ファーウェイ排除とエシュロンの暗躍

以前の記事では、ファーウェイ(華為)に対する情報漏洩のリスクという観点で記事を書いたのだけれど、今回は別の視点で記事を書いておきたい。

中国の省トップが次々にファーウェイを視察、「発展を断固支持」などと発言

配信日時:2018年12月16日(日) 22時0分
中国メディアの新浪網は15日、湖南省、江西省、雲南省の共産党委員会書記らが11日から14日にかけて広東省深セン市に本部を置く華為科技(ファーウェイ)関連企業を視察したと紹介する記事を掲載した。各書記は「断固として支持する」などと述べたという。
中国では省や市など行政区画ごとに共産党委員会が設けられている。共産党委員会は該当地域の行政・立法・司法などすべてを指導する立場で、委員会トップの書記は地方政府トップの省長などより立場が上の「省トップ」ということになる。
支那の地方政府が為華……じゃなかった華為の支援、支持を表明したというニュースだが、これは支那共産党が公式に支持を表明したに等しい話でもある。
視察状況
支那としても、今回の華為の問題について簡単に折れるつもりは無いという意思表明であろう。
さて、前回、このブログで書いた記事はこちら。
記事では、アメリカが「安全保障上」の問題であるとして、華為の排除を画策していて、それは今に始まった話では無いよという事を指摘している。
その背景にあるのが、アメリカからの技術盗用が疑われる支那の動きなど、指摘させて貰ったけれど、実はこれだけでは片手落ちな話なのである。
影の情報組織ファイブアイズ
何が語られなければならないのか?というと、UKUSA協定(ウクサきょうてい)、ファイブアイズの国々の話である。
ファイブアイズの構成員は以下の通り。
  • アメリカ合衆国 : アメリカ国家安全保障局(NSA)
  • イギリス : 政府通信本部(GCHQ)
  • カナダ : カナダ通信保安局(CSEC)
  • オーストラリア : 参謀本部国防通信局(DSD)
  • ニュージーランド : 政府通信保安局(GCSB)
このUKUSA協定の目的は、5カ国の諜報機関が世界中に張り巡らせたシギントの施設や盗聴情報を相互利用・共同利用するための結んだ協定のことである。かつては秘密協定だったので、文字通り影の組織といって良い存在だったが、今は条文の一部が公開されているので、「秘密組織」とは言えないね。
で、このファイブアイズが使っているコンピューターネットワークはエシュロンだ。
イギリス空軍基地
これは、イギリスの空軍基地に設置されているレーダードームで、シギント(通信傍受)のシステムだと言われている。

で、エシュロンの本拠地はアメリカにあり、様々な情報を盗聴して解析しているのだと言われていて、それをバラしたのが、エドワード・スノーデン氏だ。
このスノーデン氏、相当胡散臭い人物で、NSA及びCIAの元局員ではあるが、同時にロシア側のスパイでは無かったのか?という噂もある。実際、ロシアに亡命しようとしてロシアに滞在中だが、亡命が認められたかどうかはハッキリ分からない。

しかし、この時にハッキリわかった事はNSA向けのバックドアをマイクロソフトやグーグル、アップルなどが提供し、アメリカ政府が情報の全てを握ることが出来るような体制が構築されている。まあ言ってみればアメリカを始めとするファイブアイズ加盟国が、広く世界中から情報を収集し、ファイブアイズ加盟国に対して有利な状況を作っているという構図となっている。
程度の差こそあれ、世界の覇権をアメリカが握ることに貢献していると言っても過言ではない。

エシュロンに刃向かう支那
さて、こうした世界の情勢に対して、対抗する意思を持っており、その技術を有しているのが支那であり華為だ。
13日と14日には、先進的な改革開放の状況を視察するために広東省を訪れた共産党雲南省委員会の陳豪書記と同省阮成発省長らが複数の華為科技関連企業を訪れた。陳書記と阮省長は雲南省玉渓市のスマート都市建設についての同市と華為側の協力合意書の締結式にも立ち会った。
いずれの省の省委員会書記も視察に際して、「華為の発展を断固として支持する」「華為は中国の誇りだ。中華民族の誇りだ」などと発言した。
https://www.recordchina.co.jp/b671413-s0-c20-d0142.html
華為の発展を断固として支持すると、地方政府はもう完全に華為の為に存在するような状態だね。そりゃ、華為の工場があれば、その地方政府がどれ程潤うかは、言及するまでも無い。役人も華為からガッツリと賄賂を貰える立場である。
華為と心中する位の勢いだとしてもおかしくは無いね。

そもそも「中華思想」というヤツがあるけれども、華為が世界の覇権を握るというのはまさにその「中華思想」の体現でもある。

【環球異見】ファーウェイ事件と“米中冷戦” 環球時報(中国)「5Gの野望は妨げられない」

2018.12.17 11:0
 米国の要請を受けたカナダが、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の副会長兼最高財務責任者(CFO)、孟晩舟(もう・ばんしゅう)容疑者を逮捕(その後保釈)し、一方で中国当局がカナダ人男性を相次ぎ拘束した事件。米中欧メディアはいずれも次世代移動通信システム(5G)をめぐる「覇権戦争」が根底にあると分析。米中の対立は今後、世界が再び分断される“第2次冷戦”に発展する懸念も強まっている。
産経新聞は、華為を完全に悪者にする形で話を展開している。

ファーウェイのスマホは“危険”なのか 「5G」到来で増す中国の脅威

2018.11.29 11:14
 米紙The Wall Street Journal(ウォールストリート・ジャーナル)は先日、米国が中国の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」の製品を使わないよう友好国に要請していると報じた。日本でもこのニュースは大きく取り上げられた。
 実はこの問題、欧米の情報機関関係者やサイバーセキュリティ関係者の間で、以前から取り沙汰されてきた。筆者もこのニュースについては注視しており、これまでもさまざまな媒体で何度も記事を書いてきた経緯がある。
~~略~~
 筆者は少し前に、米政府機関で対外政策を担当してきた元高官と話をする機会があった。その際、元高官は繰り返しファーウェイがいかに安全保障に脅威であるかを語っていた。そしてこのままでは、5Gの時代の覇者は中国になりそうだ、と。

なぜなら、現時点でモバイル・インフラなどの5G関連機器などのシェアは、安価に機器を売りさばいているファーウェイなど中国勢が優勢だからだ。5Gで何でもネットに接続される世界になり、その通信機器など多くが中国企業の製品ならば、何が起きるのかはすでに述べた通りだ。中国政府が自在にネットワークを「支配」できてしまうことになりかねない。元高官はそれを恐れていた。
だが、この記事の中盤辺りに言及されているが、要はこの話はアメリカと支那との情報の世界における覇権争いなのである。
5G 規格は今や支那の華為の機器、規格に席巻されるような勢いになっているのである。
 米国は「ファイブ・アイズ(米国・英国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド)」と呼ばれる国々との間で諜報活動を共有する協定を結んでいるが、今年に入ってからは、中国の動きについて米国諜報機関などが収集した機密情報などを日本やドイツとも共有するようになった。つまり、中国に絡む米国の機密情報を日本やドイツなども知ることができるようになったのである。
結局、構図としては、ファイブアイズVS華為で、ある意味、覇権国家アメリカに対抗する支那という構図にも通ずるものがある。

習近平氏は、「アメリカと支那で世界を2分割して支配しよう」などという傲慢な台詞を言い放ったと言われているが、ネタではなく本気だったという事らしい。

アメリカに与するか、支那に与するか
実際の所、華為のCFOである孟晩舟氏の逮捕について、その容疑がイマイチピンとこない。

ファーウェイが関連会社使用しイランと取引疑い 孟晩舟容疑者が複数の米金融機関に虚偽説明か

2018.12.8 10:31
中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の副会長兼最高財務責任者(CFO)の孟晩舟容疑者が米当局の要請によりカナダで逮捕された事件で、カナダ西部バンクーバーの裁判所は7日、孟容疑者の保釈の可否をめぐる審理を開いた。
~~略~~
米国で有罪になれば禁錮30年以上の刑が科される可能性があるという。これに対し弁護側は、資産は国外逃亡の恐れと無関係などと訴え、保釈を求めた。
「詐欺」というが、その金額すらハッキリしない。

結局、これは2つの大国のエゴがぶつかり合った政治的な逮捕劇だったと言って良いと思う。そして、「じゃあ、日本はどちらに付くんですか?」という話でもある。
シンプルな話ではあるのだ。

ファーウェイとの相互依存、シリコンバレーに打撃

2018.12.11
 中国の華為技術(ファーウェイ)が世界の通信市場で圧倒的な存在になるうえで、米企業は欠かせない存在だった。
 ファーウェイはインテルからブロードコムやクアルコムに至る米ハイテク大手から大量の部品を調達し、基地局やルーターや携帯電話といった機器を生産している。今年ファーウェイが米企業から最大100億ドル(約1兆1200億円)の部品を調達するとの試算もある。中国による米国製自動車の輸入額にほぼ匹敵する金額だ。
支那はこの分野で覇権を採るために、恐ろしい程の金を注ぎ込み、世界中から技術者を集め、支那にお城のような技術研究所を建設している。
華為城
もはや、なんでもありだな。
世界中の天才が集まっているのだから、華為の覇権も納得である。

どちらが善でどちらか悪か、という分かり易い構図なら良かったのだが、どちらの神を崇めるのか?と、それだけの話でもあるのだ。まあ、日本はファイブアイズに加わるみたいな話もあるので、実質的に選択肢はないんだけどさ。



ランキングへの応援クリックよろしく!
にほんブログ村 ニュースブログ ニュース批評へ

コメント

  1. 現在のアメリカ中心の世界秩序で日本は少なくない既得権益を握っているのですから中国中心の新秩序に与するなど論外です。

    返信削除
    返信
    1. その辺りを「良いか悪いか」で判断しちゃうところが、ヤバイですね。

      削除
  2.  覇権国家とは経済的勝者になり、その経済力をバックボ-ンに軍事的絶対勝者がなったものが握ると私は考えています。その経済も軍事力も相手を出し抜き、優位に立つためには情報収集能力と、それを分析し真贋を見分け、活用する能力が不可欠です。エシュロンによる情報収集と(主にアナログ通信の傍受と言われています)プリズムによるデジタル監視システムは、現覇権国家であるアメリカだからできる、とても金のかかる情報収集、解析システムでしょう。
     私が思うに中国は、この目に見えるインフラに莫大な金のかかるエシュロン的な投資を、すっとばして、
    プリズム的なデジタル情報収集に特化し、優位に立とうとしてる気がします。まさしく集めたデ-タ-を解析、活用のための振り分けには、もはやAI無くしては不可能なことからも、中国のAIと通信技術に対する投資の大きさが物語っている気がしてなりません。

    返信削除
    返信
    1. アメリカは、情報と金を握っていますから、結果、つまり覇権をとれたのだと思います。

      じゃあ、日本は結局覇権を狙うのか?というと、そんな事は国が出てきてから一度だって考えた事が無かったわけで、これからも多分無いでしょう。覇権を狙って「大東亜共栄圏」構想などを掲げていたとしたら、ただの阿呆です。
      だからこそ、どちらかの陣営に与するしか無いのでしょう。

      削除
  3. 諜報関係は分かりませんが、中国は既に多数の量子通信試験衛星を打ち上げており、おそらく最先端の機密保持通信を世界で最初に保有する国になると予想されます。
    今月8日には嫦娥4号を打ち上げ、来年1月に世界初となる月の裏側への着陸も予定しています。
    現在でも月面では唯一中国のランドローバーだけが活動していたり、独自のGPSシステム「北斗」や「天宮ステーション」など、ほぼ計画通りに進展います。
    戦艦が空母にとって代わられたように、米国が重視する地上ネットワーク監視が無用の長物となり、あっさり衛星量子通信システムに屈する可能性もないとはいえません。
    中国を過大評価するつもりはありませんが、過小評価するのはかなり危険だと思います。

    返信削除
    返信
    1. 支那が何処までやれるのかは分かりませんが、目指している方向はご指摘の様に「世界最初の量子通信衛星保有」という事なんでしょう。
      日本でも量子通信の成功の事例が報告されていますが、使い物になるレベルか否かは読み取れませんでした。
      https://www.nict.go.jp/press/2017/07/11-1.html

      ただまあ、論理的には可能なようで、今後の研究にかかっていると思われます。量子通信の良いところは、盗聴が検出可能だと言うことらしいのですが、地上施設がクラックされたらあまり意味は無さそうです。
      そんな点も含めて、今後に期待したいところですが……、研究費はもっとつけてやれよと。そして、外国に情報が漏れないように……って、遅いかも知れません。

      何れにしても、支那に先を越されている以上は、日本も頑張らないとダメだと思いますよ。

      削除
    2. 中国の試験通信衛星は量子通信ではなく量子暗号レーザー通信衛星ですよ。

      削除
    3. ご指摘ありがとうございます。

      http://pr.fujitsu.com/jp/news/2015/09/28-1.html
      暗号というと、こんなニュースもありましたね。120kmだとまだまだ衛星軌道に足りませんが、そもそも伝送手段に光ファイバーを使っていますので、支那の技術はこれを遙かに凌駕した技術といえるのかも知れません。

      削除

コメントを投稿

お気軽にコメントを!ハンドルネームは面倒でもお願いします。