混迷のベネズエラ

昨日はジンバブエをやったので、今日はコメントを頂いたベネズエラに行ってみよう。

アングル:ベネズエラ債務再編、投資継続で収益確保目指す動きも

2017年11月21日 / 14:21 / 2時間前更新
[ニューヨーク/ロンドン/カラカス 20日 ロイター] - ベネズエラ政府が対外債務再編を表明した当初は、多数の投資家の撤退につながった可能性がある。しかし一部の投資ファンドはこうした状況が投資の好機に結び付くと見込んでポートフォリオを維持し、買い増す例さえ見られる。
何やら、「債務の再編」とか大統領が言い出したので、混乱を招いているようだが、デフォルトに陥るよりはマシだろう。

南米、ベネズエラは鉱物資源に恵まれた比較的豊かな国だが、ギアナ高地など有名な観光地もあり観光収入という意味でも悪くは無い立ち回りのできる国だ。
しかし、アメリカの周辺国、特に南米は独裁者によって不幸な運命を辿る国が多い様な印象であり、ベネズエラも例に漏れず混乱が続いている。「ラテンアメリカには独裁か無政府状態しか無いのでは」というのは、案外的を射ている話なのである。

連邦共和国家であり社会主義路線を突っ走っている背景には、反米姿勢思想の強い土壌が醸成されたことと関係が深い。現在の大統領、ニコラス・マドゥロ氏は前大統領のウゴ・チャベス氏の流れを引き継いでいて、前政権下2007年には社会主義体制への移行を実施するかどうかの国民投票をやったくらい(反対票51%で否決されたようだが)のゴリゴリの左派国家である。

だが、こうした話もベネズエラ経済が順調であれば、マシなのだが、鉱物資源が豊富であり、石油や天然ガスが産出できるにもかかわらず、経済的には非常にマズい状況である。今やデフォルト寸前という状況なのだ。


何が不味かったのか?

石油で潤い、石油に呪われたベネズエラ

2017年8月31日(木)
 世界最大の石油埋蔵国であるベネズエラが大変なことになっている。
 ベネズエラでは、原油価格の低迷とバラマキ財政のツケで、財政赤字が急速に拡大。年間1000%近いインフレが進行し、国民生活は破たん寸前にある。こうした状況を打開するため、8月18日、マドゥ-ロ大統領は、野党多数の議会の立法権を停止し、7月30日に投票が行われた、与党議員だけで構成される改憲議会で大統領独裁色の強い憲法改正を強行しようとしている。
 こうした独裁姿勢、人権無視に対して、米国は当初、マドゥーロ大統領の個人資産凍結等の限定的な経済制裁を実施したが、8月25日には、石油取引自体には及ばないものの、政府や国営企業の金融取引の制限を含む経済制裁を発表した。トランプ大統領は、さらに踏み込んで、武力行使の可能性も示唆した。

ハッキリ言ってしまえば、前大統領のチャベス氏の政策が愚かであったということであり、ソレを選んだ国民達がアホだったと言うことなのかも知れない。
チャベス氏は、1999年に貧困層重視政策を掲げて大統領に選出された。そして、内政では保健と教育を最重視する政策を推進する。……え?何が悪いの?という話だが、資金が豊富でばらまけるだけばらまくということが可能であった時代は、これが非常に国民の支持を集めることになった。
実は、チャベス政権ができる前までは、ベネズエラは民主主義が維持される南米でも珍しい国だったのである。ところが、石油収入によって国富が蓄えられた結果、社会の格差が非常に大きく広がったのである。ある意味、チャベス政権の誕生は必然であったと、そう言える。

しかし、チャベス政権が始まると、貧困層が重視される一方で富裕層は強引な政治手法による犠牲となった。当然、中間層や富裕層からは強い反発を受け、軍部がクーデターを起こすに至る(2002年)。だが、バラマキ政策によって恩恵を得ていたチャベス支持派の巻き返しもあって、大規模デモを経てチャベス政権が復権する。
ところが反チャベス派はこれが面白くない。大規模なストライキがベネズエラ国内のあちこちで敢行され、ベネズエラ経済は大打撃を受ける。ただ、2004年に原油価格が上昇したことでベネズエラ経済は持ち直し、チャベス政権は続投した。
結局、チャベス政権の政策は原油価格ありきなのだ。

そして、ご存じの通り原油価格は国際的にも乱高下し、現在では2007年頃の水準まで下がっている。
原油価格の推移
その結果どうなったかというと、デフォルト騒ぎである。

最近のニュースをいくつか紹介しておこう。

ベネズエラ国営石油、デフォルト回避

2017/10/28 10:30
【サンパウロ=外山尚之】ベネズエラの国営石油会社PDVSAは27日、同日が期限だった社債の利払いを履行したと発表した。米国の経済制裁と原油価格の低迷により、市場では同社のデフォルト(債務不履行)の可能性が取り沙汰されていた。一方、ベネズエラ政府は11月に債権者であるロシア政府との債務削減交渉に入るとしており依然、綱渡りは続く。

ベネズエラ、国営石油子会社の幹部逮捕

2017/11/22 10:08
【サンパウロ=外山尚之】ベネズエラ政府は21日、国営石油会社PDVSAの米国子会社の幹部6人を汚職容疑で逮捕した。PDVSAはベネズエラ政府の債務問題で社債の利払いが遅れ、格付け会社から部分的なデフォルト(債務不履行)と認定されている。
石油に頼りすぎたお陰で、原油価格の乱高下によってかなり厳しい状況に追い込まれているのである。
冒頭に紹介したニュースはそうした話の関連ニュースで、国営の石油会社がヤバイのでベネズエラピンチ!という単純な話なのである。

3カ月で67億円 ベネズエラ危機でヘッジファンドが荒稼ぎ

2017 年 11 月 22 日 11:10 JST
 ニューヨークに拠点を置くヘッジファンド「グレイロック・キャピタル」が3カ月で6000万ドル(約67億5000万円)もの利益を上げた。ベネズエラは財政難に苦しみつつも大方の予想より長く債務の返済を続ける、という予想が見事に的中したのだ。
禿タカファンドもよってたかって荒稼ぎしているので、ベネズエラ危機は当分続くと思われる。さらに、トランプ氏がベネズエラに対して大きな制裁措置を科している状況なので、ベネズエラの反米感情は更に加速しそうだな。

ベネズエラに経済制裁 大統領令に署名 

毎日新聞2017年8月26日 10時35分(最終更新 8月26日 10時55分)
【サンパウロ朴鐘珠】トランプ米大統領は25日、ベネズエラに経済制裁を科す大統領令に署名した。米国の金融機関に対し、ベネズエラ国債とベネズエラ国営石油会社の社債の新規取引を禁じる内容。独裁体制を固めたマドゥロ政権の資金源を断つ狙いがある。
なお、この話は別にアメリカだけが悪いということでは無い。国内政策が上手く行かないマドゥロ政権は、「外国に敵を作ればイイや」とばかりに反米路線を加速させたのである。

米のベネズエラ制裁に南米諸国連合反発 大統領令撤廃を要求

2015/3/15付
【リオデジャネイロ=共同】南米12カ国から成る南米諸国連合(UNASUR)は14日、エクアドルの首都キト郊外で臨時の外相会議を開催し、オバマ米大統領が9日に署名した対ベネズエラ制裁に関する大統領令の撤廃を要求する声明を発表した。
 声明は大統領令について「国家主権や不介入の原則に対する脅威だ」として「拒絶」を表明。米国に「国家主権と国民自決の原則の下」、ベネズエラ政府と対話するよう求めた。
 米大統領令はベネズエラの人権侵害などを念頭に、ベネズエラ政府当局者7人に対して米国で保有する資産の凍結などの制裁措置を発動した。

その結果、人権派大統領気取りのオバマ氏が激怒して、「人権」を理由にベネズエラに経済制裁を課しちゃった。自業自得、とも言えるね。

更に悪いことに、オバマ氏とトランプ氏の経済制裁によって、ベネズエラの今後の経済回復もなかなか見込めないことだろう。

米トランプ政権がベネズエラに科した制裁により、米国の銀行はベネズエラが新たに発行した債券を購入することができない。
また投資家は特定のベネズエラ高官を対象にした制裁により、ベネズエラの対外債務協議委員会の主要メンバーであるエルアイサミ副大統領やゼルパ経済相と交渉の席に着くことさえ禁止されている。
このため制裁が何年にもわたり債務再編の成功を妨げる可能性があり、長期投資には暗雲が垂れ込めている。特に野党勢力が打倒マドゥロ政権で前進しなければ、先行きは一段と不透明になる。


原油価格の方はある程度上向きになっているとは言え、今後の見通しは暗い。
更に言えば、反米路線であるにもかかわらず、貿易依存度が最も高いのが対アメリカ貿易という笑って良いのやら悲しんで良いのやらという状況になっている。

まあこの辺りに付け込んできているのがロシアであり、支那なのだが、ベネズエラを救う気があるかというとそんなことは無さそうだ。

ロシア政府:ベネズエラと債務再編で基本合意-3400億円の融資巡り

2017年11月9日 15:03 JST

ロシアのシルアノフ財務相は8日、ベネズエラ政府への約30億ドル(約3400億円)の融資に関する債務再編の条件で両国が同意し、近く正式に合意すると述べた。

中国マネーが招くベネズエラの破綻

2017年7月8日(土)18時30分
「ベネズエラと中国。この2国の経済に共通するリスクは?」と聞かれたら返事に困るだろう。
~~略~~
99年にチャベスが反米・社会主義路線を掲げて政権の座に就くと、中国は彼をイデオロギー的な盟友と見なし、ベネズエラにせっせとカネを貸し始めた。
公式には中国の融資は資金の使途や返済に条件の付く「ひも付き」融資ではないが、現実は玉虫色だ。00年以降、中国は新たな市場の開拓と資源の確保を目指して積極的に対外投融資を始めた。
石油を確保しつつ中南米に友好国をつくるという中国の思惑は、アメリカと縁を切って貿易相手国を多様化したいというベネズエラの思惑とぴたりと合致した。だからと言って中国が金利をまけてくれるわけではなく、融資条件は中国に非常に有利なものとなった。

どちらも、ベネズエラを食い物しようとしかしていないからである。

アホな指導者を持つと大変だな。だが、その指導者を選ぶのは他でも内国民なのである。その事を忘れてはいけない。



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コメント

  1.  資源価格の下落から公式レートと闇レートのかい離による物不足のブーストというモノカルチャー社会主義の典型的パターンですね。
     国が、国際相場10ドルの小麦を20ドルで輸入し、国民に3ドルで売り、赤字17ドルは石油でカバーし、5ドルが採算ラインの国内農家を根こそぎ全滅させ、3ドルで買った国民は10ドルで隣国コロンビアに転売して7ドル儲ける。
     政府が、外国で高く買ったものを国内で安く売り、それを購入した国民が、輸出して国外で売りさばくという「お前は何を言ってるんだ」とリアルで言えるこの政策は、例えば韓国の電気料金などに部分的に当てはまる点も注目しています。
     政府の対策も面白く、闇レートサイトへの攻撃から始まり、国境封鎖したり、高額貨幣を突然無効にしたり、銀行預金を封鎖したりと、食料が安いという社会主義政権の名目にこだわるあまり、自国の経済システムごと焼き払う姿は、本当にワクワクしました。
     最近でも、生きた子うさぎを配るなど、珍政策を繰り出しておりまだまだ目が離せません。
     アフリカでは成功例とはいえ元々貧困国のジンバブエと違い、資源も豊富でかっては楽園と呼ばれた教育水準、生活水準の高い国が、ユートピア社会主義によりどこまで世紀末化するのか、今後もしばらく見ていこうと思っています。

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    1. ああ!あのウサギの話はベネズエラの話でしたか。
      コンチネンタル・ジャイアント・ラビットを配れとか、何処かで見た気がしていましたが、そんな背景があったとは。

      確かに目が離せませんね!

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