改憲議論、9条2項維持する方向で

いやもう、削れよ、それ。

改憲、9条2項維持する案で検討 自民、条文案作り着手

2/8(木) 3:16配信
自民党憲法改正推進本部は7日、憲法9条改正に向けた条文案の作成作業に入った。党内では戦力の不保持と交戦権の否認をうたう9条2項を維持する案と削除する案が対立する。執行部は各議員に条文案を募るが、安倍晋三首相(党総裁)が提起した2項を残す案を軸に検討する方針だ。
何で、「憲法は神聖にして侵すべからず」になっているんだろうな。
自民党ですらこれだから困る。

知らない人はいないと思うが、しかし、条文レベルでしっかり知っている人がいるかというと、これ、曖昧なんじゃ無いだろうか。
「9条教」と呼ばれる人々の頭の中に、果たしてどの程度締着しているのかは、少し聞いてみたい気はする。

さておき、9条である。
(9条)
  1. 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
  2. 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
何故こんな文章構造になっているのかよく分からないが、こうなっているんだから仕方が無い。しかし、本来であれば、こんな意味不明な条文を崇め奉る必要は無いのである。

何処が問題なのか?
そもそも、日本国憲法からしてなかなか不思議な条文構成になっているので、困る。
参考までに、大日本帝国憲法を紹介しておく。
第18条 日本臣民タル要件ハ法律ノ定ムル所ニ依ル
第19条 日本臣民ハ法律命令ノ定ムル所ノ資格ニ応シ均ク文武官ニ任セラレ及其ノ他ノ公務ニ就クコトヲ得
第20条 日本臣民ハ法律ノ定ムル所ニ従ヒ兵役ノ義務ヲ有ス
第21条 日本臣民ハ法律ノ定ムル所ニ従ヒ納税ノ義務ヲ有ス
17条までは天皇について定めた条文なので、18条から4つ引用してみた。
ドイツのプロイセン憲法を参考にしたと言われているが、初代代内閣総理大臣となった伊藤博文や井上毅などが中心になって草案作りを行ったようだ。作業は1882年頃から始まり、1887年に憲法草案が作られ、1889年に発布されている。

で、比べるのが適当で無いと怒られる可能性もあるが、敢えて大日本帝国憲法を持ち出した理由は至極簡単で、比べられる憲法が他に無いからだ。外国の憲法を持ち出して比べるのは、憲法というものがその国の文化に根差して創案されることを考えると、適当では無いと、その様に考えたからだ。
まあ、ドイツの憲法辺りを持ってきても良いのだが……。
第1条 [人間の尊厳、基本権による国家権力の拘束]
(1) 人間の尊厳は不可侵である。これを尊重し、および保護することは、すべての国家権力の義務である。
(2) ドイツ国民は、それゆえに、侵すことのできない、かつ譲り渡すことのできない人権を、世界のあらゆる人間社会、平和および正義の基礎として認める。
(3) 以下の基本権は、直接に妥当する法として、立法、執行権および司法を拘束する。
日本語訳されたものを紹介しておく。
で、結局何が言いたいかというと、簡潔だということが言いたいのである。


例えば、日本国憲法第9条第1項は、以下のような条文であっても、問題は無いわけだ。
  1. 国は、他国の主権を侵害する戦争を放棄する。
何故、「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」などという意味不明な修飾子が、現在の憲法9条に付いているのかよく分からないのだが、いわゆる「芦田修正」を加えた芦田氏(当時、衆議院帝国憲法改正案委員小委員会の委員長であった)により挿入されたということらしい。憲法学者の中では、マッカーサーノートに記載された条文案を参考にしたという風に考えられている様だ。

だがそもそも、「武力の行使」「武力による威嚇」にどれ程の違いがあるというのか。解釈上は、「現実的な武力行使には至らないものの、武力を背景に自国の要求を容れなければ武力を行使するとの態度を示して相手国を強要すること」「武力による威嚇」と言われているが、そこまで含んでしまうとなると、武力を保持して外交を行えば、同様の結果に成りかねない。
武力の保持が外交の一形態になっている現状において、こんな足枷は不要だ。
その他、「国際紛争を解決する手段としては」とか「永久に」とか、いちいち解釈をつけないと理解ができない様な文言を挿入することは、本来、法律を作る上では禁じ手である。

であれば、解釈の余地のある文言を削ってしまうのが理想的なのでは無いか。

9条1項ですらこの状態なのだが、2項はもっと酷い。

まず、主語がよく分からない。一般的には、1項の「日本国民は」というところを受けていると思われるが、「国の交戦権は、これを認めない」って、日本国民が交戦権を認めないというのは、些か不自然である。
芦田修正の最大の論点である「前項の目的を達するため」は、「自衛権」を保持する為だと言われているが、これも解釈で対応する範疇をでない訳で。なお、この芦田修正の考えを日本政府は採用していないという。そうで無くとも自衛権は国固有の権利であるから、放棄していないと言うことらしい。
説明されなければ分からないと言うのは、大問題だな。
そして、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」というが、戦力というのがドコまでを言うのか、という点も問題視され、「自衛隊の存在」はまさにコレに引っかかるわけだ(日本政府は自衛隊はここに含まれない戦力という理解である)。

つまり、全体的に2項はおかしいので、削除するのが妥当だろう。
主権国家であれば、自衛権は当然に有しており、それは集団的自衛権までも含むというのが国際的に確認された話であり、国連憲章にもそう定められている。そうである以上は、それに異議が生じるような条文を憲法の中に残しておくべきでは無いのである。

じゃあ、どうすべきかと言えば、2項は以下のようにすれば良い。
  1. ただし、前項の規定は自衛権の発動を妨げない。
後は、自民党の憲法草案のように9条の2の規定を置くかどうかだが、おいた方が良いのだろうね。ただ、あの草案もだらだらと長いため、簡潔にするべきだろう。
(9条の2)
  1. 国は、内閣総理大臣を最高指揮官とする実力組織を保持する。
  2. 実力組織は、公共の秩序を維持し、国民の生命を守る為の活動を行う事ができる。
  3. 実力組織は、その組織、統制、及び機密に保持に関して、法律で定められる。
  4. 実力組織に属する構成員その他の公務員が、その職務の実施に伴う罪を犯した場合、又は組織の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより特別裁判所を置く。
(9条の3
  1. 国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海、及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない。
9条の3は自民党案そのままだ。

なお、9条の2第4項は憲法76条の規定に抵触するので、これをやるならば同時に76条改正をするか、あるいは知財高裁のような位置づけの構成にするか、ちょっと工夫が必要ではあるが。

とまあ、拙い自説を展開したが、しかし、自民党は色々としがらみの中で憲法改正を果たさねばならず、四苦八苦しているようだ。
 昨年末に推進本部がまとめた論点整理でも、2項維持と削除が両論併記された。細田博之本部長は7日の推進本部全体会合で「国民に理解を得て、幅広く支持されて是認されることが最も重要」と強調。現実路線を強調する安倍首相の論理に沿った取りまとめを目指す方向性を示した。
 この場で示された資料では、2項維持案によって「自衛隊違憲論は早期に解消を図るべきではないか」とする一方で、削除案は「フルスペック(制約のない形で)の集団的自衛権行使が可能となる」と指摘。野党や世論の反発を招きかねないことをにじませた。
特に心を砕いているのが、2項の維持と、「フルスペックの自衛権」の不保持である。
これに関しては、自民党の青山氏も「米国に戦争に連れて行かれることになる」といって反対している他、日本維新の会も別のアプローチではあるが、フルスペックの自衛権に反対している。

だけど、これはおかしい。
他の法律でフルスペックの自衛権を縛るのならばともかく、改正へのハードルが極めて高い憲法で、自衛権を縛ってどうするのかと。
 出席議員の議論では「まずは一歩目として、2項を残して自衛隊明記を」などの意見が出され、岡田直樹・推進本部事務局長によると、2項維持案支持が多数を占めたという。ただ、2項と自衛隊明記との整合性を疑問視する2項削除論もなお残る。さらに2項を維持したうえで、「自衛権」を明記する案を支持する意見も出た。
ある意味では、青山氏の主張したと言われる2項を削らず、3項に「前2項の規定は自衛権の行使を妨げない」とするのが妥当のようにも感じるが、しかし、そもそも色々解釈しないとよく分からないような条文をいつまでも残しておくべきでは無いのである。

皆さんも、一度真剣に考えてみてはいかがだろうか。
僕の披露した拙い条文はさておき、国民の中で議論が深まることこそが、憲法改正への道標となるハズなのだから。



ランキングへの応援クリックよろしく!
にほんブログ村 ニュースブログ ニュース批評へ

コメント

  1. 安倍総理が出した加憲案は確実に公明党を意識したものでしょうね。
    だからと言って公明党が自衛隊という文字を憲法に加える事に賛成するかは分かりませんが。
    オイラが思うに、公明党が安倍案に賛成したら党、というか創価学会と公明党との共同体制が崩壊するような気がしますけどね。

    公明党と連立を組んでいる以上自民党は公明党を外して改憲を語れない。
    自民党は今や公明党抜きに選挙を勝ち抜く気力は無い。
    (力が無いとは言いません。気力の問題だと思います。)
    だから加憲と言ってなんとか公明党を納得させて改憲へ持って行こうという考えでしょうね。
    お題目ではなく、現実的にまず改憲する。そこの重要性はオイラもわかります。

    実際問題安倍政権を逃したら次いつ改憲出来るかわかりませんし、公明党抜きで改憲できる勢力は今の国会に無いですからねぇ。

    本心ではキチンと二項そのものを改正するべきだとオイラも思いますが、現実問題として困難ならある程度妥協してでもまず一度改正するべきだと思います。

    返信削除
    返信
    1. 色々な事が言われますが、安倍氏の案や石破氏の発言、或いは青山氏案と言われる条文の何れもがそれなりの理由があってそういう形になっているのだという点は理解できる気もします。

      自民党は公明党に譲歩しなければ、今回の改憲を乗り切れないという風に理解している点も、多分正しい分析かと思います。
      ただ、公明党としてはこれ、2項死文化は致命的でしょうねぇ。それを考えると、今回の話も無理筋のように思えるので、国民的な議論をした上で、改憲の意義を理解して行くべきなのかと、その様に考えています。

      削除
    2. 悩ましいですね。
      やっぱり公明党は乗らないですかね?
      個人的にはこの政権で改憲出来ないとあと10年位そのままとなる気がします。
      大事な事だし腰を据えて議論していきたいですね。

      削除
    3. 公明党の支持母体の女性部の意見はモロ九条教寄りなので、難しいでしょうね。
      そもそも「対話で世界平和」をと公言して憚らない教祖の生死が分からない状況では、その思想に反する憲法改正への賛成には乗ってこないでしょう。
      ここのところ、「実質的に今までと何ら変わらない」といった主張をする勢力が自民党内にも多いようですし、安倍氏もそのような発言をしているわけですが、まさにそこに配慮した形なのだと思います。

      しかし、公明との支持母体はもはや崩壊寸前で、後継者指名を明確にしなかった状況での、生死不明状態への突入は致命的とも言えるでしょう。

      自民党は、ダメージコントロールのためにも公明党と手を切るべきだと思いますけど、これまたタイミングは難しいのでしょうね。
      憲法議論を深めて9条2項を削除する方向での選択をしたうえで、袂を分かつというのが理想的なところですが、反日勢力が護憲キャンペーンをはって国民投票で失敗すると、ご指摘の様に今後の憲法改正は絶望的です。
      安倍氏は、再び大きな賭に出ざるを得ないのでしょう。そして、その賭に勝って貰わないことには、日本国民は先に進めないという状況になっている気がしますよ。

      削除

コメントを投稿

お気軽にコメントを!ハンドルネームは面倒でもお願いします。