電気の足りない?ドイツと、切羽詰まった東京

注:この記事は5月8日に全面的に改稿しています。改稿前と内容が異なる部分があるのでご注意ください。戴いたコメントに関しても、日付に注意してお読みください。

このブログで焦点を当てている話の1つである、「原発再稼働」に関する話である。

先ずはこの記事に目を通して欲しい。

原発ゼロを進めるドイツで、ついに深刻な「電力不足」が発生

2018/4/27
今年は桜の季節に日本で過ごせると喜んだのもつかの間、これまでに無くひどい花粉症に悩まされた。しかし、花粉もようやく下火。暑くも寒くもない良い季節がやってきた。
~~略~~
では、なぜ、周波数が落ちたかというと、流れる電気の量が減ってしまったからだ。なぜ、流れる電気の量が減ったかというと、電気が足りなかったからである。電流が落ちると、電圧も周波数も下がる。それを一定の範囲に収めるために、電力会社は常に発電量を調節している。

エッセイ風の記事ではあるが、ドイツで電気不足に陥っているという内容だ。

いきなり、深刻な「電力不足」という話を出したが、一体、ドイツで何が起こっているのだろう?ただし、この記事はコメントでもご指摘戴いた通り、その信憑性について疑いを持たれていることも、合わせて伝えておきたい。


さて、先ずは、ドイツが電力行政についてどんな選択をしたか、という話なのだが、2022年までに原発を全面停止するという事を決めている。

ドイツ、2022年までに原発を全面停止

2011年 5月 31日  6:51 JST

 ドイツのメルケル首相は30日、政府が任命した委員会の提言に従って、8基の原発を直ちに停止し、残りについても大半を2021年までに停止すると発表した。3基は予備電力のために2022年まで稼動を続ける可能性がある。
2011年、メルケル氏が「原発の全面停止」を決断したのだが、2011年といえば、3.11直後の日本のニュースが世界を駆け巡った時期であり、5月にはその惨状が明らかになっていた頃である。
フクイチ
これは福島第1原発4号機の惨状をおさめたものであるが、稼働していなかったはずの4号機の建屋が水素爆発によって吹っ飛んだ事実は、各国の首脳にも衝撃を与えたことは想像に難くない。

点検中であった4号機には、燃料が装荷されていなかったといわれているが、稼働していた3号機と排気筒の配管が共通であり、3号機から漏れた水素によって水素爆発を起こしたのだと推定されている。
しかし、水素は極めて軽い気体であるため3号機の排気筒が共通であるからといって、3号機よりも激しく損傷する程の水素が溜まるものだろうか?
事故後の様子
この様子を見ても、「原発は停止していても危険だ」という認識を植え付けるには十分であったに違いないと、そう思える。
4号機の謎については、ここではこれ以上言及しないが、メルケル氏がその思いを強くする二十分の理由であったとは思う。


さて、もともとドイツは再生可能エネルギー発電に傾倒していて、2000年には再エネ法を制定し、Fitによる「固定価格20年間全量買取」という狂気の沙汰の政策は進められていた。
 再エネ法というのは、ドイツの脱原発の一番の要となる法律だ。なぜか? それは、この法律が、再エネ電気の“固定価格20年間全量買い取り(FIT)”を定めているからだ。
 再エネ法が制定されたのは2000年。ちょうど、シュレーダー首相の下、SPDと緑の党が政権を握ったときだった。以来、この“固定価格20年間全量買い取り”によって、再エネの発電施設はどんどん増えた。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41499

2000年当時のドイツにとって、環境政策は非常に重要な視点だった。
それは、「同盟90/緑の党」という環境政党と、時のシュレイダー政権が連立を組んで政治をやっていたことに大きく関わりがある。
同盟90/緑の党は、反原発と自然エネルギーの推進、反核兵器・反軍国主義・反 NATO と平和主義、反消費社会と循環型社会が当時の主な主張だったのである。典型的な左派政党と言えるが、ドイツにはそれを受け入れられる土壌があり、1998年には政権与党に参加して大きな力を持っていた。

ドイツのエネルギー政策は、この様に左派によって歪められ、2011年には脱原発を宣言した。もちろん、そのこと自体はドイツの選択であるので、良いと思う。


そして、これに関してはもうちょっと複雑な背景がある。

このことは、冒頭の記事と、戴いたコメントにも関連する話なのだが、ドイツを含む欧州では、複雑な電力ネットワークが形成されており、「欧州送電系統運用者ネットワーク(ENTSO-E)」という組織によって電力の調整が行われている。

電力系統図

広域にわたって、電力融通が出来る状況にあるのだ。

これによって、ドイツのように「原発を止めるぜ!」という決断をした場合に、万が一電力が足りなかったとしても、他国から買う事ができるという状況がある。とはいえ、これは2009年に組織されたばかりで、シュレイダー政権時代には存在しなかった。

ただし、脱原発を決めた2011年にはそれなりの送電網が構築されていたので、その決定を後押しする理由になったことは言うまでも無いだろう。


こうした事情を考慮してか、無視しているのかは知らないが、日本のパヨクはこんな話をしている。

日本に氾濫する「ドイツは脱原発に失敗した」という誤解

2015年10月11日 国際
 福島第一原発の事故のあと、自国の原発を縮小し、再生可能エネルギーなどにシフトする国が相次いでいる。その代表とも言えるドイツでは、2014年に再エネで総電力消費の約27%をまかなった。これはガスや石炭など他の燃料を上回って、再エネが初めて最大の電力源になったことも示している。ところが当の原発事故を起こした日本では「ドイツの脱原発政策は失敗した」かのような情報が氾濫している。

確かに「脱原発に失敗」というのは言い過ぎだろうが、FIT政策は行き詰まってしまった事実を無視されるのは困る。


ドイツでは2030年に再生可能エネルギー発電で電力需要の5割を賄う目標を立ている。2050年には8割だそうである。
しかし、その買取価格は年々下落方向にあり、2012年には修正法案の提出、2014年には制度の見直しが行われている。2016年にはついにFIT廃止の議論が持ち上がった。

ドイツの事例に見る固定価格買取制度の変遷

日本における再生可能エネルギーの固定価格買取制度(通称FIT)は2012年にスタートしましたが、それに先駆けてドイツでは既に同様の制度が導入されていました。そして、同国にて再生可能エネルギーの積極的活用が推進され続けました。
しかしドイツにおいても、固定価格買取制度の運用でいくつかの問題が浮上し、そして関連法の改正を経て2014年には大幅な見直しが行われました。
結局、ドイツはどうしたかというと、FITからFITを基礎とした入札制度(FIP)に移行することになった。

入札制度導入でドイツの再生可能エネルギーは生き残 れるか?-EU主導の再生可能エネルギーの市場化-道満治彦

ドイツでは、再生可能エネルギー政策が固定価格買取制度(FIT)を基礎とした政策から大きく変化し、2017年1月より入札制度へと移行する。この入札制度への政策変更によって、再生可能エネルギーへの投資に対して、どのようなインパクトがあるのだろうか。EU主導の「再生可能エネルギーの市場化」をキーワードに考える。

その制度をFIPというのだが、要は固定価格で買い取るFIT政策では需要者の負担が重くなりすぎるので、市場価格と連動させるシステムを導入したと言うことらしい。


この制度の切り替えを、「失敗では無くFIT卒業」と表現している方もいる。だが、掲げた大目標を達成するためには、FITからFIPに切り替えたことで見通せなくなったのは事実である。
少なくともFITを続けていけない理由がそこにあったというわけだ。


さて、ここで先ほど引用した記事の中で、「ドイツのエネルギー政策が成功しているんだ」という根拠となっている数字を紹介したい。
ex_im_strom_lang_2017
これは、ドイツの電力輸出と電力輸入の推移であり、輸出超過、つまり電力は余っているのだという証拠であり、寧ろエネルギー政策は成功しているのだという風に理解できるとしている。
ex_im_strom_laender_2017
では、輸出入の相手はどうなっているか?というと、この様になっている。

このグラフからして、原発大国であるフランスから電力を買っている事実はあるが、輸出している量は多いので、トータルで見たら電力量は増えている。つまりFITは失敗じゃ無かったと言うわけだ。ついでに言うと、欧州は地続きで電力を売り買いする関係にあるので、輸出量と輸入量の関係で話をするのは難しい。輸入した電力をそのまま輸出する、つまり通過点となっているケースもこの輸出入のグラフに含まれてしまう。

ループフロー

この図は、ループフロー(迂回潮流)の説明をするものだ。

ドイツからフランスへ電力が流れる場合、(ドイツ→フランス)という直接的に電力融通する場合だけでは無く、(ドイツ→オランダ→ベルギー→フランス)という迂回が発生したり、(ドイツ→スイス→フランス)という迂回が発生するという説明である。

もちろん、隣国のポーランドからドイツを通過してフランスに電力供給される場合もあり、その際には、ドイツは電力が購入したいわけでも無いのに(輸入→輸出)という形を採らざるを得ない。


確かにフランスは輸入超過であり、ドイツは輸出超過なので、「ドイツの電力不足」というのが、ドイツだけの責任だという話をするのはオカシイ部分はある。

ただし、ENTSO-Eの維持コストを負担しなければ再生可能エネルギー発電に邁進することは難しいので、ドイツの政策の失敗という側面があるのは事実だ。

欧州送電系統運用者ネットワーク、今後10年間に系統増強に1040億ユーロの投資が必要と予測

2012年7月23日

欧州送電系統運用者ネットワーク(ENTSO-E)は2012年7月5日に発表した系統拡張計画において、2012年から10年間で約52000kmの送電系統の拡張・増強のために1040億ユーロ(約10兆1000億円)が必要であるとの見方を示した。

この話も、ドイツだけの責任ではない。


そして、このENTSO-Eの影響が冒頭の記事の「遅刻」の正体でもある。

欧州で時計が遅れるトラブル 背景にはセルビアとコソボの政治的問題 (1/2)

2018年03月08日 15時55分 公開

 3月7日、欧州では職場や学校に遅刻した人たちが大勢いるかもしれない。だがそれには正当な理由がある。欧州大陸の電力供給網の周波数にかつてないような偏差が生じ、一部の時計が遅れるというトラブルが起きているのだ。

 この問題は、セルビアとコソボ間の政治的な争いに起因する。コソボの一部地域の住民らが電気代を支払わずに地元の送電網から電力を利用していることの影響が、ポルトガルからドイツ、ポーランド、ギリシアまで欧州大陸の25カ国をカバーする電力網の全域に及んでいる。

~~略~~

 「技術だけで対処できる問題ではない。コソボの電力不足の問題について、セルビアとコソボ両国間での合意が必要だ。この問題はまず政治的に解決し、その上で技術的に解決する必要がある」。カミュ氏はAP通信の取材に応じ、そう語った。

広大な電力網を形成した結果、コソボで電力の不正使用が行われる様な事態になり、これを解決する事ができなかったという話なのである。冒頭の記事はその事実を誤認している可能性があり、「電力不足だ」とする主張には少々都合が悪い。


コメントで紹介戴いた記事はこちらなのだが……。

[Press Release] Continuing frequency deviation in the Continental European Power System originating in Serbia/Kosovo: Political solution urgently needed in addition to technical.

Mar 6, 2018

The Continental European (CE) Power System -a large synchronized area stretching from Spain to Turkey and from Poland to Netherlands; encompassing 25 countries- is experiencing a continuous system frequency deviation from the mean value of 50 Hz, and this since mid of January 2018.

~~略~~

This average frequency deviation, that has never happened in any similar way in the CE Power system, must cease. The missing energy amounts currently to 113 GWh. The question of who will compensate for this loss has to be answered.

113GWhも電力を失っていれば、そりゃ、システムに不都合が起きても不思議は無い。


じゃあ、「政治的問題を解決すればドイツのエネルギー政策は問題無いよね。だって、輸出超過だし、電力は足りてるし」となるのか?というとこれがまた微妙な話になってしまう。


で、ちょっと話は逸れるが、先ほど、FITからFIPに切り替えた話をしたが、その狙いは、エネルギー政策の失敗などでは無いという切り口を少ししておきたい。

ドイツで始まったポストFITの入札:散々だったバイオマス入札(1)

2018年01月15日号掲載

2000年にスタートしたドイツの固定価格買取制度(FIT)は今大きく変わりつつある。まず2014年から出力規模の比較的大きい再エネ発電は市場への「直接販売」が推奨されるようになり、政府の定めた参照価格と市場での販売価格の差は「プレミアム」として発電事業者に支払われるようになった。そして今年の1月からはこのプレミアムも政府が決めるのではなく競争入札で決める方式に改められた。
~~略~~
しかるに、バイオマス発電の場合は、入札は年に一度だけで、その募集容量も12.2万kWという低いレベルに抑えられている。ところが入札に参加したプラントの合計容量は4.1万kWに過ぎず、募集容量の1/3でしかない。低位の競争率がこれからも続くとすると、入札による発電コストの引下げはあまり期待できなくなるだろう。

日本でもバイオマス発電は筋が悪いと言われているが、ドイツでも似たような話なのだ。FITならばともかくFIPだと投資を回収できる見込みが無いというわけだ。


再生可能エネルギー発電と、一括りにしてしまったところで、実際には、成績の良い発電方法と成績の悪い発電方法が存在する。

バイオマス発電に関して言えば、かなり素性が悪いのだけれども、「再生可能エネルギー発電の推進」の為に行うFIT政策をそのまま続けるとなると、成績の悪い発電方法も淘汰されずに残ってしまう。

そこでFITではなくFIP、つまり入札制度を用いることで市場原理を導入し、価格の低下が進めば政府が価格を管理しなくても良いので都合が良い。その一方で、競争の原理によって価格低下が進むので、システム的にも良いという話なのだろう。


しかし、FIPであればドイツのエネルギー政策はこのままで良いのだ、という結論になるかというとこれまた難しい。

例えば、再生可能エネルギー発電が火力や原子力に対抗できるだけのコストダウンが実現出来たと、その様に分析される方も多い。

だから、再生可能エネルギー発電100%でも良いのだ、みたいな話になる。

だがちょっと待って欲しい。この図を見て頂きたい。
20180115_biomas_001

これはドイツでのFIPの実績であり、バイオマス発電はともかくとして、太陽光発電のコストが随分と下がってきていることを意味する図である。

見て分かる通り、かなりコストダウンが進んでいる。

これは、初期投資の比重が大きい一方でランニングコストは低く抑える事のできる再生可能エネルギー発電は、段階的に発電コストを下げることができる事が影響していると思われる。


ただ、あまり知られてはいないが、スペインではすでに2014年にFIT政策は破綻してしまい、再生エネルギー発電設備の稼働率はかなり落ち込んでいる。
img_ffdad77f36f0b83ff47b9c7e112b5d4a109091

電気料金の高騰を招いたことで、ただでさえ悪いスペインの経済状況が更に悪化してしまったというのは笑えない話だ。

現在、スペインはFIPを導入して運用中のようだが、色々と苦労しているようだ。再生可能エネルギー制御センター(CECRE)という組織を作って、風力発電を中心に頑張っているようだけれど。


さて、じゃあ、ドイツさんは……、というと。
20170105column1
やはり電気料金は値上げ傾向にある。

2017年のドイツの家庭向け電気料金に係る再生可能エネルギー賦課金単価は 6.88ct/kWh で、前年比約7.8円/kWh(1ユーロ=115円で換算)の値上げになる見込み。
http://www.gadgetwear.net/2017/01/2017-54.html

ドイツは経済好調なので物価も上昇しているから、一概に電気料金が上がったからといって、電力政策の失敗だったとは言えないのだろうけれど、電力料金がフランスの2倍とか聞くと、やはりその方針が正しかったのか?という点については疑念を抱かざるを得ない。

なお、ドイツの家計を圧迫する賦課金だけれども、2023年にピークを迎えて徐々に減らして行く予定だった。だがこれもFIPの導入によって見直されなければならず、どうなっていくのかはよく分からない。


ここで、ドイツの電力消費量の話をしておきたい。

多分、ドイツの懸念事項となっている事なのだろうけれど、再生可能エネルギー発電の増加は順調なのだが、その一方で総電力消費量が減っていないという現実がある。
strom2017
予定では、総電力消費量は2020年には2008年を基準として10%削減、2050年には25%削減ということになっているが、経済が好調で個人のエネルギー消費が増えていることも影響して、消費量はほぼ横ばいなのである。

そして、FITやFIPによって何が起こるのか?というと、こんな感じである。

独、再生エネ加速で再編始動 エーオン、RWE傘下のイノジー買収で合意

2018.3.13 05:00
ドイツのエネルギー最大手エーオンは11日、独同業RWE傘下のイノジーを買収することで合意した。電力各社が再生可能エネルギーへのシフトを加速するなかで、国内での業界再編に動いた。
~~略~~
 メルケル独首相が原子力・化石燃料主導から再生エネ主導の経済に転換し出した後、2大電力会社のエーオンとRWEは大変動に見舞われている。かつてドイツで最も安定的に利益を上げていた両社は、国内卸売電力価格の下落を受け、多額の評価損計上や会社分割を余儀なくされた。
 エーオンはドイツで再生エネへの投資が最も多い企業であり、風力、太陽光などの再生エネに100億ユーロ以上を投資している。RWEはドイツ最大の発電会社であるが、従来の電力に重点を置いていた。イノジーは米国からオーストラリアで風力や太陽光発電事業を手がけており、さらなる海外展開を目指していた。

従来型の電力企業がやっていけなくなるのだ。


こうした業界再編は、ドイツでは今後も続くだろう。
ついでにいえば、ドイツ国内で好調な太陽光パネルの販売は、ほぼ外国企業に独占されており、ドイツ国内メーカーは絶滅してしまった。


電力をどんどん輸出しているという構図である反面、こうした業界再編の動きがあり、そしてFITは続けられずにFIP(入札制度)に切り替えた。

stromanteil2017

この図は2017年の暫定値を元に作られた、ドイツにおける発電量のエネルギー源の割合に関する図である。

FIPの導入によって、バイオマスは今後減っていくだろうし、原子力も減らして行く計画なのだが、案外、褐炭を用いた火力発電の割合が多いことが分かる。strommenge_bis2017

電力消費量は増え、再生可能エネルギー発電も順調に増えている一方で、原子力と石炭の割合が減りつつある。


しかしだとすると、ドイツのエネルギー政策はENTSO-Eありきで、今後、再生可能エネルギー発電の割合を増やせば増やすほど、より困難な道を歩まねばならなくなるだろう。
何故そういう事になるのかといえば、再生可能エネルギー発電の発電が不安定だからである。

例えば太陽光発電であれば、日中多量に発電された電気は諸外国に安値で販売され、その一方、夜間は発電できないために、外国から電力を買うか、高コストな発電手法による電力を利用せざるを得ない。

風力発電は、欧州では偏西風の影響もあって日本より遙かに風況が良いので、その割合も多いのだが、凪の時期は発電できない。

いずれも未だに電気を貯める技術が未熟であるが故の悩みとも言えるが、ドイツ国内の電気料金が上がる一方で、輸出量が増えている背景にはそんな構図が見えてくる。売るほど多量な発電が出来るにも関わらず、発電できない期間は電力を買わねばならないのである。


で、随分ドイツの話に文字数を割いてしまったが、東京がどうだったか?という話をしたい。
冒頭の記事では、応援融通を受けたという説明がある。

東京電力の送配電会社「東京電力パワーグリッド」では供給がギリギリになり、他の電力会社から7日間、応援融通を受けたという。
また、各電力会社は一部の大型需要者との間に、供給が足りなくなりそうなとき使用を減らしてもらう、あるいは、使用時間をずらしてもらうという契約を結んでいる。その代わり、電力料金を少し値引きしているそうだが、東京電力ではその要請を今年の冬は13回も行った。
契約では年間12回までだったが、それを1回オーバーした。それほど切羽詰まっていたということだ。

明日(1月24日)の電力需給見通しおよび需給状況改善のための融通の受電について(21時30分時点)

2018年1月23日
東京電力パワーグリッド株式会社
 明日(1月24日)の当社サービスエリアにおける電力需給見通しは、気温低下による暖房需要の増加などから、ピーク時間帯(18時~19時)で4,952万kWとなる見込みです。
これに対して、火力発電所の増出力運転などの供給力対策および当社と事業者間で予め締結した契約による所定の需要抑制対策を実施しているものの、当社サービスエリアにおける供給力は5,000万kW、使用率99%(予備率1.0%)と厳しい需給状況になると想定しております。
 当社としては、当社サービスエリアの需給状況改善のため、電力広域的運営推進機関に融通の受電をお願いしており、これを受けて、1月23日22時~1月24日0時までの間、東北電力、中部電力から最大150万kWの供給を受ける指示を電力広域的運営推進機関から受けました。
 引き続き、当社としては、1月25日0時まで最大200万kWの供給のお願いをしており、これにより、明日のピーク時間帯における当社サービスエリアの供給力は5,121万kW、使用率96%(予備率3.4%)となる見込みです。
 一般のご家庭をはじめ広く社会の皆さまにおかれましては、空調温度の低め設定や使用していない照明の間引き・消灯など、節電への取り組みにご理解、ご協力をお願いいたします。

電力供給がカツカツで、需要に追いつかないというのが、東京の実情である。

発電所を増やすという話も出てきてはいるが、それで解決できるのかはなお疑問が残るところ。


そして、ここへ来てハッピー米山事件が発生したので、東電は「再稼働」を意気込んでいる。

東電社長 柏崎刈羽再稼働へ 「地元と対話しっかりやる」

2018.4.27 06:15
 東京電力ホールディングス(HD)の小早川智明社長は26日の決算会見で、柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の再稼働に向け、「地元の理解が重要だ。対話活動をしっかりやっていく」と述べた。再稼働に慎重な新潟県の米山隆一知事が辞職を表明したが、引き続き福島第1原発事故の原因究明などに取り組み地元理解を得たい考えだ。

そうせざるを得ない事情があるのだ。

それは、日本では都合の悪いことに西日本と東日本で電力の周波数が異なる。そうなると、電力融通をする為にどうしても一手間いるのだ。
また、長距離の電力輸送をやるとロスが大きくなる問題もあるので、できれば東電は地域内での電力供給に拘りたい事情もある。ドイツでは、他国から電力を融通できる余地があるが、日本ではそうではないという事なのだ。



そんな訳で、「ドイツから学べ」というのであれば、盲目的になるのでは無く、しっかりとした分析をすべきだと思うんだよね。
僕は原発は推進した方が良いとは思っている一方で、廃炉しなければならない現実は受け入れている。また、新規の原発を建てられない事情も理解できる。
一方で、再生可能エネルギー発電を増やすにせよ、それ一辺倒ではダメな理由も理解しているつもりだ。
安定的な電力供給は、日本では必須であり、経済環境を考えれば安価な電力供給も必要である。

例えば、ドイツでは太陽光発電のコストが下がっているというけれども、日本で本当にそのコストが下げられるの?そこに無理は無いの?という点は、しっかり検証すべきだ。




ランキングへの応援クリックよろしく!
にほんブログ村 ニュースブログ ニュース批評へ

コメント

  1. そりゃ電力が足らないでしょ?
    今日、山を歩きながら水力発電所の説明会に参加したのすが。
    ははは…何やってるのか?
    要するに自然湖水から、電力消費の少ない夜間に「原発」の電力を貰ってダム湖に水を汲み上げる。そして夜間に水を落下させて発電してるのですって!
    非効率にも程がある!
    まぁ0になるよりはマシです。
    木霊様が小規模水力発電で申されたように「現実直視」して、
    原発も廃棄まで再稼働して時間を稼ぎ、その間にエネルギー問題を何とかするテクノロジーを必死に探るべき!
    エネルギーをどうにかしないと、もしも有事になってもシナと戦えませんよ!
    その方面を無視して対米戦争して祖国はどんな目になりました?
    本当に祖国を護れる国になるならば、エネルギー問題こそ重要なはずです!
    人口の1割以上が集中してる東京や、3000万人規模の首都圏は
    夏に冷房抜きでは熱中死する場所になってる!
    エコじゃどーにもならん!
    もっともっと研究して、その時間を稼ぐ為に、小規模発電でも
    原発再稼働でも利用するべし!
    読者の皆さんが慧眼な方々なのに、このエネルギー問題で木霊様が本気で書いて下さるのに、反応が鈍い事に怒りを感じます。私は元自です!
    戦うには飯と水と医薬品と「エネルギー」が必要なの!!
    私は北海道の師団で、実験的に運用されたヘリ歩兵でした。
    「地獄の黙示録」みたいの。
    燃料とエネルギーが無ければ、そもそも前線にすら行けないの。それを肌で感じた。
    いくら最新兵器があって士気が高くてもエネルギーがないと、
    前線に行けないし、当然に補給も出来ない!
    補給の背後には生産施設を動かす電力が必要なはずです!
    なんで木霊様の深刻な訴えに耳を貸さないのか?
    今は牛馬で武器や兵士を運ぶ時代ではなく、補給には燃料が必要で、背後の生産施設を動かすにはエネルギーが必要なんです。たかが一兵卒だった俺でもそう思う。
    軍事技術の話ばかりせずに、もっと基本的な木霊様の訴えに反応しましょうよ!
    祖国を護る為に!!

    返信削除
    返信
    1. 過分な評価を戴いて、大変ありがたいのですが、上に書いたとおり、この記事に関しては少し検証を要する部分もあるようです。

      コメント返しも、後日ということで一つ宜しくお願いします。

      削除
  2. 木霊様、この記事を皆さん読んで下さってますか?
    苦言ですが南朝鮮ボロボロ軍事記事が「面白ろ過ぎる((笑))」
    いや面白いのでさが、このような理系の木霊様だからこその記事が注目されないならば、それは悲しすぎる!!
    ここはレベル高いblogです。
    コメンテーターさんのコメント読んであても解るす!
    だから、こういう基本的な大事な記事を木霊様が書いて下さるのに(私は小規模発電で眼から鱗でした。んなもんアサヒの謀略だと思っていたので。実は幻想を持たねば、それなりに有為で時間稼ぎに使える技術であるた木霊様の記事で知った!)
    、レベル高いコメンテーターの方の反応が鈍いの悔しいです!
    こういう分野での地道な発言にも木霊様の力が光るのに!!
    半島がデマかせなのは昔からなので、もう、どうでも良い!
    どうせ非核化など実現しない!
    カリアゲは在日の息子で「正統性」に難がある!
    そのカリアゲが権力を保つならば非核など出来る訳がない!
    どうせトランプの人気取りと、
    半島の奴等に利用されるだけ!
    アメリカはICBMさえ没にして射程に届かなければ日本なんかどうでも良いのでしょ?
    将来的に核武装して自国を護れる国になるしかない!!
    原発再起動に反対している場合なのか?
    いつまでもあると思うな親と安保!

    返信削除
  3. これについて言えば私は30年以上の「核武装」主義です。
    在隊した冷戦時代に核武装が必要と主張して、小隊長(三尉どの)から先任陸曹から班長にまで叱られた。
    それでも辞めなかったし、公言していた事が、結局は傷病で休職しとる時期に、隊を去らざる遠因になりました。
    それは構いませんが、核武装は
    日本に必要です!!

    返信削除
  4. もちろん核武装の前に、エネルギー問題に本気で予算投入して考える。
    サイバー部隊の拡張や、スパイ防止法など「やること」多い。
    でもねー、もう日本は人口縮小して縮んでゆくんですよ。
    それは牛丼屋が外人ばかりだったり、医療現場が外人スタッフが増えてあたり、俺が雇われ院長していた治療院や店長を努めていたマッサージ屋でも明らかなんだすね。
    彼らがいないと回らない!
    現実を見ましょう!
    今の日本は蓄積がある。だが、
    30年後はどうなの?
    ドローンパイロットを増やして国防に使うとか、そして切り札になる核を持つとか!
    100万人を越えるヒッキーがいるんでしょ?
    奴等をドローンパイロットに育成するとかできんの?
    ヒッキーなら頭脳流出しませんよね?
    もうねえ、俺が関わる医療や福祉分野は人が回らなくなってるんですよ!
    現実を見ましょう!
    木霊様の御子様世代ではインフラを維持するメンテナンス要員すら足らなくなる!
    どうにかしないと!
    どうせ翁長の「農業振興の為の外国人の重用」など、シナの侵略に使われるだけ!
    そして食糧自給の大半を握る北海道は、EUとの交渉で「自動車産業」の生け贄になりつつあるのです。
    南朝鮮の軍備を笑って自己満足してる場合ではありません!

    返信削除
    返信
    1. ハンドルネーム:音楽大好き

      > 要するに自然湖水から、電力消費の少ない夜間に「原発」の電力を貰って
      > ダム湖に水を汲み上げる。そして夜間に水を落下させて発電してるのですって!
      (余計なつっこみ。。昼間に水を落下させて・・ですよね)
      > 非効率にも程がある!

      私の認識では、原子力発電所や大きな火力発電所は出力の調節が難しい。水力発電ならば出力の調節が(原子力などより)容易である。電気の品質を確保するには出力の調節は不可欠。なので、水力発電所を捨てるわけにはいかない。

      > 非効率にも程がある!
      自動車:減速時の余剰エネルギーをバッテリーに蓄えておいて・・ハイブリッド車ですが、
      水力発電所の揚水発電は一種の「ハイブリッド」で、「余剰エネルギーを使って、高い位置にある貯水池にエネルギーを蓄えておく」と考えれば、合理的だと思います。

      削除
  5.  お気を悪くしないで聞いていただきたいのですが、この元記事自体が完全にデマと判明しています。

     ドイツにおける周波数低下の原因は、ドイツの電力不足などではなく、
    ・ENTSO-E(欧州送電系統運用者ネットワーク)は、同期エリアの25カ国が運営計画(前日に市場で電気を売買)を立て、需給のズレがあれば再給電指令で全体(25カ国)でカバーする方式。
    ・しかし、電力の調達量と計画発電量が現実とあわなくなり、運営計画が支障をきたすことがある。(天気予報が外れて急な寒波が来た、など。)
    ・今回は、セルビア/コソボ地域で113ギガワット/hものズレが生じた。
    ・セルビア/コソボ地域の問題発生原因は不明。(費用負担問題が発生してるので、セルビア・コソボは死んでも認めないはず)
    ・不足分を老朽化した自国の発電所を改修して補うより、国際電力卸売り価格の方が安いので、他国予定分を黙って使っておいた方が結局安上がりになると放置されることもある。
    (2011年の小金井市ゴミ戦争を思い出す。小金井市は環境に悪いとゴミ処理場は立てず、よその市の使わせてもらい続けた挙句、ゴミ処理料は無駄遣いと断言、言ったのは元朝日記者の市長)
    という、EUの光と闇を同時に感じさせる事例でした。
     闇はEUのお荷物であるセルビア・コソボなどの東欧諸国ですが、光は突然発生した113gw/hもの電力不足カバーしてしまうドイツやスイスです。
     一応、欧州送電系統運用者ネットワークのこの事件での、メディア向けページを貼っておきます。
    https://preview.entsoe.eu/news/2018/03/06/press-release-continuing-frequency-deviation-in-the-continental-european-power-system-originating-in-serbia-kosovo-political-solution-urgently-needed-in-addition-to-technical/
     最後の一文に、激おこぷんぷん丸になっているスイスとドイツの担当者の怨念が感じられます。
     
     元の記事をよく読んでいただければ分かると思いますが、
    >さらに不都合なことに、冬は凪が多いので風力発電まで止まってしまうことがある。(当時も絶賛稼働中でした。)
    >厳寒となった今年は電気が足りなくなり、待機していた国外の火力まで総動員されたが、それでも供給はカツカツだった。(絶賛輸出中でした。)
    >普段なら周波数の揺れなどすぐに調整できるそうだが、今回はそれどころではなかったらしい。(そりゃ113ギガワットもセルビアが知らん顔で使いこんだからね)
    と全く裏付けをしておらず、おそらくネット検索さえせずに記事を書いています。
     川口マーン女史(いわゆる海外在住型のブロガー)と現代ビジネス誌のタッグは、以前からこういうモヤっとした書き方で度々この手の記事を意図的に繰り返しています。

     個人的には、原発問題を語り合うのは楽しく、この指摘もするかどうか、スルーしたままにしておこうかと相当悩みました。
     ただ、マーン女史は割とあちこちで引用されており、私も少々うんざりしています。
     ちなみにこの記事も、元通産省出身の現役国会議員が、一度は完全に信じてツイートし、デマだという指摘を受け訂正し水面下のうちに回避しています。
     このエントリーについては、お任せ致します。
     どうかお気を悪くしないで頂けると幸いです。
     

    返信削除
    返信
    1. おはようございます。
      実はこの記事を書くにあたって、川口マーン女史の記事ばかりに行き当たったので、少々胡散臭く感じていたのは事実です。彼女の記事にはデータの裏付けが薄く、どうにも恣意的な部分が多い様に感じたからです。ただ、否定できる材料も又持ち合わせていなかったのは事実です。

      よって、ご紹介頂いた内容についても十分に検討した上で、記事を見直したいと思います。
      ただ、主張したい論旨は誤っていないと考えていますので、この辺りを修正できるか検討した上で、修正できれば修正を、そうでなければ全面改稿をしていきたいと思います。

      ありがとうございました。

      削除

コメントを投稿

お気軽にコメントを!ハンドルネームは面倒でもお願いします。