護衛艦「いずも」を空母化する検討に入る → 防衛大臣は否定

いやいや、今さらかよ。

護衛艦「いずも」空母化…離島防衛の拠点に

12/26(火) 7:12配信
 政府は、海上自衛隊最大級の護衛艦「いずも」を、戦闘機の離着艦が可能となる空母に改修する方向で検討に入った。
これ、昨日の続報とも言える話である。
この記事ではF-35B戦闘機の導入を検討して、護衛艦の上で使うんじゃ無いか?みたいな話題だったが、本日のニュースは、護衛艦「いずも」の運用についての話である。

昨日の記事は、「ヘリコプター搭載型護衛艦」とあった。日本が保有するヘリコプター搭載型護衛艦は2種類。
  • いずも型護衛艦
  • ひゅうが型護衛艦
これ以前のヘリコプター搭載型護衛艦は退役してしまったので、記事の対象はこの2つであると考えられるわけだが、本日の記事では「いずも」が空母に改修できるかを検討するという具体的な名称が挙がっている。

 複数の政府関係者が明らかにした。いずもは、広い甲板を持つ空母に似た形状の護衛艦で、全長248メートル、満載排水量約2万6000トン。ヘリコプター14機を搭載可能とされる。空母化すれば、F35Bを約10機搭載できる見通しだ。
 改修では、F35Bのジェットエンジンが発する熱に耐えられるように甲板の耐熱性を上げる。
記事ではこの様な事が言及されているが、この「耐熱甲板」への改修という話は、以前からあった。
オスプレイが発着できるかどうかをめぐる議論でも、この話はあったようだ(オスプレイの離発着の際、ヘリコプターモードになった際には下側に廃熱が出る)が、実際には発着訓練をしたと報じられている。

ヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」でオスプレイ発着艦訓練 海自が公開 離島防衛能力の高さ示す

2016.7.22 18:59
 海上自衛隊は22日、ヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」(基準排水量約1万9500トン)に、米海兵隊の新型輸送機オスプレイが発着艦する訓練を報道陣に公開した。日米が連携して離島防衛能力を高めていることを示し、オスプレイの安全性をアピールするのが狙い。
「いずも」の甲板はある程度の耐熱性があったというわけだ。
この際に、「限定的に耐熱板を使った」という噂も出たのだが、画像検証ではそれが否定されている。検証画像では護衛艦「ひゅうが」の話が出ているが、それより後に作られた「いずも」も同等の性能はあると考えて良いだろう。つまり、護衛艦「いずも」はそもそもオスプレイ運用は前提で作られていた可能性がある。

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とはいえ、オスプレイの廃熱レベルでは無い熱量がF-35B発着には発生するだろうから、これだけで護衛艦「いずも」にF-35Bが離発着が可能とは言えないだろう。ただ、耐熱性を上げるだけならばやりようがあるのも事実なのだ。



ただ、コメント頂いたように、運用を考えると1番艦の護衛艦「いずも」や2番艦の「かが」に改修をしてまでF-35Bを載せるのか?という点は、疑問に思える。

頂いたコメントでは、運用するのに必要な人員獲得、育成などが必要となり、これらには長期間の準備が必要である。
かつ、日本には空母運用の実績が無い(旧日本軍にはあるが、ジェット戦闘機では無かったので経験値としてカウントすることは難しい)。よって、空母のモデルケースとして採用するパターンはあるのだろう。
けれど、そもそも現有のヘリコプター搭載型護衛艦は、ヘリコプターを運用する前提で作られているのである。その為のヘリコプターを降ろしてまでやるか?という点に関してはかなり怪しい。

上で紹介した記事にはF-35Bを10機搭載とある。
これについては、前回の記事で引用したものの中にこんな下りがある。
 いずも型にF-35B戦闘機を搭載することは可能でしょう。ただ、それだけでは戦力として機能しないので、戦闘機以外にも緊急脱出したパイロットを救助するためのMCH-101やV-22といった救難捜索機または輸送ヘリ・ティルトローター機を3機から4機、さらにMCH-101ないしV-22を原型とした早期警戒管制機3機から4機、加えて既存のSH-60K哨戒ヘリが3機から4機必須であり、また可能ならばV-22空中給油機型が1機から2機欲しいところです。
 以上のように、少なく見積もっても戦闘機以外に十数機程度のヘリを搭載しなくてはならないので、いずも型で実際に運用可能なF-35Bは8機程度、ヘリを減らしても12機が限界となるでしょう。
この記述は、護衛艦「いずも」を純粋に空母として運用する場合の計算だ。数字の上ではF-35Bが10機程度というのは無理の無い話に思える。

しかし、空母運用となると、本来空母を守る為に随伴する空母打撃群の用意が必要となってくる。ただでさえカツカツで運用しているイージス艦をこれ以上増やすというのが、現実的な選択肢なのかどうかは疑問であるし、海上自衛隊の規模的に、そうした運用が賄えるだけの人材がある訳では無い。
更に「空母」として運用するには、空母自体それなりの数を揃える必要がある。具体的には最低3隻。可能であれば4隻。これに加えて空母打撃群としての護衛艦や潜水艦というセットを揃えていく話となる。

単に護衛艦「いずも」にF-35Bが載せられる改修をすれば良いのだ、という話にはならないのである。

ただ、将来に備えてテスト運用的に改修し、F-35B戦闘機を購入してみるというのもありだろう。ノウハウを得る為の下準備としてそうした運用を体験する意味で、空母「いずも」を作るという訳である。

実のところ、そんな話は以前にも出ているのである。

海自最大の護衛艦「いずも」、どう見ても空母なのでは…

2014年1月7日10時24分
海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」が昨夏、進水した。どう見ても空母だが、防衛省は「空母ではない」という。どういうこと?
■能力や構造は空母そのもの
 船体の長さ約250メートル。排水量1万9500トン。真珠湾攻撃に参加した旧日本海軍の空母「翔鶴(しょうかく)」「瑞鶴(ずいかく)」に近い大きさだ。
会員制の記事で中身は読めないが、「防衛省幹部は、STOVL機の搭載について「改修は可能だが、航空機の取得や要員養成など膨大な時間と経費がかかり現実的に不可能」と否定」と、指摘しているようだ。

ただ、ヘリ空母の必要性としては、対潜哨戒機を運用する上で必要になってくるためという話があるのだが、ヘリコプターを運用するにあたっては、制空権が維持されている前提が必要となる。
よって、エアカバーの必要性を考えれば、本来はF-35Bのような限定的な能力を持つ機体であっても、搭載できれば戦力の補強という意味では効果があるかも知れない。
過去を振り返ってみると、4次防(1972年~1976年)でもVTOL機に関する調査研究費が計上されていて、過去にもそうした必要性は検討されているし、その後にはAV-8BハリアーIIの購入計画も出ていた。かねてより、自衛隊にはVTOL機の運用の思想があったということだ。



そんなわけで、今さらこんな議論が出てくること自体は、驚きなのだが、テスト運用のためであれば、或いは「いずも」改修でも足りる可能性があり、その検討という意味ではニュースに値するのかも知れない。
米軍のF-35Bが発着できるようにするだけでも、共同作戦を行う上では意味がある。

わざわざこの様なニュースを流す価値そのものが、現行政府によって見出されている可能性は否定できないしね。
観測気球を上げておいて、「いや、空母を持つべきだ」という世論が形成されるかどうかを見極めたいということなのかもしれないのだ。
追記 (2017/12/26)
はーい、解散!

小野寺防衛相 防衛力の整備の在り方検討必要

12月26日 13時26分
小野寺防衛大臣は、来年、議論が本格化する「防衛計画の大綱」の見直しに関連して、護衛艦の空母への改修などは現在検討していないとしたうえで、安全保障環境を踏まえ、防衛力の整備の在り方をさまざまな観点から検討することは必要だという認識を示しました。
ボスが否定しました-。
この中で小野寺防衛大臣は、来年、議論が本格化する「防衛計画の大綱」の見直しに関連して、「最新鋭戦闘機F35Bの導入や、護衛艦『いずも』の空母への改修に向けた具体的な検討は、現在行っていない」と述べました。
どうとでもとれるな。
また記者団が「自衛隊は空母を保有できるか」と質問したのに対し、小野寺大臣は「性能上、専ら相手国の国土の壊滅的破壊のためのみに用いられる、いわゆる『攻撃的兵器』は持たないことになっており、その判断で対応していく。専守防衛は変わらない」と述べました。
どうも、新聞記事が信用できないので、全文を確認してきた。

よし、今度こそ解散!しつこいくらいに記者達が食い下がっているが、丁寧に否定している。

ただ、もう「専守防衛」の看板は下ろせよ、それは無理だから。




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コメント

  1. 現在ある輸送艦やヘリ空母を改修するのではなくて、水陸機動団の母艦になる改おおすみ型にワスプ級ないしアメリカ級並みの能力を持たせる方向性が私はいいと思っていますが厳しそうですね(まずそれだけの艦を運用するために人員を割く余裕が海自になさそうですし)

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    1. 軍備を揃えるというのはお金が必要になるってことですからね。
      運用できない設備を備えるのは、現実的ではありません。某国は、そうでは無いみたいですが。

      ともあれ、「メリット」としては、F-35Bが発着できるような改造をしても、護衛艦「いずも」の機能が損なわれない様に思えますので、読売新聞が指摘するような、在日米軍のF-35Bが発着できるようにすることあたりが、現実的な線のように思えますよ。

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    2. なるほどです。いずも型を現在の任務のままでも移動式の滑走路兼整備施設として在日米軍機も利用できるようにすれば、連携の幅は広がりますね(海自もノウハウを蓄積することができそうです)

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  2. ヘリ空母なら甲板さえあれば良いのですからあまり高度な技術は必要ありません。しかし本格的な空母となると話しは変わりますよね、、、
    まず空母の肝となるカタパルトはどうするのでしょうか?まさかアメリカが提供してくれるとも思えませんし
    まさかのスキージャンプ方式ですかね?

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    1. カタパルト式の空母は、第二次世界大戦の時に日本軍が完成させていたという話(空母ではありませんが、イ-400はカタパルトを持っていたようです。あとは軽巡洋艦大淀がカタパルトを備えていたようですが、何れも空気圧搾式だったようですね)もありますので、自前で開発というのは無理ではない話だと思います。ただ、時間はかかるでしょう。

      スキージャンプ式が現実的かどうかは、ちょっと分かりかねますが、対費用効果を考えるんでしょうね、きっと。

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    2. あるけむ(R.K.M)@fwbc1965_32017年12月27日 14:43

      日本海軍は、空母用艦載機カタパルトの開発は出来ませんでした。従って、日本の空母でカタパルトを装備した艦はありません。
      日本海軍が装備していたカタパルトは、水上機用(火薬式及び圧縮空気式)のみです。

      カタパルトを自前で開発を行うのは、難しくないと考えます(費用は別として)。
      JRリニアの技術を転用すればいいわけですから。
      着艦拘束装置(アレスティングワイヤーなど)の開発のほうが難しいでしょう。

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  3. あるけむ(R.K.M)@fwbc1965_32017年12月27日 0:56

    この記事に引用されている読売新聞の記事に、以下の記述があります。
    >米軍のF35B戦闘機の運用を想定しており、日米連携を強化することで北朝鮮や中国の脅威に
    >備える狙いがある。

    ということなので、自衛隊へのF35Bの導入は考えていないのではないかと考えます。

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    1. 現実がどうかは分かりませんが、防衛大臣は噂を否定しましたね。

      そのうえでF-35Bの導入が現実的か?とを考えてみたいのだけれど、自衛隊としては検討くらいはしているのだと思いますよ。ただ、実現して意味があるのか?はなかなか。
      ご指摘の様に、まずは護衛艦「いずも」を改修し、取り敢えずは在日米軍のF-35Bが発着できるようにするのが、現実的だと防衛省も考えていると思います。

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