イプシロン3号打ち上げ成功

良くやった。

イプシロン3号機 打ち上げ

1月18日 6時09分
人工衛星を低コストで打ち上げようと開発された日本の新しい小型ロケット、「イプシロン」の3号機が大手電機メーカーの衛星を載せ、18日午前6時すぎ、鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられました。打ち上げの成否は午前7時前に判明する見通しです。

3号機打ち上げ成功 小型観測衛星搭載

毎日新聞2018年1月18日 07時01分(最終更新 1月18日 12時15分)
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は18日午前6時6分、高性能小型観測衛星「ASNARO(アスナロ)2」を載せた固体燃料ロケット「イプシロン」3号機を内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県)から打ち上げた。52分後には衛星を予定の軌道に投入し、打ち上げは成功した。イプシロンの打ち上げは2016年末以来で、試験機も合わせると3回連続の成功となった。
日本が撃ち上げているロケットは「H2型ロケット」と「イプシロン」の2種類がある。なお、そこに「SS-520」も加わる予定ではあるが。

なお、H2型ロケットにはH-2AとH-2Bの2タイプあり、H-2Aは第1段にLE-7Aと呼ばれる液体燃料ロケットエンジンを、第2段にLE-5Bと呼ばれる液体燃料ロケットエンジン、そして、2本または4本の固体ロケットブースターを備えている。一方のH-2Bは、第1段に2基のLE-7Aを第2段にLE-5B-2を備え、4本の固体ロケットブースターも備えている。H-2Aの推力増強版がH-2Bといった位置づけである。厳密に言うとちょっと違うみたいだけど。
そして、H-2型ロケットは役目を終えて2020年にH3ロケットが打ち上げられる予定となっている。


で、メジャーな方のH2型と比べて、打ち上げ回数の少ないちょっとマイナーな方が、固体燃料ロケットであるイプシロンだ。
とはいえ、エンジン自体はH-2型に使われる固体ロケットブースター、SRB-A3を使っているので(最適化はされている)信頼と実績がある。

イプシロン3号

SS-520は、小型の固体燃料ロケットという位置づけなのだが……、まあ、アレだ。何というか、まんまミサイルだな。公式にはペイロード140kgの小型液体燃料ロケットということになっている。

イプシロンロケットの3号機は、高性能小型レーダ衛星「ASNARO-2」を搭載して打ち上げられ、この人工衛星の軌道投入に成功している。
日本の新しい小型ロケット「イプシロン」の3号機は、大手電機メーカーのNECが開発した地球観測衛星「ASNARO」の2号機を載せ、18日午前6時6分、鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられました。
この、ASNARO-2だが、NECによって開発された観測用の人工衛星である。

asnaro2_1

NECのサイトにはこの機能について色々と説明されている。

レーダー衛星を小型軽量に

可視光から赤外光で地表を観測する光学観測衛星は、太陽で照らされた地表を観測します。光源は太陽で、衛星自らがライトで地表を照らすわけではありません。対してレーダー衛星は、自ら電波を発射し、地表で反射して帰ってきた電波で画像を得ます。レーダー画像はアンテナが大きいほど高精細な画像が得られますが、アンテナが小さくても、受信データを地表のコンピュータで処理することで、仮想的に大きなアンテナで受信したのと同等の高精細画像を得ることができます。これは合成開口レーダーという技術の特徴の1つです。
レーダー衛星の最大の利点は、曇っていても夜間でも、地表を見ることができることです。欠点は、装備がかさばることです。電波を発射するには、発信器を搭載する必要があり、発信器を動かすための電力も必要です。また、衛星は電力を太陽電池から得るため、より大面積の太陽電池も必要となります。そのため、衛星が大がかりになるわけです。現在、世界各国が運用しているレーダー衛星は、1.2~2トンぐらいの質量です。
これに対してASNARO-2は、質量570kgと小型軽量です。それでいて、地表の1mの物体をも識別することが可能な、高精細画像を得ることができます。
簡単に言えば、レーダーを使った地上の監視のできる人工衛星で、凄く小型できたぜ!という話なんだね。
合成開口レーダー自体は、それ程目新しい技術でも無いのだけれど、今回、ASNARO-2が小型ができた背景には、広範囲での地表スキャンを捨てて、ピンポイントでの高精細画像取得に機能を絞った点にある。

目的を絞って衛星を小型化

ASNARO-2は高精細の画像を得ることに特化した設計をしています。「ここを観測する」と決めた場所に集中して高精細で観測することで、地表の1mの物体をも識別するという高精細画像を得るのです。ですから、ASNARO-2は、広範囲に画像を取得できる、大型衛星と組み合わせて使うと、その威力を発揮することができます。大型衛星が地表をスキャンし「ここを撮ろう」という見当をつけた場所を、細かく観測するのに向いているわけです。
それでもASNARO-2の観測能力は「狭い場所を細かく」というだけではありません。大型レーダー衛星のように地表の広い地域を観ることもできます。その場合は、画像の解像度を少々下げる代わりに、広範囲を帯状に観測します。
後は、NEXTARという動力系のユニットを作っておいて、色々転用出来るようにしたことで、短期間、低コストで開発することができるように狙って作られているところが新しいみたいだね。まあ、この手の共通化は短期間では意味はあるけれど、今後、メリットがあるかどうかはよく分からない。

さて、この様なちょっと実験的な要素も強いNECの小型衛星を打ち上げたわけだけれど、イプシロンは「実験的な要素」で行ける理由がこちら。
「イプシロン」は新興国などで需要が高まる小型の人工衛星を低コストで打ち上げられるようにしようとJAXA=宇宙航空研究開発機構などが開発した日本の新しい小型ロケットで打ち上げ費用がおよそ40億円と従来の小型ロケットの半分程度に抑えられています。
H-2Aあたりだと、100億円前後のコストがかかると言われているので、コストは半分以下ってことになる。

ロシアのロケットなど、H-2Aと比べて安くてより重い衛星を打ち上げる事ができるロケットが世界にはあるのだけれど、小型衛星をピンポイントで打ち上げるのであれば需要があるね、って考え方だね。
なお、SS-520は2~3億円程度になると言われているので、もっと安いね。打ち上げ可能な重量もショボいけれど。


ともあれ、こういう試みは継続してやって欲しいと思う。技術力はどんどん磨いていけば、色々な方向に発展させられるからね。



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コメント

  1. イプシロン打ち上げ成功は目出度いですね。
    ぜひこの調子で電柱ロケットも成功して欲しいです。
    さらに低予算で打ち上げられる電柱ロケットは欧州やインドを相手に受注競争を勝ち抜く切り札でふから!

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    1. 低予算化も打ち上げの安定性の向上も、是非とも推進してほしいものです。

      ただ、下でkujiraさんがコメントされているようなこともまた事実でして。

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  2.  宇宙開発に関しては、MRJ同様に、ほとんどの日本人が肯定的に捉えていますが、昨年1年でトップグループとの差が更に広がったというのが正直なところです。

    1、射場の老朽化
     1970年代に建てられた内之浦射場は、未だに当時の建物がほとんど。
    2、抗たん性(戦争、テロ等に対する強度)が乏しい。
     広く平坦な候補地がなく、狭小山岳という糸川博士の苦肉の策のまま、現在に至る。
    (バイコヌール:ギニア:ケネディ:種子島:内之浦=5000:900:567:9:0.7)、
    3、利便性の時代
     昨年の世界の商業打上げは、アリアンとスペースXの2社でほぼ独占。
     小型衛星市場も、両社の大型ロケットに複数相乗りし、コスト削減や利便性の向上(好きな時に好きなロケットを選んで載せられる)するのが常識になった感あり。

     特に昨年は、利便性の時代が来たんだなと実感させられました。
     毎月の打上げ予定に合わせ、客側が衛星を載せる便を選び、更にお友達と一緒ならもっと安くなり、打上げ2週間前くらいでも搭載可能で、逆に準備が間に合わなければ次の便でもいいですよとなれば、客が集中するのは当然です。
     アリアン5が、昨年大型衛星2機計10tのペイロードの打ち上げに成功したせいもあり、スペースXがファルコンヘビーを凄まじいスピードで準備してるのが、日々の報道からもひしひしと伝わってきます。
     既にロケットの単体の打上げ費用削減「だけ」の時代では、完全になくなっています。
     以前も書きましたが、日本はともかく射場の改善或いは移転を行うべきで、個人的には、大胆に
    ・赤道直下のパラオあたりに移転しない限り、ロケット開発自体が無駄
    なものに成りかねないと危惧しています。
     日本ではまず検討もしない海外移転案ですが、中国あたりは人工島を作ってでもやるかもしれません。

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    1. ご指摘のあたりは誠にその通りでして。
      コストが足りない事もあって、色々な面で老朽化が進んでいますよね。

      ただまあ、そのあたりの課題はJAXAも理解しているようで、低コスト化とピンポイントでの軌道投入、つまり、打ち上げ精度のあたりでなんとか対抗しようと躍起になっているようですね。

      人工衛星投入軌道としては赤道上が人気のようで、シェアを伸ばせないのはそのあたりにも理由はあるのでしょう。パラオあたりに射場を設けるという話は魅力的ではありますが……。
      或いは、ロケット打ち上げのためだけに船を作るなんて案もアリかもしれません。技術的にやれるかどうかと言うと、かなり難しいのでしょうけれど。

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    2. あるけむ(R.K.M)@fwbc1965_32018年1月19日 14:53

      ロケット射場として、船(というか浮体)を建造するアイディアは、フィクションでは登場します。
      一例として、先日なくなられた佐藤大輔氏の「遙かなる星」に登場する「JSP-03」(トラック諸島沖の浮体構造式人工島)を挙げておきます。

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    3. なるほど、浮体であればアリの様な気はします。
      実現可能性はどうか、という気もしますけど、船よりはマシかも??

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