トルコとシリアの間の緊張が高まる

特亜の「やるやる詐欺」と違って、こっちは実力行使で分からせるタイプの国なので、緊張の度合いはかなり高いだろう。

シリアとトルコ間で軍事衝突の恐れ-アサド政権部隊がアフリン入り

2018年2月21日 9:49 JST
シリア北西部アフリンを支配するクルド人勢力に越境攻撃を続けるトルコ軍に対抗するため、アサド政権側の部隊がアフリンに入った。シリア国営メディアが報じたもので、シリア、トルコ両国間で直接的な衝突が生じる恐れが高まっている。
トルコとシリアとの間の関係が悪化している話は、このブログでも何度か触れた。
ロシアとシリアは盟友関係にあるが、トルコとロシアも非常に関係が悪い。
何故、トルコとシリアの話をするのにロシアが出てくるのか?という話なのだが、これが又ややこしい。ザックリ言うとトルコの民族構成や宗教問題ともかなり根深く繋がっている。
そして、トルコの国内情勢と共に、シリアとかロシアが絡んでくるんだよね。

国境

これらの地域でいつ戦争が起きてもおかしくは無いのである。

トルコ共和国の人口は7500万人程度で、うち1900万人程度がクルド人で構成されていると言われている。つまり、2割以上がクルド人なのだ。ところが、このクルド人は中東の各地に住んでいて、独自の国家が欲しいと願っている。そして、オスマン帝国の正式な末裔であると自認しているトルコ人と、オスマン帝国の一翼を担っていたクルド人とは、オスマン帝国滅亡後、度々衝突するような状態になる。
トルコ人とクルド人の間では長い間紛争が続けられてきたのである。

そして現在、トルコ国内にはクルディスタン労働者党(PKK)という組織がある。このPKKは、クルド人中心に構成されて、マルクス・レーニン主義国家の樹立を目指していた。「労働者党」などという名前ではあるが、立派な武装組織で、度々トルコ政府との武力衝突を起こしてきた。
しかし、流石に共産主義の衰退の様子を見てこの方針を続けられなくなり、1999年以降は完全独立国家樹立の野望は取り下げられている。

日本でいえば、日本共産党が私設の軍隊を持って、テロ活動に興じているようなものである。まあ、日本共産党は実際に武力闘争をしていた時期があったので、例えとして不適切でもあるまい。

さておき、そんなPKKとトルコ政府とは度々衝突していたのだが、2013年にはトルコ政府とPKKの間で休戦合意が結ばれる。
ところが、2014年、PKKの関与があるといわれるクルド勢力(クルド勢力の内情は、北シリアで勢力を拡大した民主統一党(PYD)、およびその軍事部門である人民防衛隊(YPG)、そしてYPGと連携する民兵集団、シリア民主部隊(SDF)であるが、トルコ政府はここにPKKが荷担していると考えている)はシリアとイラクのクルド人居住地域におけるテロ組織ISとの戦闘に参加し、コパにをめぐるテロ組織ISとの戦いに勝利する。この背景に、欧米諸国からのあからさまな武力供与があった。

トルコ政府としては、このような欧米の武器供与や、PKKの暗躍によって国内のクルド人勢力が勢いを増し、国内情勢が悪化することを懸念した。
実際に、クーデター未遂事件が発生するなど、トルコの国内情勢は不安定なんだよね。エルドアン政権が独裁色を強めて強権を振るっているという事も一因とは言われているのだけれど、PKKにしても穏健派とはほど遠い。そしてクルド勢力との連携で国内情勢を立て直そうとしているのがシリア。


さて、トルコとシリアの位置関係をこちらの地図で。トルコとシリアは隣国同士で、シリア国内にもクルド人は多数在住している。人口のうち8%がクルド人だと言われるが、クルド人勢力がテロ組織ISやアルカイーダとの敵対関係にあって、戦闘状況にあるため、割と重宝されているのだとか。
で、もう一つ関係ある国がイラク。イラクの人口の16%がクルド人。イラクでも長らくクルド人達が迫害されてきた。故に、独立の話は度々できているようである。
この記事の後半で紹介しているのだが、クルディスタン地域において独立の賛否を問う住民投票が行われている。
そして、このイラク国内のクルディスタン地域にはPKKの戦闘部隊の訓練設備があるという話があって……。

PKK declares Turkey truce dead after airstrikes

Jul. 25, 2015 | 11:46 AM (Last Updated: July 25, 2015 | 04:08 PM)
ANKARA: The militant Kurdistan Workers Party (PKK) said on Saturday its truce with Ankara had lost all meaning after an overnight attack by Turkish warplanes on its camps in northern Iraq.
トルコ軍機がここを空爆しちゃうんだよね。



え?関係無いんじゃ?と思うよね。

アメリカがトルコのクルド人空爆を容認

2015年7月29日(水)19時00分
 トルコがついに国境を越えてISIS(自称イスラム国、別名ISIL)との戦いに加わった。これまでISISの掃討に手を焼いてきたアメリカなどの有志連合は参戦を歓迎したが、事態はそう単純ではない。ISISが一部地域を支配するシリアとイラクには、最前線でISISと戦うクルド人がいるが、そのクルド人はトルコの敵。つまりこの場合、敵の敵も敵なのだ。
 有志連合にはなかなか参加しなかったトルコ政府だが、空爆の対象をISISからクルド労働者党(PKK)に拡大するのには1日しかかからなかった。PKKは、長年自治権獲得を目指してトルコ政府と戦ってきたトルコ国内の組織だが、シリアとイラクのクルド人と連携してISISとも戦っている。
 トルコ空軍のF16戦闘機は先週末、初めてシリアのISIS拠点に対する空爆を実施。その翌日、今度はイラク北部にあるPKKの兵站基地を爆撃した。PKKが対ISIS攻撃の拠点としていた場所だ。


実は、アメリカはトルコにテロ組織ISとの戦いに参加して欲しかった。アメリカとトルコは同盟国だし、既に戦闘に参加しているPKKは国家では無いので、直接連携するのは躊躇われる。そして、アメリカが戦闘行為を行う為には地上の基地が必要であり、地理的には同盟国のトルコが手を貸してくれるという構図は理に叶っているのである。

そのトルコは「テロとの戦い」を口にした上でPKKへの攻撃を行う訳だ。当然、テロとの戦いを口に出されればアメリカは「ダメ」とは言えないのである。トルコ国内の情勢を不安定にさせる要因がPKKであることを考えれば、矛盾ががないからだ。

そんなわけで、トルコは今度はシリアにも矛先を向けているのが、冒頭に紹介した話である。

トルコはなぜシリアに越境攻撃したのか

2016年9月26日(月)17時00分
 2016年8月24日にトルコがシリア領内での軍事活動を開始してから早一月となる。トルコ軍はシリアの反体制派と共にシリア北部のジャラーブルスおよびマンビジュで「イスラーム国」(IS)とクルド勢力に対する攻撃を展開している。クルド勢力とは、北シリアで勢力を拡大した民主統一党(PYD)、およびその軍事部門である人民防衛隊(YPG)、そしてYPGと連携する民兵集団、シリア民主部隊(SDF)を指す。
実は2016年にもトルコ軍によるシリアへの侵入が行われ、越境攻撃も行われてた。
 越境攻撃におけるトルコ軍の目的は、ISの壊滅およびクルド勢力をユーフラテス川西岸から撤退させる、という2点であった。もちろん、ロシアとの関係改善以外に、トルコがISとクルド勢力に攻勢を強める理由はあった。8月21日にはトルコのガズィアンテプでISによると思われる自爆テロが発生し、54名が死亡した。一方、クルド勢力もシリアで攻勢を強め、8月13日にマンビジュをISから奪還していた。しかし、ISのトルコ国内でのテロとクルド勢力の伸張は今に始まった話ではない。そのように考えると、やはりロシアとの関係改善がトルコの越境攻撃の決定を後押ししたと言えるだろう。
この時のトルコの言い分はテロ組織IS掃討というものだった。そして、そこにはロシアとの関係が。
ロシアとシリアは盟友関係にあるが、シリアもテロ組織ISには手を焼いている。よって、2016年の段階ではシリアもトルコの攻撃にはある程度目を瞑る、という感じだったと予想されるわけだが、越境攻撃そのものをシリアが面白いと思ってはいないだろう。
が、今回もソレが行われたと。

シリア政権側部隊、クルド地域に進軍 トルコ軍の砲撃受ける

2/21(水) 4:37配信

【AFP=時事】シリア政府側の部隊は20日、クルド人勢力が掌握している同国北西部アフリン(Afrin)地域に進軍し、トルコ軍の砲撃を受けた。国営シリア・アラブ通信(SANA)が報じた。

しかし今回は、シリア側も対抗措置を講じたと言う事になる。「好きにはさせん」という事のようである。
 シリア国営テレビによると、「トルコ側の侵攻に対しシリア国民を守る」ことを目的にアサド政権側の民兵組織がアフリンに向け出発した。トルコ軍は国内で分離独立を求めるクルド労働者党(PKK)と連携しているとして、先月20日に国境沿いのアフリンからクルド人民兵組織「人民防衛部隊」(YPG)を掃討するため、シリアに入っていた。
  トルコのエルドアン大統領は、アサド政権を支持しているロシアのプーチン大統領と19日遅くに電話協議したことで、アサド政権側部隊のアフリン入りを阻止していると言明していた。トルコ国営アナトリア通信はシリア政権部隊のアフリン入りを否定している。
このトルコとシリアとの関係を拗らせているのは、シリア国内でテロ組織ISと直接的に対立関係にあるクルド人民防衛部隊(YPG)がPKK派生の武装組織であるからで、この結果、トルコ軍とシリア軍は対立関係になっちゃうのだ。



で、ここでは紹介しなかったがここにイスラム教という世界最大派閥の宗教が絡んでいるからもうワケが分からない。
ワケが分からないので解説も出来ないのだが、イスラム教の影響、宗教的な影響というのも、トルコとシリアの争いの間には横たわっているわけで、民族主義と宗教問題が絡み合っていて、外から口を出すのが難しい状況になっている。いや、むしろ、外からくちばしを突っ込んだからこそ、中東戦争が勃発したという意見も根強くあるので、安易に口を出せない状況になっていると言うべきかも知れない。

戦争大好き国家のアメリカは、ぬけぬけと首を突っ込んでいるんだけどね。

そんなわけで、「中東、ヤバイ」というのが、本日のお題である。


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コメント

  1. イスラム教の宗派は30以上あるうえに、
    宗教(イスラム教以外を含む)x宗派x民族(アラブ・ペルシャ・クルド以外を含む)x部族(大部族だと部族内対立も有)x政治思想(ロシアに協力的なクルド人勢力さえある)=いっぱい過ぎてワケ分からん。

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    1. 実は、記事を書くにあたって、いまいちどイスラム教の事を整理しようと思ったのですが、僕程度の能力ではとてもとても整理できませんでした。

      影響がある事は間違い無いんですけど、シーア派とスンニ派の中でも色々な主義主張があるらしく、さらに民族で同士で争うなど、さっぱり訳が分からない状況なんですよね。イスラム原理主義とレッテルが貼られた団体も様々ですし、ね。

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