複合小銃K11、ついに戦力化中止か?

あの、世界最強の名を欲しいままにした韓国陸軍の名物銃はついに開発中止になっちゃった。え?まだ中断だ?いやもう、このまま中止の流れでしょう。

韓国軍:不具合相次ぐK11複合小銃に「戦力化中断」決定

記事入力 : 2018/08/04 09:33
 幾度もトラブルを起こしてきた韓国軍のK11複合型小銃にまたも問題が生じ、防衛事業庁(防事庁)は3日、「戦力化中断」決定を下した。K11複合型小銃は、既存の5.56ミリ小銃と20ミリ空中炸裂弾発射装置を一体化して火力を強化した新兵器で、第一線部隊に1分隊あたり1丁ずつ配分するというのが本来の計画だった。
どんなシロモノか?というとこちら。
Rifle_xk11
「あー、なんだ、普通の感じじゃん」と、思う人と、「一風変わった銃だな」と思う人と、それぞれ違うのだろ。
けれど、このブログでは何度も紹介しているので「ああ、アレね」と思う人の方が多いと思う。
これだけ記事のネタを提供してくれれば、もはや感謝の気持ちしかない。
K-11K-11_thumb
この銃、そもそもコンセプトからして不味かった。
これがK11を構えている様子なのだが、結構デカイ銃だということがわかって頂けると思う。え?銃の大きさなんてよく分からない?
そりゃご尤も。



先ずは大きさ的な話から。

例えば、アメリカ軍が利用している銃だとM4カービンという銃がある。口径が5.56mmで、銃身の長さが370mm程度の、銃身の比較的短い小銃があるが、重量は弾倉を除いて2680gである。
同じくアメリカ軍で使われるM16自動小銃(AR-15)は、口径が5.56mmで、銃身の長さは508mm、重量3500gだ。M4はM16を小型化したという位置づけである。

これらのライバルと呼べるのがAK-47というロシア(ソ連)の自動小銃なのだが、銃口7.62mm、銃身長415mm、重量3900g。M16より重いが劣悪な環境下での信頼性が極めて高く、テロリスト御用達の銃となっている。

なお、韓国はK2と呼ばれるアサルトライフルを採用していて、口径5.56mm、銃身長465mm、重量3370gで、M16ベースの銃であるとは言われているものの、割と好評らしい。え?M16を採用すれば良かったんじゃ無いかって?いやまあ、自国で作る事には意味があるんだよ。

さて、ではK11は?というと、銃身長250mmで、重量は7100g(未装填:供給開始当初)というものらしい。やたらと重いわけだが、その理由はアサルトライフルにグレネードランチャーがくっついた、「複合小銃」と呼ばれるシロモノだからである。

しかし、K11に付属しているグレネードランチャーは口径が20mmと小さく、威力が小さすぎると不評なのだが、そもそもグレネードランチャーのこれまでの使い方であれば、口径40mmのM203グレネードランチャーと呼ばれるM16やM4の銃身下にくっつけるタイプのもので問題無い。M203は単体でも使えるらしいけど。
K11では従来型のグレネードランチャーではなく、エアバーストグレネードランチャーXM25 IAWSのような運用のできる、目標を補足した後その距離を測定して、敵頭上で炸裂弾を炸裂させる機能があるのだという。よって、単純にグレネードランチャーが付いているわけではなく、そこに意味があるのだ。

なお、重さに関しては今年の報道で10%程重さがカットされたとか。現在の重量は6100gだとのこと。それでもアサルトライフルとしてK11を使うとすると十分に重いけどね。



で、アサルトライフルが重いと、歩兵としては運用時に疲労感が強くなり、エアバーストグレネードランチャーの出番がそれほど多いとも思えない。もちろん、分隊支援の目的で配備されるらしいので、それなりには意味があるとは思うのだけれど、それだったらアメリカ軍がXM29 OICWから方向転換したXM25 IAWSみたいな割り切りが必要だと思うんだよね。確かXM25 IAWSは2kgを切っている。

だって、実に3kgのデッドウェイトを手で持って作戦を実行しなければならない事を考えると、兵士への負担はかなりのものになると考えられるからだ。もちろん重量だけでなく、大きさもネックとなる。
一般的に用いられるアサルトライフルに比べて太く、大きくなるので、取り回ししにくいという問題が出てしまう。また、銃身の短さが射程などの問題にも影響すると考えられる。

更に、弾頭には複雑な信管が組み込まれる必要があり砲弾が高価になるなどの問題も抱えている。

これは、このK11複合小銃のオリジナルに当たるアメリカが開発を試みたXM29 OICWも同じ問題を抱えていて、アメリカ軍はこのXM29の開発を諦めてキャンセルしているが、殆ど同じ設計にしたK11はそのまま開発が続行されて、配備されるに至った。アメリカ軍とは運用シーンが違う想定であれば、それでも良かったと思うんだ。

そうそう、でもK11の問題点として、バッテリーが切れると照準装置が使えなくなるという問題も指摘されていたね。照準装置は複雑な計算や炸裂弾の起爆なんかをする為、バッテリーは必須。でも、バッテリーが切れた瞬間に、単なるアサルトライフルとしても使えなくなる始末というのは困りものだ。その為の重量はまた増えちゃうんだけどね。

まあ、そこまでであれば「使いにくくて重い銃」というだけの話だったのだけれど、残念な事にリコールが度々発生する羽目に。

その辺りを簡単にまとめておくとこんな感じだ。
  • 2010年5月より国内部隊への供給開始
  • 2010年11月までに不良率の高さ(47.5%)などから供給中断
  • 2012年5月に全量リコール
  • 2014年3月、テスト中のK11の信管が爆発し、3名が負傷
  • 2014年5月、電磁波影響性を調べた結果、本体に磁石を近づけるだけで爆発することが発覚
  • 2015年1月、ネジの緩みや本体への亀裂など製造上の欠陥を発見し納品中止
  • 2015年4月、電磁波影響性を調べた結果、低周波や高周波の影響を受けることが確認される
  • 2015年5月、試験検査の不正が発覚し、3人が逮捕される
割と悲惨な運命を辿っているな。

で、ここまでやっておいて、それでも再設計されて重量を軽くした上で(7100g→6100g)、供給する予定だった。
初期バージョンで試験運用するために作られたのが約900挺で、軽量化や改善が成されたために全て破棄される流れとなった。その額138億ウォン(14億円相当)と見積もられている。単価は1,537万ウォン(154万円相当)だというから、なかなか高価な銃だ。この他に、240億ウォン相当の砲弾も破棄されるはずなので、既に38億円分ほど無駄にしている計算になるな。

それでもここで撤退しておけば、それでもまだマシのような気がするんだけど……。
しかし防事庁は3日、「K11複合型小銃52丁を今年9月に韓国軍へ納入するのに先立ち試験運用する過程で、このうち1丁に問題が発生し、原因究明を行っている」と発表した。演習弾を利用して射撃の実演を行う過程で、薬きょうが銃の外に排出されないという現象が発生したのだ。薬きょうが銃の内部に引っかかると銃身に圧力がかかり、爆発の危険が高まる。防事庁は「銃の問題なのか、弾の問題なのかを明らかにしなければならない」として、既に支給されたK11小銃の運用も中止させた。
K11の薬莢が排出されないという問題が発覚。

これ、5.56mmNATO弾の方だったら目も当てられないが、20mm擲弾の方だとすると、今回の設計改良が響いている可能性もある。どちらに転んでも良い話じゃないな。
戦力化が2度にわたって中断され、昨年はK11関連予算が大幅に削減されるという紆余曲折を経て、ようやく戦力化作業を再開しようとしたところにまた問題が生じたのだ。防事庁の関係者は「銃に欠陥があると確認されたら、設計変更等の補完作業を経て再び生産に入る計画。今後6カ月間の生産中断は避けられなくなった」と語った。
過去には、グレネードを13回撃ったら本体に亀裂が入ったとかいう話もあって、その後に設計変更されて1kgのダイエットに成功と言われているんだけど不安しか無いな。



戦力化中断は3度目だけど、現在その予算は相当ガッツリと減らされているらしい。

そうなるといよいよ戦力化中止という流れになりそうなものなんだけど、そこは譲れないのか、再び出直しの可能性は残されている。

でも、そもそもコンセプトに問題があるんだから、どれだけ努力しても無駄のような……。



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コメント

  1. 米軍のM4開発のときに5.56mm弾で必要な威力が出せる最短の銃身長が14.5inchということで
    M4の銃身長が決定されているで、10cm以上短いK11は専用の弾丸でも用意しないと威力不足
    なのは明らかでしょう。(銃身長が短くなるとより燃焼速度の速い火薬でないと威力不足になる
    逆に銃身長が長い銃で燃焼速度の速すぎる火薬を使用すると銃身にダメージを与える恐れがある、
    このため専用の弾丸にすると同じ5.56mm弾でも供給に不都合が出てくることになる)

    K11なんかは米軍が同様のコンセプトの銃を諦めたときに見切りをつけて、米軍がM16からM4へ
    移行したようにK2をベースによりコンパクト化してピカティニー・レールを装備したK2C1(2016年から配備を開始した韓国版M4)に予算をつけて老朽化したK2からの切り替えを急いだほうが
    良かったと思うけどもう散々無駄金をK11につぎ込んでしまっているからどうするんだろ?

    予算を

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    1. いやー、K11のコピー元のXM29 OICWも銃身長250mmと短いんですよね。コンセプトから丸パクリというのがよく分かる話なんですが、どう言う運用を前提にしているのでしょうね。
      バラマキで、敵の足止めをするのが主な目的なんでしょうかね。

      K2C1の方は意外と評判は良かったようですが、ハンドカバーが発熱して大変、とかいう報道がありましたよね。その後、続報を見ませんから無事に改良できたのでしょう。
      K11みたいに頻繁に報道される銃の方が珍しいのかも?

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    2. ハンドカバーの過熱は本家M4でも言われていますが、実際弾倉を交換しながら100発
      以上ばらまく状況は少ないだろうし断熱素材や放熱性向上、軍手による対応とか
      対応はK11の機構的な問題と違っていくらでも主要コンポーネントに影響なく改善
      できるのでやる気があれば問題ないでしょう多分(お笑い韓国軍ではちと不安)。

      本家M4も銃身長をM16より短くしたことで放熱性が悪くなったんですよね、K11はM4や
      K2C1より短い銃身だけどハンドカバーが20mm榴弾の銃身もカバーする構造でごついから
      たまたま過熱が問題にならなかったのかな??

      削除
    3. 失敬、ハンドカバーではなくハンドガードでした。

      で、ハンドガードネタでは、色々調べてみるとAR-15でもフルオートで撃つと500発ほどで煙が出るとかいう話がチラホラあって、800発撃つと溶けるとか。
      銃弾が銃身を通過していきますから、摩擦熱で熱くなるのは当たり前の話。それを覆うガードが過熱しちゃうのも無理はないのですが、これが100発レベルで、となると流石に「つかえねー」という評価が出てくるかもしれませんね。そういう意味では銃身が短いのはメリットもあるのかも?(苦笑

      M4の放熱性などの文献が探せなかったので、想像を交えて書くと、M16からM4にカービン化するにあたって、発熱要因が減るハズが、放熱性が悪くなるという結果を招くという、実際に使ってみないと分からない問題も出てくるワケで、銃の設計というのは、単純なようでかなり難しい問題を孕んでいるんでしょうな。

      そういった問題を1つ1つ潰してく根気が、韓国にあると良いのですが……。

      削除
    4. あるけむ(R.K.M)@fwbc1965_32018年8月7日 15:59

      >K11のコピー元のXM29 OICWも銃身長250mmと短いんですよね
      XM29 OICW のたたき台になった、H&K XM8の銃身長を見ると、241mm(PDW型) 318mm(基本型)508mm(狙撃銃・分隊支援火器型)の3種類があるようです。
      ※PDW(Personal Defense Weapon、パーソナルディフェンスウェポン)≒ライフル弾を使用する短機関銃
      ※M4カービンの銃身長は、368.3mm
      ということで、K11やXM29 OICWのライフル部は、近接戦闘における「銃剣」の代わりかと考えます。

      そもそも、この手の火器を小銃手全員に持たせるとは思えません。分隊支援火器として、分隊に一丁または二丁程度を配備するくらいだと考えます。
      普通は、分隊(八名編成)で、指揮官(カービン装備)、グレネードランチャー手×1、軽機関銃手×1、小銃手×5(カービンorライフル装備)ぐらいじゃないでしょうか。

      削除
    5. PDWですか。
      分隊支援という名目で配備されるような記事は見かけましたが、しかし、北朝鮮相手に有効なんでしょうかねぇ?どちらかというと市街戦闘向きの武器に分類されると思うのですよ、K11は。
      イメージですが、K11は北朝鮮側に侵攻していく意味では、あまり役にはたたないのかなと。寧ろ、ソウルを防衛する方面では役に立つのかも知れませんが。

      そして記事では見かけませんが、K11の開発継続の意義としては、少子化による部隊の少人数化を目指して、色々な機能を詰め込もうという発想のように感じていましたので、結局器用貧乏にしかならないというか……。
      ともあれ、全員に持たせないというのは、その通りかと思います。

      削除
  2. 関係者の懐を温める為だけの物なので問題無いのではないかと。
    韓国軍の装備に実用上の合理性を求めてはダメです、でも中止となるとコレで潤っていた連中が中央から排斥の憂き目に遭っていると言う事でしょうか?普通なら何年も前に中断して然るべきものをダラダラと続けていたのですから。

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    返信
    1. いやでも流石に、仕えもしない銃にいつまでも予算をつけてはいられないでしょうから、問題が無いとは言い切れないでしょう。一番良いのは生かさず殺さずという感じなのかも?

      まあ、このK11の開発も未だ続けられそうですけどね。

      削除
  3. 世界的には、対テロ戦争などの非対称戦争がメインになったためOICWは要らない子という流れでしたが、韓国には一応北朝鮮歩兵との塹壕戦が想定されていたので、開発の価値は一応あったのでしょう。
    それが中止ということで、北朝鮮との歩兵戦はもう無くなったという意思表示なのかもしれません。
    あとは100発撃つと熱くて持てなくなるK2C1もどうなったか気になります。

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    返信
    1. 非対称戦争でもOICWのコンセプトは有効の様な気がしますよ。
      とはいえ、アメリカはXM25 IAWSの方に移行してしまい、アサルトとグレネードを統合するのは敬遠する方向で進んでいるようですけど。

      北朝鮮との歩兵戦ですか、戦闘に発展すれば結構有効な気もしますけど、まともに使えない兵器ではどうしようもありません。

      削除
  4. 7kgから6kgて1割以上の軽量化は端々に影響出てそうですねぇ
    ただでさえ品質に不安があるのに、薄肉化とかしてたら砲身もすぐ寿命になりそう。
    と言うか、全体の機能がバッテリー駆動で重いなら、いっそバッテリーを外付けにして腰辺りに装着すればいいのになぁ……1kgの軽量化がソレだったら笑うしかないけど。

    まぁ、ぜひとも「ぼくのかんがえたさいきょうのらいふる」目指して浪費道を突き進んでいただきたい。

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    1. 何処を削ったかは非常に気になりますが、1kgダイエットってかなりの重量減です。
      そんな簡単に減らせるレベルの重さじゃない訳で。

      バッテリーをハズしたら確かに1kgくらい減らせそうですから、バックパックから有線で繋ぐような形が良いのかも?「ぼくのかんがえたさいきょうのへいき」は韓国軍お得意の分野なので、ぜひ頑張って欲しいですな。

      削除
  5. 今回は体感覚で書きたいので、
    他読者の方のコメントも木霊様の返信も読んでません。
    ですので、誤解あれば全て渡しの責任です。

    馬鹿でないの。まだ騒いで単だ。と。
    これズターウォーズとかガンダムとかなら使えるのかも知れませんが、リアルにはアホすね。

    暗視鏡付スコープみたいですが、てことはある程度の狙撃もする訳ですよね?
    肩当てして銃床に頬を当てて撃つのを考えたならば、重心が前に寄り過ぎる。
    それも重心が長くて重いならともかく短いでしょう?
    不自然なんです。
    これじゃ狙う時に重すぎて、支えが弱くなる。当然にブレるし、銃口で数ミリをズレれば、それは標的と距離が離れる程、狙点からズレますね。
    ではサブマシンガンの様に至近での制圧重視かと言うと、これはまたゴテゴテし過ぎる。
    だいたいランチャーを付けるのはベトナムみたいな遮蔽物(密林)だらけの用途です。市街戦闘用にムダにゴテゴテしてる。
    重い。
    一体、何がしたいのか(笑)
    ここまで来たら、電子レンジとか洗濯機を付けて多機能を極めて欲しいものですね!

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  6. くどいようですが。
    銃はどうしてもトリガーを絞る時に銃口が下がり気味になります。仕方ない。
    それでトリガーを引かずに絞る。具体的には引き金を指で引くのではなく、第二間接を用心鉄の外に張り出すように、外に出して、引っ掻けた指を絞るようにトリガーを落とします。
    冬夜の霜が降りるように静かに絞る。これが小銃の基本!
    このデザインでできます?
    これじゃ最初から前方に不必要な重心が掛かり、射手は力みます。当然にトリガーは「引き」気味になり、いわゆる「ガン引き」になる。
    する銃口は下がる。そこに前提で前重心なら確実にヒットしないです。何を考えて設計してるのですかね?

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  7. えぐノーベル賞とか、愚ノーベル賞とか、そんなの在りますね
    ここは木霊様が、愚兵器大賞とか作って頂き、是非1位に!

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