融和ムードを演出する南北、そして日本のメディア

南北の思惑に巻き込まれたくないというのは、僕の偽らざる本音なのだけれど、日本政府はどう考えているのか。

日韓首脳電話会談 文大統領が拉致問題提起 安倍晋三首相「誠意に感謝」 

2018.4.29 11:37
 安倍晋三首相は29日午前、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と電話会談した。会談後、首相は首相官邸で記者団に対し、文氏が27日の南北首脳会談で金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に対し拉致問題を提起したとの報告があったことを明らかにした上で「誠意に感謝申し上げたい」と述べた。
先日、未だに中身のよくわからない南北首脳会談が終了した。
拡声器
その結果、日本のメディアを始め、南北朝鮮は融和ムードをひたすら演出している。
南北融和へ始動 拡声器撤去や時差解消

北朝鮮 朝鮮半島

2018/4/30 19:25
 【ソウル=鈴木壮太郎】27日の南北首脳会談で「板門店宣言」に署名した韓国と北朝鮮が融和に向けて始動した。北朝鮮は30日、標準時間を韓国にそろえることを決定。韓国も同日、軍事境界線にある宣伝放送用の拡声器の撤去を1日から始めると発表した。南北そろって関係改善をアピールすることで、6月初旬までに予定される米朝首脳会談の地ならしを進める考えだ。
もちろん、緊張状態を続けるよりは、融和ムードを演出したほうがよっぽどマシではあるのだが、南北首脳会談というイベントは、そんなに実りのある会談だったのだろうか?
僕にはとてもそうは思えない。

しかし、特に韓国メディア、そしてそれに同調する日本のメディアは、既に「平和への第一歩だ」とお祭り騒ぎになっている。

非核化「信頼」、6割に急増 首脳会談の27日、韓国世論調査

2018.5.1 09:10
 韓国の世論調査会社「リアルメーター」は30日、南北首脳会談を受けた認識の変化を調査した結果、非核化や平和に対する北朝鮮の意思を「以前は信頼していなかったが、今は信頼する」との回答が52.1%だったと発表した。「以前も今も信頼する」との回答は12.6%で、信頼する人が合わせて3分の2近くに達した。
南北首脳会談の一番の成果と言われているのが、「朝鮮半島からの核の除去に合意」という部分だが、実のところこれは努力目標に過ぎないのだと言われている。

そして、核実験場の閉鎖の過程を見せるとかいう話も出ているようだが、北朝鮮にある核実験場は1つだけではない。
 北部・豊渓里(プンゲリ)にある核実験場をめぐり、各国メディアから「使えなくなって廃棄するだけ」との見方が出ている。これに対し、金委員長は「来れば分かるだろうが、既存の施設よりも大きい2本のトンネルがあり、まだ使える」と反論した。ほかの核関連施設に関する言及はなかった。
https://mainichi.jp/articles/20180430/k00/00m/030/042000c
そうなると、現実的には、南北首脳会談において日本のメリットになるような話はほとんど進展していないことになる。

北朝鮮は、核のカードは小出しにしてくるつもりらしいしね。
今この時点において、北朝鮮が信頼できる交渉相手だという認定は難しいだろう。

ここで、韓国における今回の南北首脳会談の位置づけについて考えてみたい。

はっきりしていることは、以下の通りだ。
  • 北側のトップと南側のトップが会談したということ。
  • 韓国は停戦合意、和平交渉をできる立場に無いということ。
  • 南北ともに、お互いを国同士と認めあっていないということ。
  • 韓国側に限って言えば、今回の会談の合意内容は、「国際交渉」という性格の内容ではないこと。
なんと、驚くことにアレだけ「平和」を全面に押し出して交渉したにもかかわらず、現段階では韓国政府にとっても何の意味もないのである。

それは、交渉内容が空虚だったこととか、そういう実質的な面ではなく、今回の会談が「国と国との交渉」ではなかったという意味で、である。
残念なことに「南北首脳会談」というのは、ある意味嘘なのである。
便宜的な意味であれば正しいのだが、現実的には北も南も「お互いの政府を正式なものと認めていない」ので、形式として「首脳会談が行われた」ということにするためには、いくつか手続きが必要である。
ただし、北朝鮮は独裁国家なので、金正恩氏の一存だけでなんとでもなる。
問題は、韓国側だ。
韓国にとって、今回の会談を「首脳会談」と認めるということは、北朝鮮を「国家」として認めることである。

これまで、朝鮮半島の正式な政府は韓国政府だけだ、という立場をとってきた韓国にとってこの事実は非常に宜しくない。

ムン君は、このことに対して、どうやら今回の「会談」について国会で審議した上で、正式な手続きを経た会談だということにし、有効な会談であったということにする手をうつ予定のようだ。多分、その事自体は、韓国の世論が「融和ムード」を情勢しているので、実現可能だろう。
ただ、そうすることで、北朝鮮側の指導者である金正恩氏を「認める」という手続きが必要になるはずで、そうだとすると、結果的には「朝鮮半島には2つの国がある」という事実を認めねばならない。
つまり、「北進統一路線」は、今後、ありえないという事になってしまう。国である以上は、国と国との戦争という話になってしまうので、国際法上、大きな問題が出てしまう。「相手が攻めてきたから自衛のために」という建前すら、直ちに使えないのだ。

このことは、北朝鮮にとっては、どう転んでも都合の良い話になる。

尤も、ムン君が大統領になった時点で、北進統一というのはありえなくなって、ムン君が大統領である間は、「赤化統一」か「朝鮮連邦」の路線のいずれかを採るしかないのだろう。

日韓電話会談で、安倍氏はムン君に釘を差してはいたようだ。
 一方、朝鮮半島の完全な非核化を目指すことを明記した共同宣言について、首相は文氏に「完全な非核化が明記されたことを評価した」と伝えた。ただ、南北首脳会談では核・ミサイルの完全放棄に向けた具体的な道筋は示されていない。首相は日米韓が連携し「核兵器を含む大量破壊兵器、あらゆる弾道ミサイルの廃棄に向けて努力していく」とクギをさした。
だが、日米が望む「核兵器を含む大量破壊兵器、あらゆる弾道ミサイルの廃棄」は、北朝鮮にとって、というか金正恩氏にとって果てしなく高いハードルでもある。
このことは「正当性」のキーワードで何度もこのブログで指摘しているので、いまさらなのだが、ムン君はそれを「理解している」のか「知らずに話をすすめている」のか、いずれなんだろうね。どうやら、ムン君、かなり頭の働く人物のようなのだが、どうにもIYI(高学歴バカ)の疑いが強い。その辺りを金正恩氏に利用されているように思われる。


そして、もはや、日米韓での協調路線は極めて難しくなったと言っていいだろう。

次の米朝首脳会談でトランプ氏がどこまでのカードを切ることができるのか?が焦点にはなってくるが、南北首脳会談でアホなパフォーマンスをやったせいで、動きにくくなった可能性は高そうだ。

アメリカが北朝鮮に対して強烈なパンチを喰らわせた時に、韓国がどっちにつくのか?という点も心配である。

僕の心が曇っているので、南北融和を素直に喜べない、と、そういう可能性もあるけれど……、どうなんでしょうなぁ。



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コメント

  1. このコメントは投稿者によって削除されました。

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    1. 折角、コメントを戴きましたが、削除されたようですね。
      特に問題の無い内容だった様に思いますが、良ければ又、コメントを下さいね。

      削除
  2. まぁ日本のマスコミの人はアレなんでしょうね、「左巻き」と言う奴で。
    連中は「批判力」が商売ですから、五月蝿いのは仕方ない。
    とはいえ、圧力を削ぎたいという半島寄りの思惑は見えますね。正直、もう大手メディアの「嘘」をネットが暴く時代に来てます。具体例を挙げれば、ほら相撲ですよ。
    市長の救命に際して女が土俵に上がるなの奴で。あん時に巡業部長は嘘つきまきたね。若造の行事が問題アナウンスした時にトイレに行っていた発言。
    ネットが嘘を映像で暴いた。
    もうアサヒみたいのは歴史的な使命を終えてます。
    ここいらで「解体」すべき!
    総理の発言は「政治的な偏向」をスタンスにより認めるって話で、本来はマスゴミに「都合が良い」のですけどね。
    偏向した言論が世に満ちるとアサヒは大反発してめす(笑)
    偏向してない報道なんて今の日本にあるわけ?
    そもそも論を立てて発言するとは、論理で相手を「説得=洗脳」する事に他なりません!
    「宗教」に関わってきたから、
    説得が洗脳であるのを解るんですよ私は。
    それが「言論の本質」なんで。
    アサヒ馬鹿でないの?
    融和ですが「左翼」の人達ですら、太陽政策=核武装だった過去を疑ってるんですね!
    木霊様のblogに来る前に、かなり叩かれた左翼の歴史ホームページがあるのですが、そこの連中、「ウヨ」とか論旨に関わらずレッテル貼りする連中。
    そいつらでも「信じられない」と発言してる!
    どんだけマスゴミって脳内御花畑なんだ?

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    返信
    1. マスコミは、狙ってやっているんでしょうねぇ。
      ただ、それが自分たちの首を絞めることに繋がる訳ですが、しかし、現実的には支那や韓国からのお金が入っていることが、「今を生き抜くために」は、あの手の報道をしなければならない理由なのかも知れません。
      将来を悲観するよりも、まず今の食い扶持という志向になるんじゃ無いかなと。
      日本国民は、寧ろそうした点を考えた上で、おかしな所はおかしいと声を上げていくべきでしょう。そうなれば、メディアも無視はできないです。

      そういう事を含めて、日本のメディアをのさばらせている日本国民の責任は大きいと思いますよ。

      削除
  3. もちろん、平和的に南北が統一されること自体は非常に喜ばしい事です。
    ですが。既に南北は別の国家であると認識した方が良いと考えてます。
    実際、政治形態が違うのはもちろん、言葉でさえ既に違ってきていると聞きます。
    なので、経済格差を含め、東西ドイツどころではない混乱を招く事請け合いです。
    また、文左衛門の先走りによって、日米の進める制裁は骨抜きになり、また圧力を掛けづらくなるのは明確になりました。
    南には、このままなし崩しに統一する事で統一国家が核保有国になる(副次的に失敗続きのロケット開発技術も手に入る)事を内心で欲する一団が存在する事も公然の秘密です。

    マスコミも、南鮮の国民も、結論ありきで全てを判断し、報道し、煽動し、行動してるとしか思えません。
    であれば、彼らが受け入れやすい結論を用意してあげさえすれば、彼らをコントロールする事は容易であると言う事です。
    事実、南鮮では財閥潰しに躍起です。これは、「持っているものから持たざるものへの富の再分配」であり、腐敗した資本家を排除する動きであり、赤化共産革命に他ならないように見えます。であるならば、後ろに誰がいるのかは自明です。それが計画によるのか、偶然なのかはともかく(個人的には偶然から始まった分だけタチが悪いと考えてます)。

    私は、子供の頃は、いや成人してもなお、まさか自分が昭和、平成、その次と三つの時代を生きるとは思ってませんでした。
    また、このような激動の時代に直面するとも思ってませんでした。
    今我々がすべきは、国の指導者とその周辺を間違いない人物で固めること、これにつきます。
    この期に及んでまた土下座外交と無限の譲歩しか口にしない政治家を選ぶ事は国を滅ぼすのと同義です。
    だからといって、大政翼賛会によるその後の惨事を繰返す事もまたあってはなりません。

    我々は、あたかもシシュホスの石のように苦難を繰返し、その大岩を何とかして針先のような頂点に保ち続けなければなりません。大岩が谷底に転げ落ちた時、左右どちらに落ちても底には惨事しか待っていません。
    残念ながら、この件に関し、苦難と努力に終りはないと考えてます。
    だからこそ、大岩が落ちきる前に何とか踏みとどまり、大岩を少しでも高みに保つ努力をし続ける必要があります。

    問題は、愚者の結論は常に大岩の位置エネルギーが最低であるということですが……やれやれ。
    (とりとめないコメントで申し訳ありません)

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    1. ある意味激動の時代と言えるのでしょう。
      僕もまさか、昭和、平成を生きて、その次の時代まで、という事態になるとは思いませんでした。その事の意味を考えることもありませんでしたしね。
      しかし、日本において時代が変わるというのは、歴史が変わると言う事でもあります。次の時代に、日本がこの世界を生き抜く為にも、考え方を変えていくべきなのだと思います。
      その為には憲法もね。

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