自衛隊、F-35Bの導入を検討

おおっと!

「空母」運用機を本格検討 短距離離陸のF35B導入

2017年12月25日 02時01分
 防衛省が将来的に海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦で運用することも視野に、短距離で離陸できるF35B戦闘機の導入を本格的に検討していることが24日、政府関係者への取材で分かった。既に導入を決めた空軍仕様のF35A計42機の一部をB型に変更する案、別に追加購入する案があり、来年後半に見直す「防衛計画の大綱」に盛り込むことも想定している。
……中日新聞(東京新聞)ソースか。ちょっと調べてみたけれど、読売、朝日、毎日、産経は触れていない模様。
トバし記事の可能性はありそうだねぇ。

izumo

ただ、以前から護衛艦「いずも」にF-35B搭載の噂はあって、自衛隊も欲しがっているという話はチラホラと出ていた。だから、驚きはしないのだが、ここに来て恣意的な取り扱いのニュースがこのタイミングで、というのが何やら意図的なものを感じる。

F-35Bというのは、空軍仕様のF-35Aと同型機だが、STOVLタイプの構造となっている。要は、垂直離着陸ができるタイプとことだ。
F-35には、これとは別に艦載型のF-35Cを開発中だが、こちらは垂直離着陸の機能はオミットされている代わりに、低速時での揚力の増加と安定性の強化を図るために翼を大型化した仕様となっている。そして、主翼の折りたたみが可能である。ただし、今のところ開発が遅れていて、実戦配備という話は聞かない。

U.S. Air Force F-35A Lightning II Joint Strike Fighters from the 58th Fighter Squadron, 33rd Fighter Wing, Eglin AFB, Fla. perform an aerial refueling mission with a KC-135 Stratotanker from the 336th Air Refueling Squadron from March ARB, Calif., May 14, 2013 off the coast of Northwest Florida. The 33rd Fighter Wing is a joint graduate flying and maintenance training wing that trains Air Force, Marine, Navy and international partner operators and maintainers of the F-35 Lightning II. (U.S. Air Force photo by Master Sgt. Donald R. Allen/Released)

F-35に関するタイプ別の説明としては、産経新聞のが分かり易かったので引用しておこう。
 空軍向けのAは通常離着陸型で、長い滑走路を持った陸上基地から運用するF-35の基本タイプである。海軍向けのCはカタパルトを備えた正規空母でしか運用できない。着艦速度を落とすために翼面積を増やし、強制着艦の衝撃に耐える強度を持たせた設計となっているが、基本的にはAと同じ推力構成である。しかしこれらのA、Cタイプとは全く異なり、短距離離陸・垂直着陸(STOVL ストーブル)能力を持つのが今回、岩国に配備された海兵隊向けのBタイプである。この能力によって同機は滑走路のない陸上からでも、あるいはカタパルトを持たない狭い艦上からでも運用が可能となる。同機はかつての垂直離着陸機ハリアーの後継機としての位置づけだが、速力はハリアーの2倍のマッハ1・6を誇る。
http://www.sankei.com/premium/news/170401/prm1704010017-n1.html 
自衛隊にとっては、現在保有する「いずも型護衛艦」と呼ばれるヘリ空母(正式にはヘリコプター搭載護衛艦:DDH)での運用を前提にするのであれば、F-35Bが選択肢として考えられるのだけれど、F-35Bは垂直離着陸するにあたって、エンジンのノズルを下向きに向けての飛行を行う為、廃熱が高温になり、これに対応する為の甲板を必要とするとされている。

ただし、ヘリ空母として運用が前提のいずも型護衛艦は、艦載機に必要なアレスティングフックやカタパルト、スキージャンプ甲板などを備えていないため、F-35Cの運用はできず、耐熱甲板では無いので、F-35Bの発着も出来ないと言われている。

海自ヘリ空母「かが」就役 F-35Bは結局のところ搭載できるのか? その運用は?

2017.03.23
 2017年3月22日(水)、海上自衛隊の新型護衛艦であるヘリ空母「かが」が就役し、同艦を建造したジャパンマリンユナイテッド磯子工場において式典が実施されました。「かが」はいずも型護衛艦の二番艦であり、海上自衛隊においては「いずも」およびひゅうが型の「ひゅうが」「いせ」に加えて4艦目のヘリ空母になります。
~~略~~
 結論から言うと、いずも型にF-35Bを搭載すること自体には何ら物理的な障害はなく、可能であると推測されます。戦闘機を運用する上で阻害となる飛行甲板に設置された20mm機関砲「ファランクス」の移転や、必須ではありませんが船首に勾配を設けた飛行甲板「スキージャンプ」を設けるなど、それほど大きくない改修のみで対応は可能とみられます。
 いずも型にF-35B戦闘機を搭載することは可能でしょう。ただ、それだけでは戦力として機能しないので、戦闘機以外にも緊急脱出したパイロットを救助するためのMCH-101やV-22といった救難捜索機または輸送ヘリ・ティルトローター機を3機から4機、さらにMCH-101ないしV-22を原型とした早期警戒管制機3機から4機、加えて既存のSH-60K哨戒ヘリが3機から4機必須であり、また可能ならばV-22空中給油機型が1機から2機欲しいところです。
 以上のように、少なく見積もっても戦闘機以外に十数機程度のヘリを搭載しなくてはならないので、いずも型で実際に運用可能なF-35Bは8機程度、ヘリを減らしても12機が限界となるでしょう。
まあ、こういった意見もあるのだが、「搭載可能」が正しいのか「搭載不可能」が正しいのかは、判断し難い。

ただまあ、そもそもいずも型護衛艦がF-35BまたはF-35Cの搭載を前提に設計されているわけでは無いということ考慮すると、冒頭のニュースの内容は少々信頼性に欠ける気がする。
特に、導入予定であるF-35A42機のうち、一部をF-35Bにするという案は荒唐無稽だと思える。ただでさえF-4Jの退役が始まっていて、140機のF-4JF-4EJ(大部分はF-4EJに改修されている)の代替がF-35Aということになっているので、42機程度では全く足りない。
加えて、F-15JのうちPre-MSIPと呼ばれる近代改修が困難な機体110機の代替についてもかなり難航しており、F-35Aの調達数を減らすという選択肢は、ちょっとあり得ないと言わざるを得ない。
 護衛艦であってもF35B戦闘機を搭載すれば軍事的には「空母」と位置付けられ、自衛のための必要最小限度を超えるため攻撃型空母を保有することは許されない、としてきた政府見解との整合性が問題となる。
結局、中日新聞はこれが言いたかっただけであり、先日、噂されていた巡航ミサイルに絡んだ話のような気がする。
巡航ミサイルの導入をめぐっては、早速野党が反対して見せていたが、正直、これを導入しない理由がよく分からない。
ただし、この話も「自衛のための必要最小限度」という話と繋がる。だが、そもそも「必要最小限度」というのは、時代と共に変化するのである。
支那が多数の空母を持つようになってくると、自衛隊としてもエアカバー無しの作戦を行わざるを得ず、それは現実的とは言えない。

これまでは、護衛艦を日本のシーレーンに派遣するということそのものが否定的だったが、支那が空母を作ってこの海域をウロウロするような事になると、日本の生命線と言える当該海域の守りをアメリカ軍に任せるという話になってしまう。

無論、それは日米安全保障の適用の範囲内とも言えるが、しかし、アメリカはアメリカの都合で軍隊を動かすのである。日本の都合で作戦を実行したい場合には、護衛艦だけの派遣では敵に的を提供する様なものになる。空母は必須、という話になる。

脅威が現実のものとなっている今、それに対応する為の作戦は必須である。

たぶん、これにも野党は反対するのだろうが、支那が増長する一方で、アメリカは海外への影響力を弱めようとしている。
相対的に、自国を守れる手段を確保することは、日本の政治を行うものとしては、当然考えなければならない話。

その為に、現実的な空母の獲得と、F-35Cの獲得を目指すのが望ましいと、僕は思う。
空母を手に入れて、何ができるのか?という話だが、
  • 離島奪還時の近接航空支援及び水陸機動隊護衛用
  • シーレーン防衛の為に護衛艦を派遣し、その護衛艦に関する近接航空機支援
とまあ、こんなところだろうか?離島奪還に関しては、陸上からもF-35Aの派遣は可能ではあるが、先に滑走路を潰されると色々と支障が出るので、空母があるに越した事は無い。ただ、そうであるのであれば、F/A-18E/Fと空母というペアで考える方が、実用的なんだよね。
F-35Bを導入して対費用効果がドコまで得られるのか?
F-35Cの開発終了まで待つのが良いのか?という事まで慎重に考えるべきなので、そうした点は検討の余地がある。

いずれにせよ、冒頭の記事の内容が本当でも、本当で無くても、こうした議論を避けて通れないのが、今の日本がおかれている現状なのである。

追記 (2017/12/26)
記事を書くときには探しきれなかったのだが、ソースは共同通信ネタだったようだ。東京新聞のデマ、という話では無く、単にコピペしただけだったという事だね。

「空母」運用機を本格検討

2017/12/25 02:01
 防衛省が将来的に海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦で運用することも視野に、短距離で離陸できるF35B戦闘機の導入を本格的に検討していることが24日、政府関係者への取材で分かった。既に導入を決めた空軍仕様のF35A計42機の一部をB型に変更する案、別に追加購入する案があり、来年後半に見直す「防衛計画の大綱」に盛り込むことも想定している。
 護衛艦であってもF35B戦闘機を搭載すれば軍事的には「空母」と位置付けられ、自衛のための必要最小限度を超えるため攻撃型空母を保有することは許されない、としてきた政府見解との整合性が問題となる。
さて、共同通信の劣化もかなり激しいところがあって、このニュースが「政府関係者」という誰でも無いソースで語られることを考えても、信頼性が高まったというには未だ足りない状況だが、少なくとも東京新聞(中日新聞)が先走ったという話では無いようだ。

そもそも、空母化についてはいずも型護衛艦を建造する際にも様々な検討がなされていたのである。当然、F-35A導入にあたってF-35Bを導入するか、という議論もあったハズで、このニュースは本気で「今さら」なのだ。



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コメント

  1. 次の輸送艦は垂直着陸機運用に特化した強襲揚陸艦になったりして。

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    1. どうでしょうかね。
      ヘリコプター搭載型護衛艦が現状で3隻(「かが」が就航すれば4隻)。なので、ヘリコプター搭載型護衛艦はこれでお終いと言う事になって、次の強襲揚陸艦、という話になるのか、或いは混成でVTOLを積むのか。

      ただ、テスト的運用をやる必要はあると思うので、別の報道で出ているように「いずも」改を作る可能性もありますね。

      削除
  2. この記事が本当だったとして、3機種体制の維持のためや、島嶼など十分な長さの滑走路が確保できない場所での運用など、空母で運用する以外の目的も十分に考えられる気がします。(いずも型を軽空母として運用すれば本来の対潜艦として運用できなくなって色々支障がありますし)

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    1. 今後の情勢は興味深く見守っていきたいと思います。
      どうなるのでしょうね。

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  3. いつも楽しく読ませてもらっています。

    飛行機マニアとして、訂正を。

    文中
    (誤)F-4J(正) F-4EJ
    (誤)F-4EJ(正)F-4EJ改
    です。(F-4Jは米海軍型です。)


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    1. ご指摘ありがとうございます。
      修正させて頂きました。

      削除
  4. いずも級の2番艦の名前に「かが」と付ける辺り空母保有を検討していない訳ではないでしょうが、実際にいずも級にF35Bを載せるとなると新造に近い手間がかかるでしょうね("かが"のネーミングは世論や周辺国の反応を観る為のアドバルーンだと思います)。
    空母機動艦隊を編成するとなれば新に海軍と空軍を同時に造る様なものですから防衛費を倍にする位の覚悟と、人員の育成や研究開発やらで今から始めて10年位の時間が必要でしょう、それでも現実問題、中国が本格的空母を保有するのが時間の問題である今、何らかの対抗策を持たねばなりません。
    左翼の方々は狂った様に反発するでしょうが・・・

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    1. どの程度の対費用効果が出るのか、という見積もりはやるのでしょう。
      ただ、テストケースとして実際に「いずも」を改修する可能性もあるように思いますよ。

      時間をかけて変えていくには、今からでも手を付ける必要はあると思います。
      空母機動艦隊はアメリカレベルのモノを想定すると、流石にコストがかかります。別の形で何か考えるかも知れません。いずれにせよ、シーレーン防衛に必要であれば、やらざるを得ないでしょう。

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  5. あるけむ(R.K.M)@fwbc1965_32017年12月26日 2:43

    中日新聞(東京新聞)の記事ですが、共同通信が発信した記事そのままですね。共同通信がアドバルーンを上げた感じです。

    いずも級(いずも・かが)への固定翼機搭載ですが、非現実的だと考えます。
    いせ級(いせ・ひゅうが)といずも級は、護衛隊群内で分散搭載されていた哨戒ヘリを集中運用するために導入されました(はるな級DDHの機能拡充と考えられます)
    そのため、現在搭載中の哨戒ヘリを下ろすわけにはいかないですから、搭載できるF-35Bの機数は限られます。少数のF-35Bを搭載して意味があるのか疑問です。

    もし、真面目に空母保有を考えるなら、電気屋様が指摘されているように、空母3隻の他に3個護衛隊群+1個航空団(4個航空隊)の追加が必要だと考えます。

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    1. 確認しました。確かに共同通信の記事のコピペでした。
      そして、今日の記事で「いずも」改修に手を出す可能性について言及されていましたね。「いずも」にF-35Bが着艦できるように、というのが先に考えるべきことと、そう政府は判断するかもしれませんね。

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