金塊の密輸と消費税の話

最初にこの手のニュースを見たときは不可解に思ったものだ。
情報としては周回遅れの話なのだけれど、金の密輸事件は増え続けていることを考えると、改めてスポットを当てても良い話だと思って、記事として取りあげた。

1・2億円相当の金塊を密輸入容疑…韓国人7人逮捕 女5人、下着などに隠し

2018.1.10 20:50

韓国から金塊約28キロ(約1億2千万円相当)を密輸入したとして、大阪府警関西空港署は10日、関税法違反と消費税法違反の疑いで、いずれも韓国籍の男女7人を逮捕した。
しかし、事件の背景には必ず理由がある。
この「金塊の密輸」に関しても当然理由があるというわけだ。

金塊

この写真は別の事件に関する映像だが、1.3億円相当の金塊ってどの程度?といえば、この程度なのである。
関西空港署によると、7人のうち女5人が、重さ約1キロの金塊28個を手分けして下着の中に隠すなどし、韓国の仁川(インチョン)空港から関空に持ち込んだ。不審に思った関空の税関職員が発見。残る男2人が補助をしていたとみられる。
冒頭の事件でも約1kgの金塊28個と書かれていて、28kg相当の金塊を持ち込んだのだ、という話になっている。この程度であれば「バレない」ということなのだろう。

問題は「何故」という点だ。
「何故、韓国人が」と言うことと、「何故、日本に金塊を持ち込んだのか」と言うことが問題なのである。この理由が「消費税」の税法上の抜け穴があるという話に繋がってくる。



この事件の流れを解説したのが悪名高きクローズアップ現代である。
クロ現はろくでもないニュースを取り扱ったりもするが、分析力をしっかり発揮すれば、こうした事件の全容を分かり易く説明するという点で優秀だと思う。
NHKは、その実力を発揮する方向を間違っているな。

さておき、こちらを紹介しておきたい。

金塊 闇の“錬金術”~私たちの税金が奪われる~

いま、“金”を巡る不可解な事件が福岡で相次いでいる。先月20日、天神のど真ん中で、白昼、会社員が持ち歩いていた3億8千万円あまりが何者かに強奪された。その現金は、金塊を買いつけるための資金だった。去年7月には、転売目的で福岡に持ち込まれた160キロ、7.5億円相当もの金塊が博多駅前で盗まれた。さらに、空港や港では、近年、金塊の密輸の摘発が急増している。なぜ福岡で巨額の金塊取引が行われようとしていたのか?事件の多発は何を意味しているのか?国際的な金塊取り引きの謎や密輸ルートを徹底追跡!金塊を巡って何が起きているのか、実態に迫る。
これが去年の5月23日放送の内容なのだが、僕はこの情報をキャッチし損ねていたので、最近知った次第。
しかしまあ、対策がなされているという話は聞いていないので、国会は何をやっていたのか。あ、モリカケですか……orz。

この事件の構図は、こうだ。
金塊を日本に密輸 > 貴金属店で換金(消費税を上乗せした金額で買い取り) > 金塊を海外へ > 最初に戻る
密輸
錬金術
この構図のキモは、消費税の取り扱い方法にある。
日本の税法上、金品を売買すると、そこに消費税分が加算される仕組みになっている。
例えば、Aさんが貴金属店から100万円分の金塊を買う場合、買う際にAさんが消費税分として8万円を店側に支払う。
逆に、Aさんが貴金属店へ100万円分の金塊を売る場合、売る際にAさんは消費税分として8万円を店側から受け取るわけである。
なお、AさんがBさんへ金塊を売るようなケースでは、個人売買となって消費税は無関係になる。

消費税は国内の取引を前提としているため、Aさんは金塊を購入時には消費税を支払い、金塊を売却時には消費税上乗せ分で売却する。つまり、金塊の価値に変動が無ければ結果的に消費税分は相殺される形になる。
では、これが国外での取引ではどうなるか?というと、クロ現が指摘するように、関税でお金を支払う訳だ。
今回の事件のように、「密輸」すれば、関税をスルーして、つまり「消費税分」を支払わずして、日本国内に金塊が出現することになる。この金塊を売れば、「消費税分」の儲けになる訳だ。金塊を海外に持ち出し、再び日本に密輸すれば、繰り返し「消費税分」のお金を「差額」として手に入れる事ができる。
まさに、「錬金術」と呼べるだろう。



さて、こうした「密輸」はどのような人間によってやられるか?というと、殆どが暴力団の資金源という話になっているようで、密輸に関わる日本人の多くは暴力団関係者のようだ。
溝口さん:「半グレ集団」が中心だと思いますね。半グレ集団というのは、暴力団には籍は置いてない、しかし、一般人以上に違法なことに手を染めることをためらわない人たちとも言えるんじゃないでしょうかね。
しかし、こうした「密輸」に関わるのは日本人だけでは無い。

金密輸犯の国籍

これは逮捕された人間の構成比だと思われるので、実際の比率が反映されていない可能性はあるが、何れもが「日本に容易に入国できる人々」という点では共通している。

そして、構成比としては日本人の次に韓国人が多い。これは、観光客として日本に来た場合には、チェックを通過しやすい為である。

更に、罰則が軽微であるということも、この金塊密輸ビジネスに拍車をかけている。
日本の税制度を悪用した錬金術。
組織が日本を狙う理由は、もし摘発されたとしても比較的処罰が軽いからだという。
1億円の金塊の密輸が摘発された場合、韓国では金塊は必ず没収され、最大1億円の罰金が科されることもある。
一方、日本では金塊が没収されるとはかぎらず、罰金も最大で1,000万円にとどまる。
罰金が最大で1000万円であれば、1回の密輸で1億円であれば800万円の儲けとなるため、発覚するリスクと釣り合う可能性がでてくる訳だ。2回に1回見つかったとしても、元手となる金塊は没収されないため、取り返せるチャンスがあるというわけだ。



消費税増税の話が進む一方で、一方的に国民の税金がこうした違法取引によって流出してしまう現状を考えると、とても笑って見過ごせない。

消費税の場合は、「滞納」の問題もあるので、その辺りもモヤモヤする所だ。
租税の滞納の現状
3,100億円滞納、って、消費税を1%上げると2兆円の増収が見込めると言われているけれど、現実的には、実質的な値上げが生じる事での消費の低迷などが発生するために、もうちょっと低くなってしまうのだろう。ただ、こうして滞納されている現実を考えると、回収率(現在は91%程度なんだとか)を上げれば、増税幅が抑えられるんじゃ無いのかとか、そうも思ってしまうな。

と、話は逸れたが、金塊の話もやっぱり増税に絡んでモヤモヤする原因ではある。
もちろん、関税も手を拱いてばかりでは無いのだろう。

gold_02

こうした対策についても2017年11月には発表されてはいる。ただ、これが実効的に効くか、というとなかなか難しいだろう。やっぱり罰則の強化が必須である。
去年は4.5tの摘発があったというが、最近の相場だと1kgあたり500万円程度なので、2兆2500億円の取引が発生したということであり、この8%、つまり1,800億円程度が国税から盗み取られている計算になる(計算が間違っていたら申し訳無い)。

結構な額になるね。
金など貴金属の密輸が発覚した場合には、それを没収するというのが一番良い気がするのだが、なかなかそういうワケには行かないのだろうか?



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コメント

  1. 密輸犯以外にもボッシュートされると困る人達が居るからではないかと邪推。

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    1. なかなか掘り進めることは難しいのですけれど、この辺りのニュースを掘っていくと色々な事実が出てくると思います。
      闇は深いんでしょうね。

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  2. 幕末の海外への金流出を思い出しました(あれは違法ではありませんでしたが)
    いつの時代も悪知恵ばっかりまわる連中がいるんですね。

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    1. そんな話もありましたねぇ。
      法律がある以上は、その抜け穴を利用して悪さをする人も出てくる訳です。
      だからといって、法律を無くすわけには行かないんでしょうけれど。

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