豊洲の入札が不調で特命随意契約へ

何やってるんだろうね、都知事の小池氏は。

豊洲工事入札を断念 随意契約へ

12月04日 12時13分
東京・築地市場の移転先となる、豊州市場の安全対策について、東京都の小池知事が「高価格体質で透明性が低い」などとして改革に着手した制度のもとで行った入札で不調が相次ぎ、都は、一部の工事で入札を断念し、「特命随意契約」に切り替える方針を固めました。
入札に比べ、透明性が低く割高になる恐れも指摘される特命随意契約への転換により、改革の進め方が問われることになりそうです。
この話は、前提としてこんなニュースを知っておかねばならない。

予定価格、事後公表に切り替え

2017/07 発行
 東京都は、建設工事に適用する入札契約制度の2017年度実施方針を決定した。それによると、発注部局や工事規模・業種を問わず、すべての案件で予定価格の事前公表を事後公表に切り替えるとともに、参加要件のうちJVの結成義務を撤廃するというもの。一方、財務局の発注案件においては、参加希望者が1者しかなかった入札(1者入札)の原則取りやめ、低入札価格調査制度の全面導入にも踏み切る。
実は、今年の7月に入札契約制度を変えようという話があった。
そもそも何故こんな制度の変更が行われる話になったのかという説明は、ニュースにも書かれていて、簡単に言うと「透明性が低い」ってことだったようだ。

東京都/入札契約制度改正/予定価格の事後公表原則化、JV結成義務を撤廃

2017.4.16(Sun) 10:13
 ◇1者入札は手続き中止に
 東京都は、建設工事に適用する入札契約制度の17年度実施方針を決定した。発注部局や工事規模・業種を問わず、すべての案件で予定価格の事前公表を事後公表に切り替えるとともに、参加要件のうちJVの結成義務を撤廃する。財務局の発注案件では、参加希望者が1者しかなかった入札(1者入札)の原則取りやめ、低入札価格調査制度の全面導入にも踏み切る。
これは、今年4月頃に小池氏が「私思いついちゃったわ」という事があって、「低入札価格調査精度」を進めていきたいと考えた事に端を発するようだ。

入札制度というのは、改めて説明する必要も無い話だが、いわゆる競争入札の事を指している。例えば「新しく道路を作ろう」という話になったときに、「道路を作りたいんだけど、作ってくれる企業ある?」と、民間の業者に声をかけ、「この価格だったらやる」と手を挙げてくれる業者を探す方法だ。
で、競争入札といっても種類がある。大雑把に2つある。
  • 一般競争入札:入札情報を公告して参加申込を募り、希望者同士で競争に付して契約者を決める方式。
  • 指名競争入札:特定の条件により発注者側が指名した者同士で競争に付して契約者を決める方式。
東京都はどうだったか?というと、以前は指名競争入札制度に近かった。



そして、こんな問題点が指摘されていた。
 今回の入札改革は、大規模工事における予定価格に対する落札額の割合(落札率)の高止まりがきっかけとなったもので、豊洲市場(江東区)や2020年東京五輪の競技会場などで落札率が99%を超す例が続出し、小池都知事が「高価格体質」と問題視したことや、「税金の賢い使い方」につなげるため改革案が検討されてきた。
 これを受け建設業界からは、「赤字覚悟の価格競争が頻発しかねない」「予定価格が事前公表でなくなればひそかに価格を探る動きが出る。談合の疑念を持たれかねない」と現行制度維持を求める声も出ている。
http://www.strike.co.jp/building/news_gyokai/2017/201707_003.html
落札率が99%を越えるということは、つまり企業側の言いなりの価格になっている可能性が高い。まあ、それは分かるよ。

……だが、本来、「適正な価格」というものは、発注者が決められるものではないのである。
公共工事にあたって、発注する側の都は「予定価格」というものを設定する。この価格は、ある程度市場調査を行って決めるもののようだが、都が出せるお金の上限は存在する為に、往々にして大幅に安く設定される傾向にある。
事前にその価格が公表されていれば、「割に合わない」と感じた業者は、入札に参加しない。逆に、何とか利益が出せると考えた業者は、できるだけ高い価格で受注しようと画策する。その結果、談合などに繋がるリスクはあるが、大幅な赤字を避けられる戦法を採ることも可能だ。

都側にしてみれば、業者が納得できる価格を提示しなければ、そもそも入札者が出ないということになるため、「不調」で終わるという結果を招きかねない。そうすると、事前に価格を公示するシステムの場合には、高めに値段設定をせざるを得ない。

ところが、設定価格が入札後に公示される場合には、一番安い価格を提示できた業者が受注していくという結果になるため、設定価格と大きな乖離があった場合にも、仕事を受けた後の話なので、キャンセルができなくなってしまう。入札不調だと予定価格は開示されないんじゃ無いのかな?

業者が見積もりを失敗した場合や、どうしても受注したい場合には、業者は最初から赤字覚悟で仕事を受けざるを得ない。

こうしたやり方は、「賢い税金の使い方」という考え方もできるが、一方で、都民としても受注能力の無い業者が受注してしまうリスクを排除できない。工事が始まりました、工事に失敗しました。モノは出来上がりません。……これが賢い税金の使い方なのか?という事を考えると、ちょっと薄ら寒いモノを感じてしまう。

特に、最近は発注側の能力が落ちてきていて、トンチンカンな価格設定をしてくるケースも多いのである。それを、営業が無理に受注して、結果的に技術者が泣きを見るというのは割と良くある話。

そして、仕事がそれなりにある状況の東京都では、業者は無理をしなくても仕事は受注出来る。その結果どうなるかというと……。

入札不調の連発である。
そりゃ、豊洲の追加工事なんてただでさえやるのはリスクがある上に、赤字になるリスクまで負いたくは無いだろう。
この記事にも匿名でこんなコメントを頂いた。
800億以上注ぎ込んで無害化失敗無能ゼネコン(笑)
更に7億?盗人に追い銭そのもの。
東京都がおかしな条件設定、「地下水が飲めるように」という話を決めた上に、工事の手法を決めた段階では東京都がOKを出していたにもかかわらず、完成したら「ダメです」ではそりゃ、業者も逃げ出す。コメントを頂いた方の心情は理解出来るが、だけど多分、僕とは話の前提がちがう。

例えば、されるはずだった盛り土が見当たらないと言うのは問題なのだが、どうにも工事には見解の相違があったようなのである。

盛り土……十分な建築的知識はあったか

その話を聞いて、初めは何が問題なのかよく理解できなかった。
 すでに竣工した建築の下に、しかるべき盛り土が行なわれていない、というが、われわれの頭の中には、その程度の土は掘り返して工事するものという考えがある。木造住宅や軽量の鉄骨造は、盛り土の上に載せる感覚であるが、規模の大きい鉄筋コンクリート造では、地下空間と基礎構造が一体化され、最下部にはほとんど人の入らない水槽、配管、メンテナンス・スペースなどが設けられることも多い。そして地盤の悪いところでは、ボーリング調査によって地耐力の出る支持層まで杭を打って構造体を支えるのである。冷凍など市場特有の設備に加え、防災や情報の設備も多くなり、最近の建築はパイプ類が増えており、これが地下に集中する。東京の地下は、地上と同様に都市化が進んでいると言うべきであろう。
本当にそれはやられる必要のある話だったのか?
僕にはどうにもそう思えないのである。科学的見地に基づかない仕様の決定なら、議会が謝って、工事の仕様を変えた方が良いんじゃ無いか?そう思うのである。議会の主張がおかしいのに、その決定を守るが為に税金を投入したら、それこそ税金の無駄遣いである。



そんな経緯も踏まえて、今回、東京都は特命随意契約という話にしたようだ。

特命随意契約

特命随意契約とは、国や自治体が公共工事を発注する際、競争入札を行わず、特定の業者を指定して契約を締結する方式のことである。
競争入札を行わずに任意で決定した相手と契約を締結することを「随意契約」と言う。随意契約は、適用理由により「特命隋契」「少額随契」「不落随契」の3種類に分類される。
冒頭の「随意契約」の一形態である「特命随意契約」は、特定の業者を指定するやり方で、業者の言い値で工事をさせる話に繋がる。そりゃ、業者を指定するのだから、その業者が「できる」という金額で発注せざるを得ない。割高にもなるだろう。……ただ、都民の感情を考えると、高額で受注したら叩かれかねない。とすると、やっぱり受注したくない業者が多いんじゃ無いかな?

だが東京都は、業者の言い値で発注せざるを得ないところまで追い詰められていると言っても良いだろう。
相次ぐ入札の不調を受け、都は、来年10月の豊洲市場のオープンに間に合わない恐れがあるとしてこの工事について入札を断念し、特定の業者を選ぶ「特命随意契約」に切り替える方針を固めました。
散々、豊洲問題を引っ張った挙げ句に、工事の入札制度まで変えて、入札不調を乱発。挙げ句の果てにやり方を元に戻しますでは……。完全に小池氏の責任だが。

関係者によりますと、交渉の相手は先の入札で都の予定価格を上回る価格を示した大手ゼネコンが有力で、都は、来週にも見積もりを依頼し、今月中に契約を結ぶことを目指しています。
ただ、特命随意契約は入札に比べ透明性が低く割高になる恐れも指摘され、今回契約が成立した場合、都の予定価格よりも膨らむ可能性もあるということです。
NHKのニュースでは東京都側が「適正な価格」を設定できることを前提に記事を書いているのだが、本当にそうなのかは僕には疑問である。前例があるしね。
東京都の職員がいくら優秀であるとは言え、建設業界の専門的な知識を有し、価格動向を理解し、見積もりができているのか?は、これまでの経緯を考えてもやはり疑わざるを得ない。
よって、僕としては、入札の透明性よりも、東京都が価格を設定した「予定価格」の根拠の方が怪しいのでは無いか?と疑っている。まあ、これは前職での体験に基づいた話なので、本当のところはどうなのか、というのは続報待ちになるのだが。

とにかく、受けてくれる業者が出てくれることを願うしか無さそうである。



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コメント

  1. あるけむ(R.K.M)@fwbc1965_32017年12月8日 15:18

    数日経ってしまいましたが、誤解があるようなので、コメントします。
    二十数年前に業務の関係で勉強したのですが、基本は変わってないでしょう。

    >落札率が99%を越えるということは、つまり企業側の言いなりの価格になっている可能性が高い。
    落札率は、予定価格に対する落札価格の割合(落札価格÷予定価格)です。
    ただ、「予定価格」を見積もるのは、入札者(国または地方自治体)ですので、「企業の言いなり」になっているわけではありません。

    >……だが、本来、「適正な価格」というものは、発注者が決められるものではないのである。
    実は、工法や材料を元に見積もる積算システムがあるのですよ。
    もちろん、それだと、最新の工法や特許技術を取り入れられないので、問題がないわけではないですが。

    ということを前提に...
    通常、入札不調(競争契約を行っても入札者がいなかったり落札しない場合)になった場合、「不落随契」(予定価格は変えないが完工期限の延期や契約保証金の免除などを条件に随意契約する)になるはずなんですが、「特命随契」ということは、業者側に契約する気がないんでしょうね。

    今回の場合、付帯工事なので、なぜ入札に掛けたのか疑問なんですけど。
    ITシステムの保守などは、「契約の相手方が一に限られる場合」になるので、入札に掛けずに、最初から「特命随契」にするようです。

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    1. そうでしたか。建設業界の入札制度に関しては少し調べた程度だったので、ご指摘の内容は一度調べたいと思います。ご指摘感謝。

      ただ、結論としては、受けてくれる業者がいない、というのが実情だと、そう思います。あんな地雷案件を受けたくは無いと言うのが業者の本音なのでしょう。

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