ASM-3の量産開始

X-ASM3がASM-3として量産開始されることが決まった。

<超音速ミサイル>量産へ 国産「ASM3」、抑止力強化

1/7(日) 7:30配信
 防衛省は国産では初めての超音速の空対艦ミサイルとなる「ASM3」の開発を完了し、2019年度から量産を始める。航空機から発射して艦船を撃破する用途のために03年度から開発を始めていた。17年7月まで計15回の実射試験を重ね、昨年末に分析を終えた。音速の3倍のマッハ3以上の速度で艦船に迫り、迎撃がより困難になる。島しょ防衛などを担う航空自衛隊のF2戦闘機に配備し、抑止力を強化する。
80式空対艦誘導弾(ASM-1)、93式空対艦誘導弾(ASM-2)に続いてASM-3が量産されることになった訳だが、本日はこのニュースについて。

F-2

この写真はF-2戦闘機に搭載されたX-ASM3だが、意外に大きい気がする。

中央側から2本積んでいるでっかいのは増槽で、その脇に付いているのはAIM-120 AMRAAMっぽいのだが、シロウトの僕にはよく分からない。その脇のカラフルなヤツがXASM-3であろうと、試作品だからカラフルだね。そして、翼の先端に付いているのがサイドワインダー(AIM-9)だろう。
 「ASM3」の射程は百数十キロと既存のミサイルと同程度だが、新型のジェットエンジンを搭載したことで速度をマッハ3以上に引き上げた。03年度から約390億円を投じて新型エンジンの研究・開発を続けていた。防衛省は昨年、従来より射程を伸ばした護衛艦搭載型の対艦ミサイルの開発にも成功しており、19年度以降の予算化を目指す。また、これらの技術を応用して、地上発射型の対艦ミサイルの改良も進める。
で、このASM-3は、射程距離が200km程度。重量が900kg程度なのだが、飛行速度が速くなったこととと、ある程度のステルス性を備えていること、高高度を飛行して目標手前で超低空飛行をするパターンなどの複数モードでの飛行が可能になっていること、などが特徴らしい。
去年の7月頃には2018年度には導入されるようなニュースがでていたが、このリンク先に紹介している政策評価書を確認すれば、旧計画表によれば2023年くらいに量産開始ということだったが、新計画表によれば2018年にはテストが完了する予定になっているので、この時のニュースと変わったのか?といえば、防衛省のスケジュール通りだと言うことではある。

で、日本の首相の安倍氏は、このASM-3を含む長距離ミサイルの導入に関してこんなコメントを出している。

巡航ミサイル「国民の理解得られる」 首相、NHK番組で

2018年1月8日 朝刊
 安倍晋三首相は七日放送のNHK番組で、二〇一八年度予算案に長距離巡航ミサイルの導入関連費用が盛り込まれたことについて「国民の命を守り抜いていくためには、相当質の高い防衛力を持たなければならない。国民の理解を得られると思う」と語った。
……いや、ASM-3は含んでいないか。失礼。

2018年予算案に盛り込まれた「長距離巡航ミサイル」はこっちの話だな。
 ミサイル装備の強化は、海洋進出を強める中国が念頭にあり、防衛省はこれらのほかに戦闘機搭載の長射程巡航ミサイルの導入に着手。18年度予算案には、米国製の射程約900キロの「JASSM(ジャズム)-ER」など3種類の長射程巡航ミサイルの導入関連経費約22億円も計上した。また、ロケットで打ち上げた後に超音速で滑空させる高速滑空弾などの研究費として計約100億円を盛り込んだ。島しょ防衛をにらみ、探知・迎撃されにくいミサイルの技術革新を進めたい考えだ。
 英国とは戦闘機に搭載する中距離対空ミサイルの共同研究を進めており、18年度から研究試作に着手する。標的を探知するための日本の技術と、射程を伸ばす英国の技術を組み合わせ、F35戦闘機への搭載を念頭に高性能ミサイルの開発を目指す。
 世界的にはミサイルの高速化・長射程化が加速しており、米国やロシア、中国などはマッハ5以上の「極超音速」のミサイルの実用化を目指している。防衛省幹部は「島しょ防衛では艦船の接近を防いだり、反撃したりするミサイルの性能が重要だ。世界の潮流に置いていかれないように性能向上を図る必要がある」と指摘している。
いずれにせよ、国際的にミサイルが長射程化が進んでいるため、JASSM-ERやJSM辺りを導入する話になっている。
これは、支那が国際社会に牙を剥いていることを考えれば、避けられない軍備である。ASM-3の配備も、迎撃しにくいミサイルの導入ということで、日本には必須の装備品なのだ。

国際情勢を考えれば、こうした装備品に力を入れるべきなのである。



そう言えば、既に信用の失墜している日経新聞の社説にこんなものがあったね。

新たな危機にも目配りする防衛体制に

2017/12/24付
防衛費が急ピッチで増加している。東アジアの安保環境の悪化を考慮すれば防衛力の増強は不可欠だが、本当に効率的に使われているのかどうかはよく見極める必要がある。いまの自衛隊のまま、ただ装備を増やせばよいのか。抜本的な組織改編も視野に防衛のあり方を考えるときだ。
 2018年度予算案の防衛費は5兆1911億円となった(米軍再編経費を含む)。17年度予算比1.3%増で、6年連続の増額である。5兆円に達したのが16年度だから、近年の伸びは著しい。17年度補正予算案にも2345億円が盛り込まれた。
 しかも、今回導入が決まった(1)陸上配備型のミサイル迎撃システム「イージス・アショア」(2)戦闘機から発射し、地上の敵や艦船を攻撃する巡航ミサイル「JSM」――などは、いずれも初期費用しか計上されていない。
去年のクリスマスの社説だが、一部を除いて意外に良いことが書いてあった?ので紹介しておこう。
 JSMは8月の概算要求には含まれていなかった。使い方によっては敵領土に撃ち込めるとの見方がある。歴代内閣は敵基地攻撃を「法理的には自衛の範囲」としてきたが、野党の一部は違憲と反発している。もう少し丁寧に論議してから導入を決めてもよかったのではないか。
 大きな買い物の一方で手薄な感じのするのが、新たな危機への対応である。
あーうん。
 サイバー攻撃に備える防衛隊の要員を110人から150人に増やすが、米国防総省のサイバー要員は数千人ともいわれる。高層大気圏で核爆発を起こして相手国のインフラを破壊する電磁パルス(EMP)攻撃などへの備えは、研究段階にとどまった。
 共通するのは、陸海空いずれの自衛隊にとっても主業務でない課題への感度が鈍いことだ。
まあねぇ……。
 どうすれば国を守れるか。陸海空の区分けにこだわる必要はないし、防衛省と海上保安庁の連携強化も欠かせない。新たな危機に即した防衛体制が求められる。
大雑把に説明すると、「むだ遣いするな」「新しい分野にも金を配れ」ってことだと思うのだけれど、尤もな部分はある。が、なかなかこれ、ハードルは高い。

これは、縦割り行政の弊害とも言える話で、「陸」「海」「空」の自衛隊が、それぞれ自分の分野を強化したいという風に願うのは、ある意味当然ではある。
じゃあ、「陸海空の区分けにこだわることなく」防衛体制を強化するにはどうしたら良いか?「防衛省と海上保安庁の連携強化」するにはどうしたら良いか?コレはもう、政治体制そのものの問題なのである。



ASM-3の量産のニュースが出た段階で、日本のメディアはコレに反対し、野党はコレに反対する。「どうすべきか」なんて対案は一切出さない。
だとすると、与党の議員さん達にしっかりと勉強して頂いて、国防の方針をしっかりと練って頂くしか無い。

もちろん、防衛省の背広組の方々や制服組の方々にも頑張って頂きたいが、内部から改革というのは非常に難しくなっているのが日本の自衛隊の哀しい現実である。自衛隊を縛っている法律そのものの立て付けが、「軍事力が存在しない」という前提に基づいて設計されているのだから。

しかし、公明党は期待できないし、自民党の中にも軍事面に明るい人材は殆どいないというのだから、なんとも……。幸いにも、自衛隊所属経験のある議員や、それなりに勉強されている議員がいるのが救いではあるが、そうした議員はまだまだ僅かである。
少なくとも「軍事的な知識」を議員の必修にしてくれないかなぁ。タブー視すんな!


そして、そもそもの話をするのだが、ASM-3を配備したらどうなるのか?というと、どうにもならないのである。これを撃てる体制にしなければ意味が無い。今まで、自衛隊はこの手のミサイルを敵に向けて一発も発射した試しがない。そうした機会が無かったことは僥倖と言えるが、しかし、本当にそうなのか?というと疑わしい。「撃てない状況」「縛りプレイ」のままなのでは無いか?

日本は、兵器を整備するのと共に、これを行使できる体制を早急に構築すべきなのである。そして、それを実行してみせる。もちろん、そんな機会がこないに越した事は無いが、力を見せつけることも外交である。その為の法整備は是非とも進めて欲しい。

というわけで、年始は軽く終わることにします。
本年度もよろしくー。


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コメント

  1. 日経は本当に中国共産党の機関紙に成り下がりましたねえ。前は政治に関しては割と中立なイメージがありましたが。 「中国共産党の一党独裁は素晴らしい。一方、日本の民主主義は曲がり角を迎えている」という論評にはゾッとしました

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    1. 日経は、経済面での信用は以前からありませんでしたが、時々とんでもないトバし記事を出す、支那に関しては持ち上げる記事しか書かない、と、良いところは無いですな。

      「一党独裁は素晴らしい」ですか。
      だったら、安倍一強も大歓迎のハズですよね(笑)

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  2. 対艦ミサイルの行使の分かりやすい絵としては標的艦に対する攻撃というのがありますが、ミサイルの性能がモロバレになるので厳しいですね……
    ミサイルに関しては「うちはこうこうで、こんなこともできるミサイルがあるんだ!」と言って相手に警戒させるしか現状無いのでしょうか。
    「凄いミサイルが出来たというのはわかった、けどそのミサイルホントに凄いの?」と国民としては思ってしまいますが、そこは仕方ないですね。残念です。
    蛇足ですが、翼端に付いているミサイルはAAM-3、増槽の隣にあるのは頭のかたち的にAAM-4だと思われます。
    日経さんは、ミサイルより重要な分野があるだろ。と言うのならば防衛費と自衛隊の人数の少なさを問題としてほしいですね。
    防衛費が足らないから、次点で重要な分野が進まない、自衛隊の人数が少ないから重要な分野にあてられる人数が少ない、的に。
    まぁ絶対言わないでしょうけど。

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    1. ミサイルに関するご指摘ありがとうございました。
      勉強不足でしたね。

      自衛隊の実力を示す、という機会があってはいけないのですが、しかしいざという時に動けないと話にならない。特に人員不足や装備品不足は本当に問題だと思います。その手の話ができる議員が髭の隊長こと佐藤氏くらいというのもまた、情けない話です。自衛隊員に政治家になってくれとは言いませんが、毛ちょっと勉強してくれと、そう思います。

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