馬毛島の政府買収が年内合意、米軍訓練地に

珍しい名前だから覚えていたが、この島、普天間基地の機能移転の候補地にもなってたよね。

馬毛島買収、年内合意へ 米軍機の訓練移転

毎日新聞2018年11月29日 06時00分(最終更新 11月29日 10時17分)

 米空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)の移転候補地になっている鹿児島県西之表市の馬毛島(まげしま)を巡って、政府と地権者の交渉が年内にもまとまる見通しになった。

馬毛島

場所は種子島の近く、という事らしいね。

さて、過去の記事もリンクを貼っておきたい。

普天間訓練移転としてあるが、オスプレイなどの訓練ということらしい。そして、この案には、故翁長氏も「前向きに検討」という言葉を発していて、反対する勢力は無いのでは?と思われていた。

国内でFCLPの騒音被害に悩まされてきた自治体にとっては負担軽減につながる。政府は米海兵隊が沖縄県で実施してきたMV22オスプレイの訓練移転も視野に入れている。

で、ここで出てくるFCLPとオスプレイについてちょっと説明しておきたい。

FCLPとは、Field Carrier Landing Practice の略称で、要はタッチアンドゴーの訓練をするというお話。

fclp

当然ながら、同じ所を戦闘機などがブンブンと飛び回ることになるので、騒音には気を遣う必要がある。戦闘機にしろ、ヘリコプターにしろ輸送機にしろ、とにかく離陸の時が一番煩いからね。

以前は、硫黄島なども使って訓練をやっていたみたいだけれど、岩国基地から近いこの場所が確保できれば、そりゃ米軍にとっては大きな意味がある。

ついでに新田原や築城からも近いので、航空自衛隊にも願ったりという事になるだろう。


関連あるニュースとしてはこちら。

鹿児島・馬毛島を海・空自拠点に 中国脅威防衛強化 F15戦闘機展開

2018.7.15 07:09

 防衛省が、米空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)の移転候補地となっている鹿児島県西之表(にしのおもて)市の馬毛(まげ)島を海上・航空両自衛隊の拠点として活用する方針を固めたことが14日、分かった。中国の脅威を踏まえた南西防衛強化の一環で、訓練に加え、有事での空自戦闘機の分散配置の拠点にする。馬毛島の土地買収に向けた調整と並行し、活用方法の検討を加速させる。

plt1807150006-p1

こちらのニュースは今年の7月のものだが、「有事での空自戦闘機の分散配置の拠点にする」とか書かれている。

それはそれで素晴らしいが、しかし、この際基地も作っちゃった方が良い。

 現行の態勢では米軍横須賀基地(神奈川県)に配備されている原子力空母ロナルド・レーガンの洋上展開前に、FA18戦闘攻撃機などの艦載機パイロットが陸上離着陸訓練を行う。艦載機は3月、厚木基地(同県)から岩国基地(山口県)に拠点を移しており、岩国基地から馬毛島に展開し実施する。期間は年間2週間程度で残りは滑走路が空く。

 そのため防衛省は海・空自の航空機訓練に活用。海自は鹿屋(かのや)航空基地(鹿児島県)のP3C哨戒機、空自は新田原(にゅうたばる)基地(宮崎県)のF15戦闘機が馬毛島に展開し、離着陸や防空などの訓練を行うことを想定する。

ほうほう。

まあ有効活用できて良いんじゃあ無いですか?

ところで、この7月のニュースで気になる部分が。

 空自は短距離滑走離陸・垂直着陸が可能なF35Bを導入し、新田原基地に配備することを検討。海自もヘリ搭載護衛艦いずもをF35Bの離着艦可能な空母に改修することを検討しており、F35Bといずもが馬毛島を拠点に訓練をすることも視野に入れている。

この時点で「検討」とあるけれど、確定路線だったんすねぇF-35B導入は。

昨日はこんな記事を紹介したが、結局F-35戦闘機を追加購入することは決まっていて、後は何機買うか?という話だったんだ。

しかし、空自が保有するF-35Bに、海自も保有する事を検討しているように読めるね。


で、以前の記事にも書いたのだけれど、この馬毛島の話はちょっと込み入った話がある。

この馬毛島、一時期人が住んでいた島だったが、河川が無いなどの理由もあって、現在は無人である。農業開拓団が入植してサトウキビ栽培や酪農を営んでいた時期は113世帯528人程の人が住んでいたらしいけれども、1980年には島民全員が島外に移住。

その土地を、1974年設立の馬毛島開発株式会社なる会社が買収し、現在はタストン・エアポート社という会社が土地を保有しているのだが、ここの当時の代表の立石勲氏がなかなか癖のある人物で、開発を進めて高値で売却しようと画策していた時期があるようなのだ。

同グループの立石勲代表がインタビューなどで語ったところによれば、「これまでに150億円を投資した」ということで、確かに島には、南北4200メートル、東西2400メートルの滑走路が設置されている。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/50809

この巨大滑走路がこちら。

馬毛島航空写真

凄い話だな。

この開発のお陰で、土砂の流出などが問題となり、地元の種子島の漁師達に訴えられるような事態に発展して、また無理な開発のために多額の負債を抱えていたので、タストン・エアポート社は「200億円で売る」と言い張っていたのである。

一方で、防衛省の用意出来る費用が50億程度だったと言われており、この溝を埋めることはハードルが高かった様なのである。

ところが、今年の10月に社長が交代したことで、この話は一気に進むことになる。

 こうした中、今年10月に同社の社長が交代。新社長は価格交渉に柔軟な姿勢に転じ、政府との協議が進展した。岩屋毅防衛相は10月26日の記者会見で「FCLP施設の確保は安全保障上、極めて重要な課題。協議を加速したい」と述べた。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181129-00000000-mai-pol

政府が出す費用は110億~140億円程度という事になっているが、随分と奮発したものだな。実はこのタストン・エアポート社、今年の6月27日付けで破産申請を行い、破産手続を進める話になっていたという。


さて、そんな馬毛島だが、政府の思惑通りにいくかというと、なかなかそうは行かないようで、未だハードルは残っている。

それが、タストン・エアポート社とも利害が対立する西之表市である。

馬毛島活用について

 本市では、平成29年5月から市役所職員で構成する検討チームを設置し、馬毛島活用の方向性を検討して参りました。

 検討された方向性としては、1.宇宙関連事業、2.馬毛島自然保護区及び自然・文化総合学術調査施設の設置、3.馬毛島における体験活動の実施の3点でありますが、これらの馬毛島に係る活動に必要な土地購入や施設整備活動に必要な資金確保のため、「馬毛島トラスト(仮称)」の創設を検討します。

 詳細は資料に示していますが、ご意見やご不明な点などございましたら、市役所企画課政策推進係までご連絡ください。

いやまて、アンタん所の土地でも無いのに、何故こんな計画が……?


この計画阻止には地元の漁協の影響があったようだが、流石に資金力の面でも上手く言っていなかったようで、この話も頓挫気味である。

馬毛島の米軍施設等移転に関する問題について

西之表市街地から約12キロメートル先の海上に浮かぶ馬毛島については、米軍空母艦載機離着陸訓練施設(FCLP)の移転候補地となっています。
平成23年6月21日、日米両政府が日米安全保障協議委員会(2プラス2)を開催し共同文書を発表しましたが、その中で在日米軍再編の一環として馬毛島が米軍の空母艦載機離発着訓練の恒久的な施設の候補として明記されました。
このことから、平成19年4月に「米軍空母艦載機離着陸訓練施設馬毛島問題対策協議会(現:米軍基地等馬毛島移設問題対策協議会)」(以下、「協議会」という。)を設置し本問題へ対応してまいりましたが、中種子町及び南種子町の離脱により、本問題の主地域である種子島の関係自治体のほとんどが離脱した状態での本協議会の存続が極めて困難であり解散が妥当であるとの見解から、平成30年2月16日に本協議会を解散いたしました。

ここのサイトを見ていくと、2007年に馬毛島開発社長が米軍機訓練誘致を表明したのを受けて、反対組織を立ち上げるに至っている。

そして、面白いことに民主党政権でも積極的に馬毛島への軍事拠点移転を推進していたようで、当時防衛大臣だった北沢氏は積極的に動いていた模様。

反対派は、馬毛島にすむ鹿、馬毛鹿をレッドリストに載せるなどの活動を展開していたが、調査が不十分で、2016年には「分類上の位置付けが明確でないとして「馬毛島のニホンジカ」」に改められる。毛が無くなったら馬鹿という感じのこの哀れな鹿は、けっきょっくの所、ダシに使われただけなのだね。

なお、西之表市は今後も反対運動を続けていく方針である様だ。

 馬毛島は無人島。岩国基地からの距離は馬毛島が約400キロ、硫黄島が約1400キロで、米軍にとっても移転はメリットがある。交渉がまとまれば、政府は地元に説明し、理解を求める方針だ。昨年3月の西之表市長選では移転反対派の八板俊輔氏が初当選した。ただ、八板氏は就任後に「ニュートラルな立場」を表明し、市民には経済効果への期待もある。一方、地元医師会や漁業者の一部は移転に反対している。

https://mainichi.jp/articles/20181129/k00/00m/010/186000c

そんな訳で、そう簡単に話は纏まらないのかも知れない。

ただ、悪い話ばかりでも無いので、西之表市にとって有利な交渉を進める事ができれば、この話ももうちょっと進展するんじゃ無いか、と思う。

漁業補償などと言う話は出てくるだろうしね。


何れにしても、日本防衛にとっては必要な話である。アレだな、辺野古移設の話も絡めて普天間の機能を一部移転し「沖縄の基地負担を軽減」と主張するなどというテクニカルなことをやれば、落とし所が図れるのでは無いだろうか?




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コメント

  1. 馬毛島への訓練移転の話は注目していたんですが、ご指摘あった通りかなりややこしい地権者だった様で半分諦めていましたが、地権会社の破綻が夏頃に報じられどうなるか再度ウォッチしていました。

    まだまだ紆余曲折がありそうで楽観はできませんが、日米安保を総合的に観た時に悪い話じゃないと思います。
    まず、岩国の艦載機F-18の発着訓練がメインですが、これに加え近隣の空自・海自所有の機体を使えるメリットは大きいですね。

    また、陸自のオスプレイの発着基本訓練でも利用可能じゃないかな?
    沖縄・佐賀から1時間くらいで飛来できますから、配備された地元がクレームをつける離発着時の騒音被害とリスクをやりようによっては半分以上軽減できるでしょう。
    木霊さんが仰る様に辺古野移設による負担軽減策とセットで打ち出せば、今後沖縄県民の理解をかなり得られる様に思います。

    そして、アメリカ海兵隊に配備確実なF-35Bの発着訓練もこの馬毛島でやればいいし、「いずも空母化」が現実化すれば海自のF-35Bも基本の発着訓練が可能となります。

    しかし、滑走路が2本で1本は4000m超とは、中々大胆な着想だったようで・・・。
    島自体を良く見ると滑走路は十字に配置されていますから仮宿舎どころか、島防衛と支那封じ込め対策の一貫としれ砲兵部隊をメインに数個大隊も駐留できそう。
    海岸線を利用して西部方面特科連隊の島嶼防衛訓練にも有効利用可能じゃないでしょうか。

    バックアップの付帯設備として燃料&弾薬備蓄もできそうですし、西之表市とは10kmあまりの距離なんで、フェリー航路を開設し米軍&自衛隊が短期駐留できるようにすれば休暇時の兵が集まり市政は確実に潤うでしょう。
    ただ島民もいないし生活インフラまで整備するのはメリットなそうそうなんで、仮に陸自や米海兵隊が駐留するにしても2~3ヶ月のローテーション駐留が限度かな?

    なんかいい事ずくめと考えちゃうのは僕が楽観的過ぎるからかなァ~?(苦笑)

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    1. ご指摘の話は、まさに馬毛島開発が狙っていた話なんだと思いますよ。
      地理的条件もかなり良好ですし、何なら普天間基地を移設出来るような事まで考えていたんじゃ無いのかと。補給は種子島が近くにありますから、やれると思うんですよね。

      西之表市とも10km程度の距離ですから、フェリーでOKですもんねぇ。漁業だけで喰っていくというわけにはいかないでしょうから、その手の産業で潤うこともあると思います。確実に西之表市にメリットのある話なんですよね。

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