誤報を垂れ流す共同通信社

ある意味誤報よりも質が悪い。

「真珠湾攻撃忘れないぞ」

2018/8/29 07:44
米紙ワシントン・ポスト電子版は28日、トランプ大統領が6月にホワイトハウスで安倍晋三首相と会談した際「(第2次大戦の)真珠湾攻撃を忘れないぞ」と前置きした上で、難航している通商問題の協議を始めたと伝えた。異例の発言の背景には、対日貿易赤字の削減を目指し圧力を強める狙いがありそうだ。
今日取り上げるのは、この記事の話だ。
真珠湾記念館
劣化が特に激しいと揶揄されている共同通信だが、この共同通信社の記事が酷い。

冒頭の記事を少し分解していこう。
米紙ワシントン・ポスト電子版は28日、トランプ大統領が6月にホワイトハウスで安倍晋三首相と会談した際「(第2次大戦の)真珠湾攻撃を忘れないぞ」と前置きした上で、難航している通商問題の協議を始めたと伝えた。
先ずはこの部分だが、ワシントンポスト紙の引用である。

‘I remember Pearl Harbor’: Inside Trump’s hot and cold relationship with Japan’s prime minister

August 28
During a tense meeting at the White House in June, President Trump caught Japanese Prime Minister Shinzo Abe off guard with a pointed remark.
“I remember Pearl Harbor,” the president said, referring to the surprise attack that propelled the United States into World War II.

この記事の引用だと思われるのだが、原文を読んでみるとかなり長い。にもかかわらず、共同通信社は最初の引用した部分だけしか読んでいないかの如く報道しているのである。
そして、自身の解釈としてこう付け加えている。
異例の発言の背景には、対日貿易赤字の削減を目指し圧力を強める狙いがありそうだ。
こう解釈した理由はこちら。
 米国では真珠湾攻撃は「卑劣なだまし討ち」との見方が強い。日本側の弱みと見なしてトランプ氏が通商交渉で譲歩を引き出すために、あえて日米首脳会談で触れた可能性がある。
「可能性がある」って、そりゃ、可能性はあるんだろうよ。
ワシントンポスト紙の内容をしっかり読んだとは思えない
だが、ワシントンポストのこの記事には奇妙な文脈が幾つか見て取れる。
例えばここだ。
“Abe was completely ignored,” said a person close to the Japanese prime minister.
どういうわけなのか、記事中に「a person close to the Japanese prime minister」の発言を紹介しているのだ。首相に近い人物、という表現になっているが、日本語的に言うと「政府関係者」と言う事になるだろう。
その関係者が「安倍氏は冷たくあしらわれた」と、いや、直訳すれば「完璧に無視された」という風になるのだが、日本側からの発言をここで引用しているのである。その上で、日本の外交官の発言として紹介しているのがこちら。
During heated exchanges, Japanese officials say Abe waits for Trump to make his point, and finds an opening later on in the conversation to rebut him. “He understands if he categorically denies what the president says, it might hurt the president’s pride,” one Japanese diplomat said.
Another diplomat said that he could not explain Trump’s Pearl Harbor reference but added that the president relishes historical references and frequently brings up Japan's “samurai past.”
日本の外交官は「Trump’s Pearl Harbor reference」について、「説明できない」或いは「否定することは大統領のフライドを傷つける」(だから否定しなかった)と理解しているとある。
ただし、その後で「Japan's “samurai past.”」つまり、「発言に侍の事を良く持ち出すんだ」と付け加えている。

そして、更に後の方でこんな記述がある。
“Despite a deterioration of their personal relationship, it’s still quite easy for Abe to ask for a phone conversation with Trump, and this happens quite regularly,” said Andrew Oros, a Japan expert at Washington College in Chestertown, Md.
Analysts attribute the latest downturn in relations to the simple reality that Abe now needs Trump much more than Trump once needed Abe. The Japanese leader has come to the president with a range of requests, including assistance on the abductees issue, tariff exemptions, and clarifications on oil import sanctions with respect to U.S. withdrawal from the Iran nuclear deal.
安倍氏とトランプ氏の関係悪化を、オロス氏は指摘しているが、その上でも定期的に電話会談をやっていると。そして「quite easy for Abe to ask for a phone conversation」とある様に、安易に電話会談をやっているとも指摘している。
これ、本当に関係悪化したと言えるのだろうか?
いやまあ、関係悪化に関しては少し上の方に書かれていて、主に貿易に関する理由が触れられ、トランプ氏の要請に対して安倍氏がきちんとした回答を出していないから、トランプ氏を怒らせたというような事がある、とされている。それが個人的な関係悪化に繋がるかどうかは怪しんでいるが、まあ、可能性はあるんだろうな。
さておき、その下の文脈で何を言っているかというと、アナリストの分析として、「安倍氏がトランプ氏を必要とする関係じゃ無くって、トランプ氏が安倍氏を必要としているんだ」とその様に指摘している。
そして、拉致問題の援助やら関税免除やらイラン核合意に関する石油輸入制裁に関する明確化など幅広い分野で協力をして行くといった事が指摘されているワケだ。

つまり、ワシントンポスト紙はかなり多岐に渡って安倍氏とトランプ氏の関係について指摘しており、そうした上で、「私は真珠湾攻撃を覚えている」という文脈を使ってタフな交渉をしたのだろうと分析しているのだ。
「真珠湾」発言は経済に関係無い
ところで、後日この共同通信の記事は否定されることになる。
しかし、関係筋などによると、この時トランプ大統領は、「日本はかつて真珠湾を攻撃したほどの軍事強国であったじゃないか」と。
「防衛費をもっと増やすべきだ」という意味で発言したもので、通商問題で日本を非難する意味ではなかったとしている。
また、トランプ大統領は、「パールハーバー」と発言したものの、「あのひきょうな攻撃を忘れないぞ」という批判的な意味、言い方はしていないとのことだった。
https://www.fnn.jp/posts/00399751CX


FNN primeのニュースとして、「安倍氏に”不満”」としながらも、記事中にこんな文脈が書かれている。

FNNも往生際が悪いな。関係筋と発言を濁しているが、これ、アメリカ政府に確認をとったと言うことらしい。
実際に、虎ノ門ニュースではオジキこと須田氏がホワイトハウスに確認をして「否定された」と、その様に発言していて、そこからもこの発言の趣旨が、経済に対してされた発言で無いことを示唆している。

加えて、先ほど引用したワシントンポスト紙の記事についても、「侍」の話が出てきていたのだけれど、そうした事を踏まえても、「もっと自国の防衛をしっかりしてくれ」というような発言をしたのだと理解した方が正しいように思う。
確認をしなかった共同通信
では、この話の問題点は何処にあるのか?というと、共同通信がワシントンポスト紙の記事を引用して妄想を垂れ流した点にある。
 同紙によると、トランプ氏は真珠湾攻撃に言及した後、米国の対日貿易赤字について激しく非難した。
文末でこの様に結んでいるが、明らかにミスリードとかそうした話では無く、記事の構成上、「俺、ワシントンポストでこんな記事見つけちゃった!」的なしょうも無い記事であることは明白だ。
そして、その肝心のトランプ氏の発言の真意について、ホワイトハウスに確認すらしていないお粗末さ。

これが共同通信ソースとして、全国展開されるのだから、ヒドイ話である。

「真珠湾攻撃忘れないぞ」トランプ米大統領、安倍首相に圧力

2018.8.29 13:08
 米紙ワシントン・ポスト電子版は28日、トランプ大統領が6月にホワイトハウスで安倍晋三首相と会談した際「(第2次大戦の)真珠湾攻撃を忘れないぞ」と前置きした上で、難航している通商問題の協議を始めたと伝えた。異例の発言の背景には、対日貿易赤字の削減を目指し圧力を強める狙いがありそうだ。
~~略~~
 これに対し安倍氏は、トランプ氏の発言が終わるのを待った上で反論。日本政府当局者は「首相は大統領の主張を断定的に否定すれば、プライドを傷つけてしまうと分かっている」と説明した。
朝日や毎日は言うに及ばす、産経新聞までがこの為体である。
最後の一文はせめてもの産経新聞のプライドかもしれないが、これもワシントンポスト紙の中身そのままで、何かを確認したと言うことでは無い。
各紙、この後に「否定」の記事も出しているようだ。

真珠湾に関するトランプ氏の発言を否定

毎日新聞2018年8月29日 22時07分(最終更新 8月29日 22時07分)
 菅義偉官房長官は29日の記者会見で、米紙ワシントン・ポストが報じた真珠湾攻撃に関するトランプ氏の発言について「指摘のような事実はない」と否定した。外務省幹部も「確認したがそのような発言はなかった」と語った。
ただ、この記事もお粗末で、官房長官の菅氏と外務省幹部からの発言を紹介しただけで、ホワイトハウスに確認をとったわけでは無いようだ。

なお、朝日新聞はジェームズ・ショフ氏(記事中はJim Schoffとあるが、James L. Schoff氏の事だと思われる)の発言を引用して、記事に説得力を持たせようと試みている。
“The early value Trump gained from Abe’s mentorship now seems less important to him, and Trump probably sees Abe now as someone who is often asking for something but not giving Trump what he wants,” said Jim Schoff, a Japan expert at the Carnegie Endowment for International Peace.
これはワシントンポスト紙の記事の最後に書かれている内容だ。
トランプ氏は政権初期では安倍氏を必要としたが、今はそれほど重要視していないとある。まあ、そりゃそうだろう。当選当初は、安倍氏が長く日本のリーダーをやっていて各国のリーダーに顔つなぎのできる存在だった。政治経験が乏しかったトランプ氏にとってはこれ程便利な存在もあるまい。
そこから考えれば、言いなりにならない安倍氏に不満を持つというのは、ある意味当然なのである。

ただ、その事と真珠湾発言の真意が直接関係があるかについてワシントンポスト紙は言及していない。ワシントンポスト紙は、割と安倍氏に肯定的な意見も載せているのだが、朝日新聞は批判一辺倒の部分しか抜き出していない。如何に安倍氏が嫌いかが分かる話だな。

何れのメディアも、ワシントンポスト紙の内容から外に出ておらず、地方紙は殆どが共同通信の記事をそのまま載せる傾向にあるので、日本の新聞のほぼ全てが、「真珠湾攻撃を引き合いに、トランプ氏が安倍氏に圧力をかけた」と報道したことになる。

共同通信社の報道には、それだけの影響力があるわけで。だがしかし、ロクにワシントンポスト紙の内容を読みもせず、タイトルだけで煽るというのであれば、支社をアメリカに置く必要すら感じない。だって、ワシントンポスト紙電子版は日本にいても読めるのだから。

嘆かわしい限りだな。
発言の真意は確認出来ない
尤も、この手の報道では、発言の真意など確認のしようがないという、大きな問題を抱えている。
まさかトランプ氏本人に聞くわけにも行かないだろうし、聞いたとしても、その時の真意を語るかどうかは不明だ。
もちろん、ホワイトハウスにしてみても、大統領の発言はいちいちチェックしているだろうが、不都合な内容であれば「事実では無い」と否定することはありうる。事実、否定はされたわけで、真実がどうだったかはともかくとして、アメリカとしても「リメンバー・パールハーバー」を外交的に口にするつもりは無いようだ。

更に、日本側の外交官に問い合わせたところで、安倍氏としてはアメリカとの関係が良好であることを演出したいのだから、否定するだろうし、事実否定している。
となると、その時のテープでも無ければ確認のしようは無いわけで。

ただ、だからといって、関係各所に問い合わせずに記事を書くという姿勢は、どうにも報道機関としての姿勢に疑問を感じざるを得ない。
責めて両論併記という、それすら守れていないのだから、日本のマスコミの如何にだらしないことか。真実を追究する姿勢処か、都合の悪いことは報道しない姿勢というのは、国民にとっては害悪だけしか無い。



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