ドイツの苦境とメルケル氏の足掻き

日本人大好きドイツの事情だが、最近は何やらおかしな状況が続いているようだ。今日は、このブログにしては珍しくドイツの状況に触れていきたい。

なお、ドイツ人は日本のことが嫌いな模様。

メルケル氏、ドイツには安定政権必要と訴え-SPDとの予備協議開始

2018年1月8日 13:13 JST
ドイツのメルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と社会民主党(SPD)は7日、新政権樹立に向けた予備協議を開始した。自身の4期目に道を開くことになる重要な協議に際して同首相は、この先の「膨大な」課題に取り組むためドイツには安定した政権が必要だと述べた。
安定政権ね。

安定政権が必要というのは日本人も重々感じていることであり、日本国内でも「安倍憎し」でとにかく安倍政権を倒そうと躍起になっている方々以外は、現在の安定的な長期政権に対して信頼を置いている。それが少数派か多数派か、といえば、多数派である可能性が高い。
安倍政権の支持率は、12月の半ばで3割台に急落しているという報道もあったが、色々な世論調査を見ていると4割以上は支持しており、不支持率が3割5分程度。

line_graph_201712

安倍政権全体を通しても、未だに高い支持率を維持していることが分かる。と、話が脱線してしまったが、今回はドイツの話だった。

ドイツでは、女帝メルケル氏が長らく首相をやっている。
だが、メルケル氏の所属するキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)は多数派とはいえ、「他の政党より」という但し書きがつく状況にある。
だからこその「安定政権」への渇望なのである。

独総選挙、メルケル首相4期目へ 国家主義政党が議席獲得

2017年09月25日
ドイツで24日、総選挙が実施され、アンゲラ・メルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が第1党となるのが確実な情勢となった。これによりメルケル首相は政権4期目に入る見通し。一方、右翼国家主義政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が、第2次世界大戦後の連邦議会で初めて議席を獲得した。
保守派のCDU・CSUは第1党となったものの、ほぼ70年来で最悪の結果だった。歴史的な惨敗となった社会民主党(SPD)は、CDU・CSUとの連立を離脱し、野党に転じると表明した。

元々、ドイツでは与党は連立政権で政権運営を行うのが通例になっており、日本のように与党が圧倒的支持率を持っているという状況は見たことが無い。きっと、ナチスがトラウマになっているのだろうね。


2017_9

これは2017年9月の選挙結果だが、第一党であるキリスト教民主・社会同盟(CDS-CSU)と第二党である社会民主党(SPD)の票差は13%程度。
2党で連立を組んで過半数という状況ではあったが、残念ながらSPDはCDS-CSUと袂を分かつ状況になった。

そして、問題なのはドイツのための選択肢(AfD)が第三党になり、これがいわゆる極右勢力なのである。EU離脱を最大の目標とし、移民にも反対する。
まあ、これが右派政党といわれる所以なのだが、日本の右派とは随分違うね。日本の方が世界基準では無いのだけれど。

さておき、メルケル氏はこの状態では政権運営ができない訳で。
連立の選択肢
SPDを率いるマルティン・シュルツ氏は、連立相手のCDU・CSUと同様に1949年以来最悪だった選挙結果について、メルケル氏との「大連立」の終わりを意味すると語った。シュルツ氏は支持者集会で「我々は目標に達しなかった」と認め、「ドイツの社会民主主義勢力にとって、苦々しく困難な日になった」と述べた。
SPDの連立離脱を受け、メルケル氏に残された選択肢は限られており、新たな連立合意がまとまるまで何カ月もかかる可能性もある。
http://www.bbc.com/japanese/41383219


2017年9月の状況では、連立の相手も無く政権運営ができない。新たな連立合意を模索していたという報道だった。
年が明けて、ようやく冒頭の様に「やっぱりSPDと連立を組みたい」と言う話になっている。何のことは無い、選挙を終えて3ヶ月経った今でもドイツでは政治がスタートしていないのだ。

……まあ、他に連立組める相手がいないことを考えれば仕方がない面はあるんだけど、メルケル氏の第4期は厳しいスタートになった。いや、未だスタートしていないが。
 SPDのクリングバイル幹事長は同日、「これは特別な政治状況だ。われわれは皆、ドイツと欧州に対する責任を認識している」と記者団に話した。
 両党は予備協議を11日までに終わらせたい考えだ。SPD指導部は両党間に共通の土台が十分にあると判断すれば、政権を担う上での政策方針に関する本格交渉に入るかどうかを21日の党大会に諮ることになる。SPDは昨年の連邦議会選挙で得票率が第2次世界大戦後の最低水準に落ち込み、多くの党員は3度にわたってメルケル首相の格下パートナーに甘んじることに慎重姿勢を崩していない。
現状ではどうあってもSPDには譲歩せざるを得ないし、SPD内にはメルケル氏の格下として働くことを良しとしない議員も多いようで。
つまり、SPDと組む以上はSPDに譲歩せざるを得ないが、それでは思い切った政策を打ち出せない。

しかし、記事には「1月11日には結論が」と書かれているが、果たしてSPDに結論は出せるのかねぇ?SPDの党大会が1月21日、そもそも「下野する」という選択をした上で「やっぱり与党に」という結論に至るには色々と問題があるのだろう。このまますんなりと、と言う訳には行かないんだろうな。

ドイツの政治空白が100日超え 連立交渉難航で政権発足できず

1月5日 5時30分
ドイツではメルケル首相の4期目の政権発足に向けた連立交渉が難航し、政治空白が100日を超える事態となっています。EU=ヨーロッパ連合の加盟国では懸念が広がっていますが、新政権の発足は順調にいっても春までかかるとの見方が出ています。
メルケル首相が率いるキリスト教民主・社会同盟は、去年9月の連邦議会選挙のあと、4期目の政権発足を目指して2つの少数政党と連立交渉を行ってきましたが、交渉が決裂し、選挙から3か月以上がたった今も政権が発足していません。
選挙から政権発足までに最も長くかかったのは、前回2013年の選挙後の86日でしたが、今回は5日で103日となり、すでにこれを大きく超えています。


ともあれ、メルケル氏は第4期のメルケル政権を運営するにあたって苦境に立たされているというのが現状なのである。2005年から12年にわたって政権を担当しているのだが、メルケル政権は一体その任期中に何をやったのだろう?寡聞にして知らないので、調べてみた。

<第一期(2005年9月~2009年8月)>
  • ドイツサミット(2007年6月)に議長を務める
  • ダライ・ラマ14世を首相官邸に招待
  • テロ防止のため通信事業者に対する通信履歴保存義務を導入
  • 原子炉は延命方針を打ち出す
<第二期(2009年9月~2013年8月)>
  • 通信履歴保存義務は違憲判決によって一部無効化
  • ギリシャ財政破綻問題でドイツが多額の財政支援を
  • 3.11の影響を受けて脱原発路線に転向し、2022年までに国内の原発を閉鎖する決定
<第三期(2013年9月~2017年8月)>
  • 通信履歴保存義務は違憲判決によって一部無効化
  • 大量の移民を受け入れる決定を行う
Wikipediaを参考に列記してみたが、めぼしい実績が見当たらない。
もちろん、これだけ長期にわたって首相を続けているのだから、それなりの政治手腕はあるのだろうけれど「何をやったか」と問われて「これだ」と胸を張れることはなにか?と考えてみて、メルケル氏が誇れるのは「EUの危機を救った」のと「脱原発政策」くらいなのだろう。
他にあったら教えて欲しい。

で、去年の記事になるのだが、こんなニュースがあった。

Das Boot ist kaputt!ドイツには世界最高級の潜水艦がありますが、いずれも機能しません

公開時間:201 12月18日04:34編集された時間:201 12月18日06:22
ドイツは潜在的に潜水艦隊全体を持たず、何隻もの船舶を数ヶ月にわたって運航することはできません。海軍の誇るUボートは、メンテナンスしているかまたは修理が必要な状態のいずれかです。
ドイツ海軍は、水素燃料電池を搭載した最先端のType212A型潜水艇が、2週間以上にわたって潜水して潜水することを可能にしたことを誇りに思っていたため、数日間潜水可能なほとんどのディーゼル潜水艦よりも優れていました。ドイツのARD放送会社によると、このような船舶はそれぞれドイツの予算に4億ユーロ(4億6,990万ドル)の費用がかかる。しかし、ドイツ軍は最近、彼らの6つの貴重な船すべてが係留されていると認めました。

ああ、そう言えば韓国の潜水艦も動いていなかったが、本家の潜水艦もこのざまなのか……。
まあ、そっちの話は脇においておくが。
Bartelsは、潜水艦のためのスペアパーツの主要な欠点と、この不幸な出来事のための政府の防衛予算の削減を非難した。彼は、冷戦終結後、ドイツ当局は高コストのために軍用機の予備品を備蓄することを断念し、その代わりに発注することを選択したと説明した。
結局のところ、最先端の潜水艦を保有していても「資金不足」で運用できていないらしい。

ドイツのLeopard 2タンクの半分以上がサービスに適さないと報告されている

公開時間:2017年11月16日15:12
ドイツ軍の255台のLeopard 2の主要戦闘艦の半分以上は就航には適していないが、戦闘用車両のかなりの部分は重要なスペアパーツが不足しているため条件付きでしか使用できないと考えられているという。
ドイツの軍隊は、訓練され、維持されている敵に対して戦車造隊を展開する能力があることで過去によく知られていましたが、この信念は消えているようです。Funkeのメディアグループは、Bundeswehrの244 Leopard 2の主要戦闘タンクのうち95戦しか戦闘準備ができていないと、国防省の報告書から学んだ。このレポートは、Focus Magazineによって発行されました。

こちらはドイツの誇る戦車の「レオパルド2」の話だが、こちらも同じ状況にあるとのこと。

いやはや、どっかの国とそっくりな状況にあるようだが、これはドイツに技術力がないから、という訳では無く、ドイツ軍に適切な予算が付与されていないかららしいな。

去年の5月にはトランプ氏にその点について非難されている。

トランプ米大統領がドイツ批判、独は関係の重要性を強調

2017年5月30日 / 20:41 / 7ヶ月前
[ベルリン 30日 ロイター] - トランプ米大統領は30日、対米黒字と軍事費の水準に関してドイツを批判した。「同盟国を完全には頼れない」としたメルケル独首相の発言に続き、最大野党・社会民主党のシュルツ党首はトランプ氏を「西側の価値観の破壊者」と非難、米独間の対立が先鋭化した。
~~略~~
トランプ氏はこの日ツイッターに「米国は極めて巨額な対独赤字を抱えているうえ、ドイツが北大西洋条約機構(NATO)において支払っている軍事費は限りなく少ない。米国とって非常に好ましくなく、変えていく」と投稿した。
ドイツの軍事費はGDP比1.2%で、先進国の中でもダントツに低い。もっと低いのが日本だが……。
なお、古い記事ではあるが、2010年の赤旗にこんな内容がある。

独、軍事費1兆円削減

2010年7月9日(金)「しんぶん赤旗」
 ドイツのマスコミは7日、独国防省の専門家グループが93億3000万ユーロ(約1兆412億円)にのぼる大幅な軍事費削減案を提出したと報じました。(片岡正明)
 ドイツ政府は、6月に今後の4年間で800億ユーロ(約8兆9280億円)の財政緊縮政策を発表。緊縮策の中で、軍事費を聖域にせず、軍隊も徴兵制をやめる方向で検討し、兵士4万人を削減するなどの案がすでに出ていました。
~~略~~
 ドイツの国防費の国内総生産(GDP)比は1・3%と、すでに北大西洋条約機構(NATO)の中ではもっとも小さい国の一つですが、グッテンベルク国防相は政府の財政状況にかんがみ、大幅な予算カットが必要だと述べていました。
2010年当時のドイツは、軍事費を大幅に削減した。そして、この際に徴兵制もやめた。

共産党員はこのニュースを見て大歓喜し、日本も軍事費を減らせと大合唱をした訳だが、その結果が戦車も潜水艦もまともに動かせない、という話なのだ。なお、ドイツの徴兵制も復活させる予定だという噂がある。日本も笑いごとでは済まないが。


というわけで、メルケル氏の業績を調べたら、「もしかしたらドイツの鳩山ではないか?」と、疑ってしまった。

そもそも、メルケル氏の政策は割と右往左往しているように思える。もちろん、おかしな政策を行って、それを説得力を持って修正していけるという実力を認めざるを得ないのではあるのだが、何というか、やっている政策が「クソ」過ぎるというか……。

脱原発は、そりゃ国としての政策は悪くないのだけれど、これって、「周辺国から電力を買う事ができる」という前提での話。他国には「原発で作った安い電気を売って」と持ちかける一方で、「事故の懸念があるから原発止めます」って、かなり酷いと思う。

ギリシャに金を出した際に「緊縮政策しろよ」と迫ったことも、ギリシャの経済が緊縮では到底解決し得ない問題を抱えていることを知り、ドイツがギリシャの存在によってEU内で経済的優位に立っているという現実を考えれば、「良くそんな台詞が言えるな」と感心するほどだ。まあ、ドイツが金を出さなければEUが瓦解していた可能性すらあるので、発言はともかくとして、この件はそれ以上突っ込むまい。

また、大量の移民受け入れについては、ドイツの治安悪化という結果を招いたのだが、連続女性襲撃事件は記憶に新しい。無論、移民受け入れが労働力の確保や少子化対策になっている側面はあるのだろうが、それでも果たして本当に「受け入れ」が正しかったのかは、疑問だ。
移民問題で危惧すべきは、外国人が国内で悪さをする、という話ではなく、異文化の摩擦で問題が生じることこそが問題の本質なのだと思う。100万人も移民を受け入れておいて、その中に問題児が潜んでいる確率もさることながら、その移民達は全てドイツの文化を知らないのである。文化も宗教も違う民族が隣に住んでいて、摩擦が起きないわけがない。

ドイツの人口は8300万人ほどだが、2015年度の統計で移民人口は1100万人もいるのだという。今ならもっと増えているだろう。
今やドイツ人口の2割が移民のバックグラウンドを持っているというのだから驚きである。うち、近年になって急造した層がドイツ社会に馴染めずにスラムを形成したとしたら(実際に既に存在するが)、恐ろしい事になる(なっている)。

メルケル氏無きドイツというのも、考えにくい状況であるとは聞くが、4期目を迎えるメルケル氏が本当に大きな仕事をするとしたら、一体何なのだろうね。足掻いてドイツを救うのか、それとも……。まあ、EUはドイツで保っている部分があるので、ドイツが沈めばもはやどうしようも無くなり、或いは3回目の戦端が開かれるなんて事態だってありうる。
意外に、中東問題が飛び火しかねない位置にいるしね。

ドイツの未来はEUの未来でもあるのだが、どうなることやら。



ランキングへの応援クリックよろしく!
にほんブログ村 ニュースブログ ニュース批評へ

コメント

  1. 日本はドイツにとって主要産業である自動車などの工業製品の輸出の商売敵ですし嫌われるのも仕方がない気はします(他の要因もあるでしょうけど)
    EUのリーダーは表向きはドイツとフランスですが実際はフランスよりドイツが格段に影響力が強く、実質ドイツの独り勝ちだという状態が続いていると思っていましたが、ドイツがこの有様だということはもうEUは崩壊寸前なのでしょうか(ドイツは冷戦終結後にEUに参加した東欧諸国にも緊縮財政を押し付けてましたし、EUに参加して良いことがなかった・悪くなったと感じている国の不満は相当なものである気がします)

    返信削除
    返信
    1. ヨーロッパの情勢については勉強中なので、明確なご返答が難しいのですが、EUが「失敗」の烙印を押されて延命に汲々としている状況は疑いようのないところです。
      ドイツがここにどう絡んで、どうなっていくのかと言うことを予言するほどの知識が無く、他の方にコメントをお願いしたいところではありますが……。

      削除

コメントを投稿

お気軽にコメントを!ハンドルネームは面倒でもお願いします。