年11月1に1番艦「天子峰」(LST-686)を海軍に引き渡している。
~~略~~
海兵隊約300人、上陸用舟艇3隻、戦車2台、上陸突撃装甲車8台を同時に搭載できる。また、艦尾甲板に上陸機動ヘリコプター2機が離着陸できるため、遠距離上陸地点に対する空中強襲作戦も可能だ。海上と空中から同時に戦力を投入する「立体高速上陸作戦」能力を有する艦艇と評価されている。

戦車2輌に、KAAVは8輌だって。
ちなみに、上陸機動ヘリコプター2機って、これ、スリオンのことだと思うのだけれど、まだ防錆仕様のスリオン、出来上がっていないんだよね。
何を積むつもりかな?



そんなわけで、機能から見ると、なかなか「どっやってつかうんだろう?」的な部分はあるのだけれど、韓国には海兵隊を持っているので、有効に使えるシーンはあるのだと思う。

……あると思うのだが、でも、LCM8を甲板に載せたままで移動したら、揚陸作戦はどうするのよ?という気がして仕方が無い。
そして、今のところ未だ4隻しかないんだよね。電撃作戦やる場合にはそんなに沢山必要じゃ無いのかも知れないけれど。



追記 (2017/11/7)

ちょっと気になったので、アメリカ軍が保有する揚陸艦を参考にしてみよう。


ドッグ型揚陸艦としては、ハーパーズ・フェリー級ドッグ型揚陸艦がある。前級のホイッドビー・アイランド級の貨物積載能力を強化したタイプである。

USS_Carter_Hall;lsd50

この後に、サン・アントニオ級ドッグ型輸送揚陸艦という更に大型の船を作る事になったので、このハーパーズ・フェリー級ドッグ型揚陸艦は4隻のみが作られた。前級は8隻作られている。


ハーパーズ・フェリー級ドッグ型揚陸艦は、前級よりもウェルドッグが削られていて、以下の能力となっている。

  • LCAC-1級エア・クッション型揚陸艇であれば2隻(4隻)
  • LCU-1610級汎用揚陸艇であれば1隻(3隻)
  • LCM(8)型機動揚陸艇であれば4隻(10隻)

AAV7に関する記載が無いが、12輌ほど積めると思われる。

1280px-US_Navy_081229-N-9134V-036_Amphibious_assault_vehicles_prepare_to_disembark_from_the_well_deck_of_the_amphibious_dock_landing_ship_USS_Carter_Hall_(LSD_50)

  • 全長 : 185.80 m
  • 全幅 : 25.60 m
  • 吃水 : 6.04 m

で、一方の天王峰級揚陸艦の能力だが……。

  • 全長 : 126.9 m
  • 全幅 : 19.4 m
  • 吃水 : 5.4 m

……小さいな。

ウェルドッグの大きさに関してどちらもソースが得られなかったためデータは無いが、AAV7の幅が3.3m程度なので、ハーパーズ・フェリー級ドッグ型揚陸艦であれば12m程度はあると考えられる。日本の海上自衛隊が運用するおおすみ型輸送艦も、ハーパーズ・フェリー級ドッグ型揚陸艦に近い大きさになっていて、そこそこの搭載能力がある。ただ、この大きさの輸送艦を作るのはなかなか金がかかるらしく、3隻しか作られなかった。

韓国にもあるこのサイズの揚陸艦と言えば、かの有名な独島型揚陸艦がある。が、一向に2番艦が作られない。


よって、予算的に大きな船を作る事が出来ないと言う、韓国軍の懐事情から生まれたのが天王峰級揚陸艦だということになるのかな。

ただ、中途半端な物を作る意味が本当にあるのかどうか?その辺りはよく分からない。


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コメント

  1. KAAVってAAV7のライセンス品だけど、2014年の段階で老朽化がひどく装甲ユニットが150mm榴弾の破片や重機関銃で穴が開く状況と記事になっていたけどあれから改善したのかなあ?

    韓国日報の記事
    http://www.hankookilbo.com/v/3614ad8c69804317ba5d196f6ef44504

    K2にしろ、スリオンにしろ、KKAVにしろ、ミサイルにしろ韓国海軍の船って肝心の搭載するものが揃ってないね。

    KFXだってインドネシアに開発分担金を保留されてるし(KAIは経営上層部が逮捕されてるし、そもそも開発だって進捗状況を報告できる状態でないだろうからインドネシアからすれば当然だけど)
    お笑いネタもたまにだとお馬鹿さんやなあと笑えるが、こんなに続くと呆れ返って笑いも出てこなくなる。


    返信削除
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    1. あるけむ(R.K.M)@fwbc1965_32017年11月6日 4:18

      KAAV7の増加装甲ユニットの件は、このブログでも記事「韓国海兵隊の薄い装甲」になってますね。
      個人的には、この件よりも、陸自で編成中の水陸両用団向けの水陸両用装甲車がどうなるかが気になってます(AAV7で行くのかな?)

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    2. 米国と共同開発も視野に入れた国産水陸両用装甲車はまだ先(初期研究が平成31年まで)になるので当面AAV7で行くことが決まっていて平成30年までに52両導入予定です。
      ただAAV7は時速7ノット(13Km)と遅いので大群で犠牲を出しながら上陸するのは現代では許されないので上陸地点への十分な援護のもと上陸するか敵が攻撃を予想しない非重要地点からの上陸による迂回作戦(単に孤立するだけの机上の空論に終わったりしますが)のような運用が考えられますが島嶼戦のように展開可能な戦力が限定される場面以外では日本も韓国も運用は難しいと考えてます。

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    3. 日本では三菱重工が次期AAV7の開発をやっていますが、アレが完成するには時間がかかるでしょうし、当面は輸入したAAV7に頼らざるを得ないのでしょうね。

      ただ、Rodneyさんがご指摘の様に、あれが島嶼防衛に使えるか?と言う点に関しては疑問があります。果たして52輌のAAV7を買って意味があるのか?という点にも気にはなりますが、構造的に速度を出すと言うのにも無理がありますから、使い処の難しい兵器であるという点は、新しく国産化したところで大きく変わらない気はしていますよ。

      韓国軍も、K2戦車に渡河能力が付与されていますから、AAV7に拘る必要性は無い気がします。してみると、同じ意味で新型揚陸艦の使い処というのは、気になりますな。

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    4. あるけむ(R.K.M)@fwbc1965_32017年11月7日 3:08

      AAV7などの水陸両用装甲車の用途は人員および物資の輸送なので、K2や10式戦車などのMBTではなく、M2ブラッドレーなどのほうが近いと思います。

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