【パリは燃えているか?】マクロン政権の危機

昨日扱った記事に関連する重要ニュースだが、そこでは言及しなかったので改めて記事にしておきたい。コメントも頂いているが、コレは非常に重要なニュースでもある。

仏マクロン政権窮地 パリ・南仏でデモ、130人超死傷

2018/12/3 7:05
【パリ=白石透冴】フランスのマクロン大統領が、2017年の就任以来最大の危機を迎えている。マクロン氏に反発する1日の仏各地のデモで、南仏で1人が死亡、パリで130人以上が重軽傷を負った。デモは3週末連続で、収束の気配はみえない。企業の投資判断などにも影を落とすおそれがあり、仏政府は非常事態宣言を約1年ぶりに発令する検討を始めた。
マリアンヌ像
フランスでデモが起きている、というニュースがどの程度メディアで拡散されているのかは分からないが、割と大きく扱われているのかな?
僕がショックだったのはこのマリアンヌ像である。
言ってみればフランス共和国を象徴するフランス版「自由の女神」という位置づけのものだ。
とはいえ、このマリアンヌ像は色々な所に建っているようで、被害にあったのはフランスの象徴、凱旋門にあるもののようだ。
凄い話ではあるが、これだけではないのである。

フランスデモ焼き討ちに遭った車バイク
デモじゃ無かったのかよ!!

こんな感じのデモが各地で毎週のように行われていると言うから、フランスも悲惨だね。

さて、フランスマクロン政権が、ここまでやられている背景にどんな理由があるのか?という点について言及しておこう。
支持率
支持率が急落している状況が分かると思う。
好調な売り上げを維持している日産を、マクロン氏が欲しがった理由は、フランス経済の悪化にあると言われている。支持率が急落している理由も、これだね。

マクロン氏支持率、最低に=仏

2018/9/4
フランスの調査会社IFOPの世論調査によると、マクロン大統領(写真)の支持率は7月の前回調査から10ポイント下落し、31%となった。仏ラジオが4日伝えた。2017年5月の就任以来最低。

成長鈍化と支持率低迷のフランス、大幅減税を発表

2018年9月25日 22:23
【9月25日 AFP】フランス政府は24日、2019年の予算案を発表し、法人税や住民税など計250億ユーロ(約3兆3000億円)規模の減税と、さらなる予算削減を行うことを明らかにした。エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は、雇用創出と成長拡大という公約実現に向け苦心している。
~~略~~
 マクロン大統領は高所得者向けに減税する一方、高齢者に対して増税しており、これまでの政策からは大半の人が利益を享受していないという指摘も出ている。
 2019年の予算案では、年金と生活保護費がさらに減額される見通し。マクロン大統領は6月、社会保障に「異常な額」をつぎ込んでいると不満を漏らしていた。
マクロン氏はもともと経済相を務めていた事もあり、フランス国民はフランス経済が回復することを望んで大統領に選出された。
前政権のオランド政権でも、マクロン氏の経済政策があり「マクロン法」と呼ばれる「経済の成長と活性のための法律案」を2014年12月に議会提出し、この法案は奥の手を使って可決される。
この法律が良かったかどうかはハッキリしないが、現状を見るとあまり良い結果を得られなかったという風に思う。

1 概況

(1)フランス経済は概して内需主導で,緩やかな成長が特徴。一方,慢性的な雇用問題を抱える(仏国立統計経済研究所(INSEE)が8月14日に公表した2018年第2四半期の失業率は9.1%(速報値))。租税・社会保障負担率の高さや,各種規制の強さも仏経済の特徴。
(2)世界的金融・経済危機の影響により,2008年半ばから景気が悪化し,2009年通年では戦後最低のマイナス成長(-2.9%)を記録した。その後,2010年,2011年と続けてプラス成長を記録し経済は回復基調に転じたが,欧州債務問題の深刻化に伴って,2012年以降再び成長は鈍化。2015年になって景気は緩やかな回復に転じ,成長率は2015年に+1.1%,2016年は+1.2%となった。2017年には景気が顕著に拡大し,+2.2%(INSEEが2018年5月15日に公表した最新の実質経済成長率)を記録した。
(3)昨年5月に就任したマクロン大統領は,5年間の間に,法人税率の引下げ(33.3%⇒25%)や労働市場の柔軟化に加え,エコロジーへの移行の加速や,能力向上と雇用等への570億ユーロの投資を行い,高失業率の改善や経済活性化を図る一方,歳出を対GDP比で約3%ポイント,債務残高を対GDP比で約5%ポイント低下させ,財政規律の確保も図る意向。
(4)財政収支については,危機に伴う税収減や景気刺激策による歳出増が大きく響いて,財政赤字の対GDP比は2009年に-7.2%,2010年も-6.8%と高い水準を記録したが,2015年は-3.6%,2016年は-3.5%まで改善。2017年には-2.7%となり,EUが定める財政基準である「-3%以内」との水準を2007年以来10年ぶりに達した。
これが日本の外務省がまとめた内容だが、苦戦しつつも改善する方向に向かっているとされている。しかし、これは緊縮財政の方針を採っている結果であって、経済状況が改善しているとは言い難い。GDPはマイナス成長を続けている点を見ても、かなり悪い状況である。
データ
数字を見て分かりやすいのが失業率だ。
失業率
特に若年失業率が高いのが問題となっている。

マクロン急進改革離反 反政府デモ止まず
フランスに押し寄せるポピュリズムの猛威

2018/12/3 16:48
【パリ=白石透冴】欧州で勢いを増すポピュリズム(大衆迎合主義)の波がフランスにも押し寄せてきた。燃料税引き上げに抗議する反政府デモが止まらず、マクロン政権の構造改革路線が窮地に追い込まれている。
~~略~~
根底にあるのはマクロン政権が進める構造改革路線への反発だ。同路線は企業活動の規制緩和と行財政改革による「小さな政府」を志向する。解雇する際に企業が払う罰金に上限を設けるなど、労働者を解雇しやすくして労働市場の流動性を高めたり、法人税の減税や社会保障費の国民負担の増額などを進めた。
構造改革は既得権益が多い公的部門を中心に痛みを強いる一方で、社会全体が恩恵を感じるまでには時間がかかる。特にフランスは伝統的に「大きな政府」が前提の社会だった。これに大統領府による高額食器購入やマクロン政権に期待した若年層での高止まりした失業率などが加わり、マクロン政権への失望が一気に加速した。
若年失業率が25%超と、雇用環境を整備できないのがマクロン氏の弱味になっているのだが、日産をルノーの子会社としてフランスに工場を作れば、これが改善されるとでも考えたのだろうね。

しかし、こうした若者がデモに参加するという傾向そのものはフランスにおいては比較的寛容らしい。フランスは革命によって出来上がった国なので、多少過激なデモに参加していたとしても、就職に悪影響がでることは無いようだ。

そんな理由も手伝って、若者がデモに参加する傾向にあるらしいのだが……。
デモ
問題なのはこのデモに乗じて破壊活動を行う一団がいる事のようだ。その名をカッスールと言うらしい。

仏政府、デモ隊の壊し屋「カッスール」に厳正対応

Posted June. 28, 2008 08:34,  
フランスはデモ隊の後を付いて回りながら、器物を破壊するグループを「カッスール(壊し屋、写真)」と呼び、平和的なデモ隊と区別して厳罰に処している。
カッスールは主にデモ隊にまぎれてデモで混乱した時を狙い、マスクで顔を隠して周辺の建物や車両のガラス窓を壊す集団のことを言う。デモの途中、起動警察(CRS)と衝突するのはほとんどカッスールたちだ。労組や学生らのデモの時によく現れ、主に大都市郊外地域に住むムスリムの青少年や感情をコントロールし切れない白人中間層の青少年から構成されている。
カッスールは2000年代に入って特に目立ち始め、06年、最初雇用契約(CPE=最初雇用の後2年間自由に解雇できる労働法の条項)に反対する学生と労組の大規模デモで大きな問題になった。当時、警察の受動的な態度を誰よりも問題視したのは、野党の社会党や全国学父兄連盟(FCPE)などだった。カッスールのため、デモの大義が損なわれるという理由からだった。
日本のメディアはあまりカッスールについて言及していないので、東亜日報の記事を引用しておこう。
日本のハロウィンでも問題になったが、フランスのハロウィンでは更に酷いことが行われ、その犯人はカッスールだと言われている。
ただし、このカッスールがどのような集団なのか、という点については、ハッキリしたことが分かっていない。
かつて、カッスールを構成していたのは、スラムに住む移民達だったようだが、近年はそれだけでは無く、比較的裕福なフランスの若者も参加するようになり、壊すことが目的化してしまった犯罪集団になっている。

マクロン政権はこのままでは保たない可能性が高い。
もともとポピュリズム政治を掲げて、経済改革だけで当選したという経緯もあって、その経済で転けてしまうと、マクロン氏はもはや寄るべき所が無くなってしまう。

しかし、そうなると今度は右派が政権を握る可能性が高いので、それが何を招くかというと、EUの崩壊なんじゃ無いかと。ドイツも移民問題でメルケル氏が窮地に立っていて、世界的にも移民受け入れは慎重にしなければならないという状況になってきている。
世界は大きく変わる転機を迎えているのかも知れないね。

追記 (2018/12/4)
あらー、遅いんじゃ無いの?マクロン君。

抗議デモ招いた燃料税引き上げ見合わせ決定 仏メディア

2018年12月4日 18時41分
フランスで燃料税の引き上げに抗議するデモが相次ぎ、一部が暴徒化する事態になったことをめぐり、フランスのメディアは、マクロン政権が来月から予定していた引き上げの見合わせを決めたと一斉に伝えました。燃料税の引き上げは、マクロン大統領が地球温暖化対策の一環として導入を予定していただけに、政権にとって大きな痛手となりそうです。
~~略~~
これを受けてマクロン政権は、フィリップ首相が与野党の党首らと相次いで会談するなど、打開策を模索してきましたが、フランスのメディアは4日午前、マクロン政権が、燃料税の引き上げを見合わせることを決めたと一斉に伝えました。
このあと、フィリップ首相が与党側と協議を行って、正式に発表する見通しです。
これで本当に火消しが出来ると思っているのかしらん?

だって、根本的な解決にならんぞよ、これ。
コメントで頂いたような、燃料税増税に反対してデモ、電気自動車化推進という絵を描いていたという話は、このニュースで確定したようなものだけれど、逆に言えば、ゴーン氏逮捕でそれが揺らいでしまったとも言える。

こりゃ、フランス政府から恨まれそうだな……。



ランキングへの応援クリックよろしく!
にほんブログ村 ニュースブログ ニュース批評へ

コメント

  1. >こりゃ、フランス政府から恨まれそうだな……。
    日本としてはどうぞご勝手にとしか(笑
    ゴーン氏逮捕についても仏政府が口を出すのはルノーが国策企業だからで、
    日本じゃ民間企業の日産の問題で政府が塩対応なのも当然でしょう。

    返信削除
    返信
    1. この問題は、ルノーが国策企業だというところが問題だと思っていまして、フランス政府は是が非でも雇用拡充のために日産を手に入れたいという話になっているのかと。

      ゴーン氏の逮捕の正当性如何によっては、日本政府が痛くない腹を探られるような展開も予想されます。上手く立ち回れると良いのですが。

      削除
  2. 企業減税→ ルノーのための減税。
    ディーゼル・ガソリン車全廃→ 日本が得意なハイブリッド、独のディーゼル排除。
    エコ推進→ 買い替え需要創出。
    燃料税増税→ 買い替え圧力をかけつつ、減税分を消費者に転嫁。一石二鳥。
    ゴーン擁護→ 支配下においたものから収奪して何が悪いの?殴るよ?

    フランスは、ハイチ、チャド、中央アフリカ、そしてシリアと失敗国家メイカーとして数多くの実績があります。
    フランス植民地経営は、英のように大義名分だとか現地民の利益も考慮にいれるとかが一切ない、一方的収奪型が特徴です。
    その影響か、「クーデター・民主化を約束・結局独裁化」のコンボを数年単位で繰り返す内戦型失敗国家ばかりで、面白くありません。
    マクロンもやってることは、エコカー減税してる安倍政権が極左にみえるほどの右翼政策ですが、ルペンが相手なので相対的に左に見えるという謎仕様。
    むしろルペンって極右じゃなくて極左だよね、って円を一周回ってわけが分からなくなってるのが、世界の潮流かもしれません。

    返信削除
    返信
    1. 世界史を勉強すると、圧倒的にイギリス嫌いに拍車がかかりますが、なかなかどうしてフランスもそのクソっぷりはどうに入ったモノがあります。

      とはいえ、フランスはどうなっちゃうんでしょうねぇ?
      マクロン氏はもうもたない様に思います。

      削除

コメントを投稿

お気軽にコメントを!ハンドルネームは面倒でもお願いします。