アメリカはシリアで再び戦端を開くか?

オバマ氏の置き土産と言ってもそれ程間違いでは無いだろう、このシリア問題は。
内戦でドンパチやっているシリアだが、どうやらアメリカが再び戦端を開く模様。

米大統領、シリア問題「48時間以内に大きな決断」

2018/4/10 2:03
9日、閣議で発言するトランプ米大統領(ワシントン)=AP
 【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領は9日の閣議で、シリアのアサド政権による化学兵器の使用疑惑を受けて「24時間から48時間以内に大きな決断をする」と述べた。「すべて(の選択肢)がテーブルの上にある」と述べ、アサド政権への軍事行動も辞さない構えを見せた。
アメリカがシリアの内戦に関与するなんて話は、今に始まったことでは無いのだが、衝撃的だったのは2017年4月の米支首脳会談の際の話だ。

米中首脳会談

トランプ政権が発足してから、初めての支那の訪米であった。

米中首脳会談の結果を、中国はどう受け止めたか?

2017年4月10日(月)06時00分
中国は米中首脳会談の成果を大きく強調したが、共同記者会見もないという異常事態。会談直前の北朝鮮のミサイル発射と会談中の米国によるシリア攻撃により顔に泥を塗られながら、習近平が笑顔を保った訳とは?
~~略~~
それだけでも十分な痛手を負っているのに、今度はアメリカ時間の6日夕方、習近平国家主席夫妻がトランプ大統領夫妻の招きを受けて華麗なる晩餐会をフロリダの高級別荘で披露しているというのに、そのさなかにアメリカがシリアに向けてミサイルを59発も発射していたのだから、習近平国家主席の驚きは尋常ではなかったにちがいない。夕食後にシリア攻撃情報を知った習近平一行は、そそくさと宿泊先に引き上げたと言われている。
アメリカの電撃的なシリア攻撃は、トランプ大統領の「何なら北朝鮮に対してアメリカ単独で行動してもいいんだよ」という言葉が、脅しではなく「本当に実行されるかもしれない」という現実味を帯び、習近平国家主席には相当のプレッシャーになったにちがいない。
ハッキリ言って、この時のことだけは習近平氏に同情したい。和やかな雰囲気で晩餐会が執り行われていたであろう時間に、「HAHAHA、シリアにミサイルをぶち込んだよ」と言われて、支那のトップに君臨する人物であるとはいえ、冷静でいられるだろうか?



アメリカ軍は、50発の巡航ミサイルをシリア・アサド政権の空軍基地にぶち込んだ。シリアにとってはいい迷惑である。

米軍がシリアにミサイル攻撃、化学兵器「使用」への対抗措置

2017年4月7日(金)14時10分
米軍は6日夜、シリア・アサド政権の空軍基地を、約50発の巡航ミサイルで攻撃した。6年前にシリア内戦が始まって以来、米軍が直接アサド政権の軍事施設を攻撃するのはこれが初めて。
米軍当局者の話として、ワシントン・ポストなどアメリカの複数の報道機関が現地時間6日夜に一斉に報じた。
当時も、今もだが、支那はシリア情勢に無関係というわけでは無い。

実は、シリアのスポンサーとして暗躍しているのが支那なのである。ロシアも陰に日向に支援はしているが、実弾を供給するのは支那の役目なのだ。

中国の中東政策のすごさ シリアにまで伸びる一帯一路

Feb 01, 2018
昨日ロシアのタス通信が、「中国はシリアの戦後復興事業に参加する用意がある」という中国の対シリア特別使節のコメントを伝えました。
同使節は、シリアではイスラム国の大半は滅ぼされたというもののまだ残党がおり、ヌスラや東トルキスタン独立運動といった別のテロ組織も残存しているため、テロとの戦いの終焉までにはまだ時間がかかるとしつつも、戦後復興のための支援を継続していく、と述べています。
シリアは支那にとっての中東での足がかりになるという立ち位置なのだろう。一帯一路構想の通り道としても重要な拠点になることは、説明するまでも無い。

一帯一路構想

もちろん、アメリカが支那に対して釘を刺したのは、安易にシリアに手を伸ばすなという意味も含まれていたと思われる。テロ組織ISに武器を横流ししていたのも、支那なのだから。……まあ、シリア情勢の混乱の背景には、アメリカの武器輸出なども影響しているので、その辺りは同じ穴の狢なのかも知れない。



さて、現状で、アメリカはどこと戦争をしようとしているかというと、北朝鮮である。いや「戦争」という言葉は適当で無い気がする。この場合は戦力を伴わない戦争と言うべきかも知れない。北朝鮮に武力行使をするとしたら、金正恩氏の速やかな排除だろう。

それを警戒して北朝鮮は、「会談してくれ!」と色々動いているようだが、実のところアメリカにとっては北朝鮮と取引するメリットは薄い。
しかし、北朝鮮としては「体制保証」を要求し、「朝鮮半島の非核化」を口にしている。
北朝鮮が核兵器を放棄するという話では無く、「朝鮮半島の非核化」を望むというのはなかなか興味深い話。北朝鮮の「確実な体制保証」というのはなかなか憤飯ものの話だという指摘はしたが、アメリカに対して「朝鮮半島の非核化」という話をしたというのは、本当に実現できるのか?という気もする。

一般的に、「非核化」というと、核兵器の開発・保有・実験・使用などを止めることを指すわけだが、「朝鮮半島の」と注文を付けている。つまり、在韓米軍に対しても核兵器は撤去しろということを言っているのだ。なかなかアメリカを舐めた話ではある。

北朝鮮の非核化、米は「リビア方式」視野

2018/4/9 21:41
【ワシントン=永沢毅、ソウル=恩地洋介】トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長による初の首脳会談で、北朝鮮側が非核化を話し合う意向を伝達したことが分かった。協議への前向きな姿勢と見る向きもあるが、焦点となる非核化の手法では米国は圧力でリビアに核放棄を決断させた成功例を念頭に置く。北朝鮮は「段階的な非核化」を主張し、米朝間の隔たりは依然大きい。
当然ながら、アメリカはそれに対して首を縦には振らないだろう。

巷では、長距離ロケット開発を止めるなら、非核化を求めないというような交渉もありうるという話も出ている。確か、青山氏もそうした立場であったと思う。確かにアメリカにとっての脅威で無くなれば、当面は放置でも良いという判断はありだろう。
だが、北朝鮮問題はそんな小手先の話では解決し得ないのは、これまでの経験上明らかだ。ソレでアメリカは幾度となく失敗してきたのだ。
改めて同じ失敗を望むとはとても思えないのだ。

その上で、「在韓米軍撤退」まで飲むか?というのは、なかなか考えにくい話である。もちろん、トランプ氏は在韓米軍撤退は望むところだと考えている節があるので、非核化と引き替えであれば、アメリカとしてはWin-Winであるという風に考える可能性はある。
だが、その場合、一番のとばっちりを食らうのは日本だ。韓国に負担させている米軍の機能まで日本が背負え、という話になりかねない。「早期の損切り」である。ビジネスマンのトランプ氏なら、やりかねない。

しかし、在韓米軍撤退によって、韓国がレッドチームに完全に飲み込まれた場合には、アメリカの軍事技術は、韓国を経由して支那に渡る公算が高い。アメリカがその決断をするくらいならば、韓国と共に北朝鮮をすり潰すくらいのことをやりたいのではないか?
在韓米軍撤退の条件は、米韓同盟の堅持であり、文在寅氏が大統領である限り、ソレは非常に困難だと予想される。南北併合を韓国主導で行われるという話ならば、或いは在韓米軍撤退はあるのかもしれないが……。

とまあ、そんな面倒な北朝鮮問題を抱えた上で、シリアの方で拳を振り上げた理由は、シリアの方が遙かに北欧の理解が得やすいからに他ならない。

シリア情勢 なぜいま一気に緊迫?

4月10日 14時02分シリア内戦
「軍事的に多くの選択肢がある」
「まもなく決断する」
トランプ大統領がシリアへの軍事攻撃を示唆しました。ずっと混迷が続いているシリア情勢ですが、なぜここに来て一気に緊迫しているのでしょうか。
実のところ、シリア情勢は「一気に緊縛」してなどいない。

空爆、140人死亡 救急隊員証言、化学兵器か 東グータ

毎日新聞2018年4月10日 東京朝刊
シリアの首都ダマスカス近郊の反体制派支配地域・東グータ地区で7日、化学兵器を使用したとみられる空爆があり、在英民間組織・シリア人権観測所によると、少なくとも子供を含む21人が呼吸困難の症状で死亡した。民間ボランティア組織・シリア民間防衛隊「ホワイトヘルメッツ」は、塩素ガス弾が使われ、40人以上が窒息死したと主張。数百人が治療を受けているとみられ、犠牲者はさらに増える恐れがある。
~~略~~
トランプ米大統領は9日午前、ホワイトハウスで開いた閣議の冒頭、シリアでの化学兵器使用を「残忍で凶悪」と改めて非難し、「今後24~48時間以内」に重大な決断をするとの考えを示した。前日の8日にはアサド政権が「大きな代償を払うことになる」とツイッターで警告しており、昨年4月に続く軍事行動に踏み切る可能性もある。9日には超タカ派で新任のボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)統括の下、国家安全保障会議の幹部会議が開催される見通しだ。
シリアでは化学兵器が日常的に使われている事実は、欧米が掴んでいる事実であるため、この期におよんで「一気に緊迫」という話では無いのだ。
既に、緊迫した事態を迎えてそれは2011年以降、繰り返し再燃している。
また欧州連合(EU)も8日の声明で、被害状況などの証拠からアサド政権による化学兵器攻撃だと示唆されると指摘し、「化学兵器が、特に民間人に使用され続けているのは重大問題だ。最も強い表現で非難する」と述べた。
その話は欧州連合のこの発言からも明らかである。一気に緊迫したような印象操作をNHKは行っているが、今さらな話である。

アメリカは再び戦端を開く可能性は高いだろう。
「48時間以内に」と言っているので、明日までにはミサイルが飛び交うような状況を迎える可能性は高かろう。

ただ、シリア情勢はアサド政権が倒れたとしても、容易にシリアの内戦が収束するとも思えない。残念ながら出口は無いのだ。アメリカが再びミサイルをぶち込んだところで、果たして意味があるかどうか?
アメリカがシリアにミサイルを撃ち込む大義名分は揃っているけれども、それは内戦を終わらせるためとかそういった理由では無いだろう。あって、ロシアへの嫌がらせ目的くらいな話。

トランプ氏の重大な決断とやらが、一体何を示すのか?という気はするが、前回のミサイル発射の時は予告をした訳では無いので、今回、こうした発言を紹介したこと自体は別の狙いがあるのだろう。

1つは、戦端を開くにあたって、ロシアに手を引けというメッセージを送ったということが考えられるが、こちらの可能性は弱いと思う。
だとすると、支那や北朝鮮へのメッセージという風に考えた方が良いのかも知れない。

まあ、何をするかは近日中に分かるんだけどさ。



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コメント

  1. 「愚鈍な民主主義」vs「果断な独裁主義」の典型例ですね、シリア情勢は。

     時代と場所を変えて、国際社会はどうすれば、日本の戦国時代を終わらせられるか、信長を支援するのか、それとも足利幕府を維持させるのか、台頭する宗教勢力本願寺にどう対処するのか。
     外国人に聞けば、色々な意見が出ると思いますが、日本人から見れば、「ほっといてくれ」というのが正解でしょう。

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    1. 色々な情報を聞いていると、アサド政権ってそんなに悪いか?という気がするのですよね。
      もちろん、化学兵器の使用やらは批判されるべき話ではありますが、外から首を突っ込むべき話じゃ無いんですよ。
      「アラブの春」など民主化運動失敗の教訓はどうして生かせないんでしょうかね。

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