アメリカと世界との貿易戦争?

オオゴトになってきたね。

EU、米にWTO提訴警告=オレンジジュースも報復候補―輸入制限で

3/7(水) 22:16配信
 【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)のマルムストローム欧州委員(通商担当)は7日の記者会見で、トランプ米大統領が鉄鋼とアルミニウムに輸入制限措置を発動する方針を示したことに対抗し、「準備が整い次第、世界貿易機関(WTO)に提訴できる」と警告した。
紹介するニュースは、ヨーロッパがアメリカに喧嘩を売っているという話なのだが、この話の発端は、トランプ氏が声高に主張する、いわゆる「アメリカン・ファースト」のスタイルそのものである。

これまで世界で推し進められてきた関税障壁の撤廃、貿易の自由化の方向性とは異なり、ナショナリズム的な発想に立ち返っていると、そう指摘されている。
しかし、TPPにしろFTAにしろ、貿易自由化に関して、何でもかんでも関税を下げると言うことには疑問視され、欧州であっても同じような事をしているのだから、その事だけでアメリカを攻撃するのは違和感がある。

そして、最近のニュースがこちら。

米、一部の国除外も=安保理由に鉄鋼輸入制限-トランプ氏、9日署名

2018/03/08-11:32
 【ワシントン時事】サンダース米大統領報道官は7日の記者会見で、トランプ大統領が表明した鉄鋼とアルミニウムの輸入制限について「安全保障上の観点から、カナダ、メキシコやその他の国を除外することがあり得る」と語った。同盟国の日本なども例外扱いになる可能性が出てきた。米政権はこれまで、全ての国・地域を対象にすると主張していた。
アメリカが鉄鋼とアルミニウムの輸入制限をすると発表し、各国がこれに反発したので、「一部地域は免除するかも-」と言い出した話である。
冒頭のニュースにもこの事が示唆されているが、だけど、本来、鉄鋼もアルミニウムも欧州にとってはどうでも良いことのハズなのだ。
何故か?

こちらのグラフを見て頂きたい。

粗徹生産量アルミニウム生産量

アメリカが鉄鋼とアルミニウムの輸入量を規制、或いは多額の関税をかける結果、一番何処が困るのか?一目瞭然である。
ああ、アルミニウムに関してはデータが全て示されていないので、こちらもあわせて紹介しておきたい。

2016年アルミニウム生産量

説明するまでも無いだろう。

実のところ、アメリカは対支那での政策をやりたかったのだが、流石に特定の国を標的にすると、それこそWTOにやられてしまうので、全部を対象にした、それだけの話なのである。
 トランプ大統領は1日、鉄鋼やアルミの輸入製品が米国の安全保障上の脅威になっていると判断。それぞれに25%、10%の関税を課す方針を表明した。日本や欧州連合(EU)、カナダは、対米輸出が安全保障に影響していないと主張し、例外扱いを求めていた。米政権内でも国防総省などが同盟国との関係悪化を懸念。与党共和党執行部は対象を絞るよう要請していた。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018030800069&g=use
で、これで何故、欧州が?という話なのだが、それを説明する前にこちらの記事を紹介しておこう。

米、鉄鋼25%、アルミ10%関税 トランプ大統領方針 中国の安価な製品流入「安全保障上の脅威」

2018.3.2 06:22
【ワシントン=塩原永久】トランプ米大統領は1日、米国に輸出される鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の関税を課す方針を表明した。トランプ氏は来週、正式決定して発表する意向だ。鉄鋼の過剰な供給を続ける中国を主な対象とした措置だが、米政権は安価な製品の流入が「国家安全保障上の脅威」になっていると判断しており、日本を含む広範な国々に措置の影響が及ぶ可能性がある。
これは産経新聞の記事だが、ここでは支那がアメリカに名指しされている様子が紹介されている。
 トランプ氏は鉄鋼産業の復興を重視し、昨年春、商務省に実態調査を指示。同省は今月16日、中国を中心とした安価な製品の流入が米企業の弱体化を招き、軍艦や軍用機向けの鉄鋼の供給に悪影響が出る恐れがあると認定し、通商拡大法232条に基づく対抗策を大統領に勧告した。
アメリカの産業には、寧ろ、安価な鉄鋼やアルミニウムの輸入は喜ばしい事なのだと思う。
上のグラフを見て頂くと分かるが、アメリカは鉄鋼の製造では世界4位、アルミニウムは世界7位である。アメリカの鉄鋼業界が疲弊してしまうと、特殊な鉄鋼やアルミニウム合金など高品位の製品の生産に支障が出てしまう。

推移

少し見にくいが、支那の鉄鋼生産量が非常に多くなっているのに対して、アメリカの鉄鋼生産量は年々少なくなってきている。
一方の支那だけ対数グラフ的になっているのが、何とも皮肉である。

米の鉄鋼輸入制限は百害あって一利なし

2018/2/20付
米商務省は鉄鋼とアルミニウムの輸入増加が安全保障上の脅威になっているとし、それに対処するための具体的な輸入制限案をトランプ大統領に提案した。
 大統領が輸入制限措置の発動を決めれば、ルールに基づく世界の貿易秩序に重大な悪影響をもたらしかねない。米国がこうした措置を取らないよう、日本や欧州は働きかけを強めるべきだ。
既に、支那の広報機関に成り下がっている日経新聞が、苦笑を禁じ得ない社説を書いているが、支那にとっては、アメリカのこの方針は非常に大きな問題になるのである。そこで、なりふり構わず、あっちこっちに手を回してアメリカを批判するような動きを見せている。

中国粗鋼生産1~6月最高 鉄連会長「中国経済やや過熱」

2017/7/24 19:51
世界鉄鋼協会は今年1~6月の世界粗鋼生産が過去最高を更新したと発表した。けん引したのは世界の粗鋼生産の半分を占める中国で、同国も過去最高となった。公共投資などが堅調なためだが、同国の景気減速や米国の輸入制限が現実になれば、行き場を失った中国製の鉄鋼製品が市況を混乱させかねない。輸出に頼る新日鉄住金など日本勢は中国の動向に神経をとがらせている。
支那の鉄鋼生産量は、去年の末にやや減ったようだが、毎年着実に増えている。そして、支那国内に多数ある鉄鋼メーカーは生産過剰に対して特に手を打つ積もりは無いようだ。支那国内での鉄の消費量が減っているのに、鉄鋼の生産量は増えているのである。

で、それがどういう結果をもたらすか?というと……。

中国の「ゾンビ企業」が日本の「鉄冷え」の要因 鉄が白菜より安い?

解消には10年かかる

2016/06/09
中国の2015年の粗鋼生産量は約8億トン、鋼材輸出は前年比2割増で1億1240万トン。1億トン超えは初めてのことで、世界2位の日本の粗鋼生産量を上回ったことになる。
日本の15年度の国内粗鋼生産量は前年度より4%ほど少ない1億500万トン程度にとどまる見通しだ。原因は輸出環境の悪化によるものだが、中国による大量輸出はアジア全体の鋼材価格を下げているのだ。
~~略~~
過剰生産を続ける安価な鋼材は、国際的な紛争に発展しかねない状況だ。材料価格は5年間で半値以下となり、鉄鋼メーカーが多く集まる河北省では、「今や鉄は白菜より安い」と、よく耳にする言葉となっているという。
「つくればつくるほど赤字が膨らむ」と嘆きながらも過剰生産を招いた原因を振り返ると、2008年のリーマン・ショックを受けたことにより、政府による大規模な景気対策に行き着く。
作るだけ作って海外で安値で投げ売りをする状況である。
そして、その傾向は当面解消することは無い。

アルミニウムに関しては、情報は少ないが状況は似たようなものであろう。

そんなわけで、アメリカがこれに「対策する」というのは言ってみれば当然の話なのである。
では、何故、欧州がここに噛みついてきたのか?といえば、だぶついた支那製の鉄鋼やアルミニウムが欧州市場を更に荒らす結果に繋がりかねないからだ。もちろん、支那との関係もあって文句を言っていることは間違い無いのだろうが、それにしたってヒドイ話である。

欧州は何が何でも、今回のアメリカの措置に反対する姿勢を見せているが、じゃあ、自分のところも関税を上げれば良いじゃ無い、と思うよね?ところが、これ、そう簡単な話でも無い。EUという組織の体になってから、小回りが効かない状況が続いているのだ。

この貿易戦争は、色々な面に波及しそうな勢いだが、アメリカはそう簡単には折れないだろうねぇ。



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